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【目印を見つけるノート】104. 天使の演習

今朝も雨もよいです。
「もよい」というのは昔使われていたことばのようです。
ウディ・ガスリーの自伝は図書館に予約しました。
「タイトルは?」
「『ギターを取って弦をはれ』です」
「えーと、ギターを取って……」
「弦をはれ、です」

なにか言っていて、
ものすごく気持ちよかったです。

晶文社さんの本、昔は自分の手もと不如意でたくさん買えなかったのですよね。
あの頃の、このような本を復刊してもらえたら嬉しいなと思います。翻訳の版権があるのでしょうが。
装丁もシンプルながら素敵でした。
綺羅星のような本。


⚫考えて続けること

森博嗣さんの『森メトリィの日々』(講談社)を入手しました。

こちらは、森さんが昨年末まで書かれていたエッセイブログ『店主の雑駁』が本になったものの最後の巻です。もう当該サイトページはなくなっています。当たり前ですが、ちょっとさびしい。

森さんは、前にも書きましたが、毎日ブログを書かれていました。プラットフォームが変わっても、20数年か……ずっとです。
今も『欠伸軽便鉄道』というご自身の庭園鉄道のサイトは更新されています。ご自身で工夫してあれだけのものを構築できることにはいつも脱帽しています。

『店主の雑駁』という2017年から始められたタイトルのものも毎日2000字以上あって、半年分ずつ本になっているのですが、それだけでも膨大な量なのです。

ここからは自問自答インタビュー形式で。

・森さんのエッセイのどのあたりがいいの
「そうですね……フラットです。何かを教えてやろうということはまったくない。読み手が自分で考えたり、考えなかったりすればいいということで、自由です」

・それが役に立つと

「ええ。森さんは多岐に渡るテーマについて書かれていますが、断定的言辞はしません。一般的に、金科玉条のような格言というか定言めいた言葉は溢れるほどあるのですけれど、森さんはそうは書きません。見解あるいは抽象的な発句を出されますが、判断は読み手に預けていらっしゃいますね。『お題』をくださるんです。それで自分なりの答えを出せる場合もありますし、できないこともあります。でもそれは間違いなく、自分の役に立っています」

・それを毎日すると、相当なボリュームですね

「はい。言われたことを覚えるだけならば、きっと続かないでしょう。文言は忘れても、『このテーマについて考えた』という手触りだけは毎日残ります。それを続けるということも、後になれば書くことや生活に活きてくると思います」

・それはWeb上での自主的講座のようなものですか

「講座は拝聴することが先にありますが少し違う。そうですね……演習だと思います。森さんの小説に『エンジェル・マヌーバ』(天使の演習)という言葉が出てきますが、なにかピッタリな感じがします」

ーーと自問自答しました。

他もそうですが、今回刊行になったスパンは、自分にとって重要な決定をする時期と重なっていました。必要なものを残して、あとは断ち切るような作業が続きました。ですので、この期は毎日ものすごいエネルギーでエッセイにも向き合いました。
ですので感想とか批評とか、そのようなものは私には書けません。
「一緒に考えてもらった」ぐらいに思っています。
などと書くのはとんでもないのですけれど、それぐらい私にとって重要な本です。

以上、主観で書いてみました。

⚫お籠りクラフトとばら

コンクシェルのばらカービングと真円に近い淡水真珠で水の取り合わせです。大好き。

ばらの葉はみどりが素敵です。

それではまた、ごひいきに。

おがたさわ
(尾方佐羽)

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