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記事一覧

プラセボ効果とは?

 薬の効果は、その厳密な効果であるEfficacyとEffectivenessに分けることができる。Effectivenessさらに、「プラセボ効果」と「その他の効果」に分けることができるが、「薬の効果とは」でも指摘したように、両者を厳密に区分することもまた難しい。

 一般的に、プラセボ(偽薬)を投与したにも関わらず、疾病が改善したり治癒するというような、治療効果に良い影響をもたらす効果のことを

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自然治癒という要素と三「た」論法

三「た」論法「飲んだ、改善した、効いた」という推論形式を、俗に「三た論法」などと呼ぶ。語尾の3つの「た」をとって「三た論法」である。この推論が妥当かといえば、必ずしもそうとは言えない。よく考えてみれば、この推論は「てるてる坊主をつるした、翌朝晴れた、てるてる坊主には効果があった」と全く同じ構造をしている。てるてる坊主に雨を止ませる効果があるのかどうかは、それはそれで興味深い話かもしれないが、一般的

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薬の効果とは

 薬をはじめとする医学的介入の効果は介入そのものの厳密な効果と、それ以外の効果に分けることができる。日本語ではどちらも「効果」と表現することもできてしまうが、英語では前者をEfficacy、後者をEffectiveness と区別することが多い。

 Effectivenessさらに、「プラセボ効果」と「その他の効果」に分けることができるが、両者を厳密に区分することもまた難しい。例えば、風邪をひ

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背景疑問と前景疑問

知識と疑問 疑問を解決するための知識は生活の中で経験的に学ぶものから、高等教育機関で学ぶ専門知識まで様々であるが、いわゆる学問的定説が世の中の仕組みの全てを解き明かしているわけではない。人の認識に自然の摂理、すなわち出来事の真理(カント的に言えば物自体)を全て解き明かせるだけの潜在的な能力があるかと問えば、必ずしもそうではないだろう。この宇宙のどこかに存在するであろう高度な知生体が僕らの科学的定説

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EBMとは

 EBMとはEvidence-Based Medicineの頭文字をとったもので、直訳すれば『根拠に基づく医療』となる。端的には、現在利用可能な最も信頼できる情報、すなわちエビデンスを踏まえ、目の前の患者にとって最善の臨床判断を行うための行動指針である。

 EBMは①疑問の定式化、②情報(エビデンス)の収集、③情報(エビデンス)の批判的吟味、情報(エビデンス)の適用、⑤①~④の再評価という5つの

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内的妥当性と外的妥当性

妥当性とは ある論証が、前提が全て真であれば結論も必ず真となるような形になっている時、その論証を妥当である( Validity)という。妥当性は前提と結論との対応関係に関するものであって、その結論の真偽を問うものではないことに注意が必要である。医療・健康情報の妥当性は大きく内的妥当性と外的妥当性に分けることができる。

内的妥当性  内的妥当性とは、情報として提示されている出来事の因果関係の確から

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情報が表すもの

情報とは  日々の生活において、僕たちは常に何らかの情報と関わりを持っている。テレビを付ければ、そこには天気予報に関する情報が、スマートフォンやパソコンでインターネットブラウザを立ち上げれば、様々なニュース情報が、TwitterやInstagramのようなソーシャル・ネットワーキング・サービスにログインすれば、関心を引かれるものから、そうでないものまで、膨大な情報に満ち溢れている。

 情報とは、

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メディアの役割と特性

メディアの役割  情報を記録し、保管し、そして伝達する装置をメディア(media)と呼ぶ。情報の取扱いに関して、メディアはジャーナリズム(事実報道)、エンターテインメント(娯楽の提供)、そしてアドバタイズメント(広告・宣伝)という3つの役割を担っている。しかし、それぞれの役割は独立して機能しているわけではない。人や社会の関心を最大効率で得られるよう、メディアコンテンツの作成者が情報の意図的、ないし

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