自然治癒という要素と三「た」論法

三「た」論法

「飲ん、改善し、効い」という推論形式を、俗に「三た論法」などと呼ぶ。語尾の3つの「た」をとって「三た論法」である。この推論が妥当かといえば、必ずしもそうとは言えない。よく考えてみれば、この推論は「てるてる坊主をつるした、翌朝晴れた、てるてる坊主には効果があった」と全く同じ構造をしている。てるてる坊主に雨を止ませる効果があるのかどうかは、それはそれで興味深い話かもしれないが、一般的な価値観では「そんな効果はない」と考えるのが自然であろう。ではこの三た論法、なぜ正当化できないのであろうか。

「効果」に含まれる自然治癒という要素

 翌朝になって雨がやんでいたのは、てるてる坊主の効果ではなく、気象条件の変化である。薬を飲んで症状が改善した……ということもまた、薬の効果とは関係なしに病状そのものが軽快するということはありえる。風邪薬や抗インフルエンザウイルス薬などでは、薬の純粋な効果(Efficacy)というよりはむしろ、自然治癒の影響のほうが大きいかもしれない。

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