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ことばに関する雑記

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仕事中、あるいは日常生活の中で、ちょっと気になったことばについて、少し考えてみます。
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#つぶやき

プロパガンダ

 このところ、報道番組などで “プロパガンダ” という言葉をよく聞く。

 東西冷戦真っ盛りの頃、学生運動や労働運動が盛んだった頃、あるいは過去の世界大戦を振り返るといった文脈の中でよく耳にしたような気がする。日常会話で使うような用語ではないが、おそらくほとんどの人は、それなりに意味を理解して使っているのだろう。

 自分なりの解釈では、多くの場合、怪しげな情報で特定の方向に人を誘導しようとするこ

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"早く絶版になってほしい#駄言辞典"

 現役時代に大記録を打ち立てたコメンテーターが、ある女子競技に対して侮蔑的な発言をした。例によって、後日、本意ではなかったとの釈明をすることになった。言葉足らずとのことだが、真反対のことを言っているのに、どのように言葉を補えば、その本意にもっていけるのかということが気になった。

 これほどひどいのは極端な例かもしれないが、前からずっと違和感を覚えていたことがある。

 なぜ女子選手だけやたら「マ

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首相と監督

たまたま英文ニュースを見ていて、"German Chancellor Merkel..." (「ドイツのメルケル首相は...」)という見出しを見かけた。そうだった。ドイツの首相は "prime minister" ではなく "chancellor" というのを思い出した。

久しぶりにドイツ語の辞書を取り出してきて調べてみる。首相はドイツ語で "Bundeskanzler"。この中の "kanzl

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姓?名?ニックネーム?

仕事では英語を使って外国人とメールのやり取りをすることが多い。最初の契約交渉などの場面は別にして、普段の仕事上の連絡では対等の仕事仲間という感覚なので、互いにファーストネームを使って呼び合う。メールの出だしも、"Hi Eric"、"Dear Helen"、"Good morning, Linda" といったくだけた形になる。

面白いのは、生粋の中国人なのに西欧風の名前(ニックネーム)を持っている

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"海外" という言葉に感じる違和感

"海外" という言葉を聞くといろいろな思いが浮かんでくる。

会社員時代、ある物品をドイツからフランスに陸上輸送するプロジェクトにかかわったことがある。そのプロジェクトの契約件名の中に「海外輸送」という用語が入っていた。ある大組織の担当者との打ち合わせの際に、ドイツとフランスは地続きなのだから、「海外」へ輸送する、という言い方はおかしくないかと聞いてみた。その担当者曰く、たしかにそうだけど、すでに

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