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【目印を見つけるノート】1221. 地域発の文庫と長崎の日

旅をしていて、書店を見つけるとできるだけ入るようにしています。

東京の大手書店では見つけられないような本が売っていたりします😆森博嗣さんの初期のブログ文庫は旅先の書店で見つけました。

また、その土地ならではの本やリーフレットがドンと並んでいたりします。『華丸・大吉の博多弁講座』など、博多で買いましたね😆
サイン会の告知に出くわして、「滞在1日延ばそうかな」と思ったりもします。ええ、島田荘司さんのサイン会の告知を見たときに思いました。
大手書店については一見どこでも変わらないように思いますが、よくよく見ると土地のこだわりが見られたりします。

それで、本を抱えてえっちらおっちら帰ってくるというわけです。重いよ😥

書店だけではありません。お土産もの屋さん、美術館、資料館にも本を置いてあって、そこでしか見られないような本が売っていたりします。旅行でなくても、アンテナショップに置いてあることもあります。岡山弁の本はアンテナショップで買いました。

私はその奥深さをほとんど知らないのですが、地域に根差した出版社さんが出している、地域に関する『文庫』あるいは『叢書』本があります。地方紙の出版局で発行されているようなものもあるかもしれません。

これは、意識して探さないとなかなか見つけられないと思います。ネットで検索しても、それを網羅している情報ソースがないのです。もちろんネットで買えますが、たくさんあるというのは事実なので、そもそも何があるか分からないと買えませんよね。

歴史を書いていたりもしますので、出会えたときは、土地のあるテーマに特化した本や、伝承民話はできる限り拾いたいと思っています。
宝物の山といってもいい。

まだわずかなのですが、手持ちをいくつかあげていきます。本の整理中で行方不明のものも若干、ああ😭

●有隣新書『相模のもののふたち』(永井路子)
地元の視点から御家人の肖像を描いていくという内容です。これはいろいろ学ばせていただいています。高校の頃永井さんの歴史エッセイを読みふけりましたが、やっぱり面白い。

有隣堂さんの出している新書です。横浜が発祥の書店さんですので、横浜・神奈川・相模に特化したラインナップです。

●岡山文庫52『吉備津神社』(藤井駿)日本文教出版

表紙(部分)

これは参考文献ですね😅
縁起から歴史から祭礼まで、吉備津神社を網羅した本で、写真も豊富です。ずっと前に吉備津神社の鳴釜の神事をいただいたことがあって、個人的にはとても大切に思っています。上田秋成の『吉備津の釜』のようになったらどうしようかと思いましたが、大丈夫でした。こええええ😱

サイトを見たら、もう300点をゆうに越えているのですね。素晴らしい。

京都の『らくたび文庫』(Kotokoto)

埼玉の『さきたま文庫』(さきたま出版会)

『かごしま文庫』

などが目に留まりました。
文庫本というのはシリーズでひとつの色=個性となるように思います。たとえるのなら、『スイミー』のようなイメージ。書店で多く見る文庫は色がいろいろで万人向け・総合的なのですが、もう少しだけ、広大な裾野に踏み込んでみると宝の山が広がっているのに出会えるかもしれません。あ、ハヤカワさんやいくつかの文庫は色があります✨

さて、今日は長崎の原爆犠牲者慰霊の日ですが、私は長崎でこちらの本を見つけました。空港だったと思います。
『長崎の鐘』(永井隆)アルバ文庫

著者は1945年8月9日、長崎医科大学で被爆、右側頭動脈切断という重傷を負いましたが包帯を巻いただけで、数日後にはがれきの町に出て、救護活動に勤めました。自身の状態が悪化して9月には危篤状態になりましたが、このときは奇跡的に死を免れました。本河内にあったルルドの水を口にしたそうです。
永井さんは敬虔なキリスト教徒でしたので、活動にあたっても信仰心がその基盤にありました。
翌年に永井さんは長崎駅で倒れて、以降は床につくことになります。その中でも浦上に桜の木を千本寄贈したり、如己堂という庵で静養しながら執筆活動を続けました。
医師として、生活者として、信仰を持つ人として、親として、人として、長崎の原爆投下の与えたものについて綴り続け、1951年に永眠しました。
永井さんの著作はこのアルバ文庫に多く収められています。

もう1冊はちょっとボロボロになってしまったこちらです。
『ルイス・デ・アルメイダ』(森本繁)聖母文庫

戦国時代、日本で初めて病院を開き、長崎に港を開くのに尽力したイエズス会の宣教師の伝記です。
『16世紀のオデュッセイア』の重要な登場人物でもあります。あ、ひっそり連載を再開しています。この方を書きたいというのが『16世紀のオデュッセイア』を起こした大きな理由のひとつです。
ですので、ボロボロになってしまうのですね。
本河内という地名はこの本を読んでいても頻繁に出てきます。それだけに、原爆に至ってしまったことには、言葉にできない複雑な感覚を抱かずにはいられません。

この2冊とも、長崎のキリスト教の団体が刊行している文庫です。前者は聖パウロ会、後者は聖母の騎士会です。後者についてはコルベ神父のことを書いたときに触れました。ポーランドからやって来て長崎で聖母の騎士会の活動をし、のちにアウシュビッツで亡くなった方です。

それぞれの文庫のラインナップはキリスト教徒でなくとも、人間として興味を持てるものが多いと思います。以前は常時取り扱いのある書店も少なかったのですが、現在はネットで購入することも容易になりました。

本が学びのためでもあるのだとすれば、ここに挙げたものも含めて、地域の文庫の数々は、宝の山のような、お手頃で学びがいのあるソースだと思います。

長崎の原爆犠牲者慰霊のつどいは台風通過のため縮小して開催されましたが、テレビ越しにお祈りさせていただきました。台風の方もどうか皆さまお気をつけてください。私も気をつけます。
すべての皆さまのご無事と平和を心よりお祈りします。

尾方佐羽

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