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子どもたちに「ナンニモナイ」とは

10年以上前の芸術大学の恩師との会話・・・
「今の学生はな、今日は製図の〇〇がないから、何も書けません、と言いにきよんのや、ないんやったら、代わりの物を探して、自分で工夫したらいいだけの話、すべて【モノ】に頼ってるんや」
とため息交じりに話されていました。

ダンボール端材を使った「ヘンテコお面」

私は昭和生まれの大阪人ですが、こどもの頃、田んぼの畦道でカブトエビやおたまじゃくしを見つけて遊んだり、道路に線を描く時、手元にチョークがなかったら、その辺の石をひろって、この石は軽くて描ける石、この石は跳ねないからゲームに向いている石、道路に描くものがなかったらじょうろに水を入れて線を描いたりなど、手や頭を動かし、そこにナイ場合は常にアイデアを出しながら遊んでいました。
コンビニも100均もネットもなし!笑 今よりモノがなかった時代です。

小石を何かにみたててストーリーを作る「小石物語」

今は欲しいモノをネットで注文すれば、次の日には手元にとどく時代。
情報も昔とは比べようもないくらい溢れています、時にはその情報の渦に飲み込まれそうになるくらい。現に私もスマホやパソコンは手放せない生活です。

わたしたちは便利な生活をやめられなくなった代わりに、考えたり想像すること、子どもたちにとって五感を動かす経験も希薄になってきたように感じます。

近頃は商品も物質的価値よりも、あえて経験価値にプライオリティを付けられるようになってきたのは、とても理解ができる時代の流れです。

そんな時代、今の子どもたちにとってどんな環境が必要なのでしょうか。

地域みらい留学や山村留学、などもとてもいいですね!
自然の中で気づくこと沢山あって魅力的、
娘たちも一度は体験させてみたいと思っています。ただ、ある程度、仕事の都合をつける必要があったり、家族の同意も決心も必要です。

私のように、そんなすぐ行けないよ、と思われている方もいらっしゃることでしょう。
そんな場合、ひとまずご家庭で・・・

「ナンニモナイ」
という状況をたまに作るのはいかがでしょうか?

私の教室では「素材研究」というプログラムがあります。
特定の素材だけで、何か作品を作るという【体験】に重きを置くカリキュラムです。例えば・・・

洗濯ばさみだけで何かを作ろう!

子どもたちに「今日は【割りばし】だけで何かを作ろう!」

と伝えると「えええー--そんなの無理〜」と言いながらも、顔は嬉しそう。
格子状にしたりあーだこーだと言いながら手を動かし
建物やティピを作ったり、見立て遊びに発展したり、
友達と協力しながら、自然とチームワークにもなっていきます。

テーマの素材はなんでもいいのです。

「綿棒」だけなら、机に並べて綿棒レリーフで顔になったり、
「洗濯ばさみ」だけなら挟み上げて動物やロケットになり、
「トイレットペーパー」だけなら体に巻き付けて衣装ができたりします。
ペットボトルのキャップ、空き箱、新聞紙・・・身近にいろんな素敵な素材が転がっています。

ルールは簡単、その素材を見て触って動かして
「自由」に何かを作る。特段ルールもナンニモナイ!

どんぐり差し込んで「洗濯ばさみ人間」登場!
ボンドも使わず、いらなくなった木端と自然素材だけで表現
1枚の画用紙とホッチキスだけで帽子作り

接着剤や着彩に使う素材はなるべく出さない使わない
シンプルにそしてちょっぴり不便、
あえて「ナイ」環境を作るのです。

それでも子どもたちは目の前にある限られた素材で工夫しながら、私の予想を超えたすばらしい作品を生み出すことになります。

自由に、考える、手を動かす、試す、
失敗、工夫、成功、協力、達成!
そこには人生において経験しうるであろう大切なプロセスが凝縮されているようにも思えます。

素材もシンプルなので、プログラム終了後
解体してリサイクルやリユースできます。環境にも優しい。
言うことなし〜!

紙コップだけで何かを作ろう!基地ができたよ、あっ出れない!笑
園児から大人まで紙コップだけの世界に夢中になります
木端や家にある廃材だけでコンテンポラリージュエリーができたよ


こんな身の回りのモノだけで
「ナンニモナイ」から
「ナンデモデキル」

ことを見出せるって素敵なことだと思いませんか?

余談ですが、次女が小学1年生の時
学校で消しゴムがなくて、困ってしまったみたいです。

「なんやー近くの友達に貸してと言えばよかったのに」と私が言うと
『でもな、近くにあった輪ゴムで字を消してみたら消えてん!!』
と娘が教えてくれました。

思わず笑いながら
「えらいなー試したんや!大発見やな!」と褒めました。

この子はできないことを【モノのせい】にはしないだろうな。
と思えた小さな出来事でした。

子どもたちの未来は長いです。
きっと思いもよらない出来事や大きな壁にもぶちあたることもあるでしょう、そんな時私たちが助けられたらいいのですが、そう簡単なことではありません。

自分の力で乗り越えてもらうには…
「生きる力」をつけるには…
今、子どもたちに何が必要なのか…

常に私たち大人も考えながら
一緒に楽しくすごしていきたいものですね。


緒方 希
コロコロキッズアートクラブ アート講師
リサイクルアーティスト


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