姓?名?ニックネーム?

仕事では英語を使って外国人とメールのやり取りをすることが多い。最初の契約交渉などの場面は別にして、普段の仕事上の連絡では対等の仕事仲間という感覚なので、互いにファーストネームを使って呼び合う。メールの出だしも、"Hi Eric"、"Dear Helen"、"Good morning, Linda" といったくだけた形になる。

面白いのは、生粋の中国人なのに西欧風の名前(ニックネーム)を持っている人が多いことだ。北京の "Tracy" や上海の "Luis" などとは何年も前から英語で連絡を取り合っている。相手の名前の正式な漢字表記を見ても "Tracy" や "Luis" とは縁もゆかりもない名前だけど、どうやって決めたのだろう?

日本語の「○○さん」という言い方は、日本文化や日本語の知識が少しある外国人に意外と知られているように思う。英文メールでも、しゃれっ気を込めてこちらの名前に "-san" を付けて呼びかけてくれる人がたまにいる。そう言えばメジャーリーグで大谷翔平選手が活躍しているときに、現地のアナウンサーは「オオタニサーン!」と絶叫していた。ここでは、「ショウヘイサーン」と言っていないことが味噌だと思う。「オオタニ」が姓ということがわかって使っているわけだから。

東アジアでは姓-名の順が多いが、日本人名を外国語表記の時だけ名-姓の順にしてしまったせいか、相手を混乱させているような気がする。こちらの名の方に "Mr" を付けてメールが届いても、説明が面倒なのでそのままにしている相手が実は何人かいる。日本政府は、外国語表記でも姓-名のままにしようと呼びかけ始めたが、当分混乱は続くだろう。

耳慣れない外国人の名前では、どちらが姓でどちらが名なのかわかりにくいことが多い。国によっては、そもそも姓という概念のないところもあるようだ。インドの仕事仲間の "Ashutosh Tambe" さんや "Dora Pinto" さんは、いまだにどちらか姓なのか名前なのかわからない。メール上でのやり取りだけなので、相手が男性なのか女性なのかも実は知らない。

西欧の名前はもう少しわかりやすい。"John Lennon" という名前を初めて見たとしても、"John" が男性の名という見当はつくだろう。ただし、これも万能ではない。芸名とはいえ、"Elton John" という例もあるわけだから。

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