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猫のように暮らしてみたい(その16)

自分も向精神薬で治療を受けてきた。

現在も治療中の私だが、
薬の効果について個人的な見解を述べたいと思う。

先にも述べたが、とにかく即効性はない

2~3週間ほど飲み続けないと効果がわからない。

私の場合はうつ病と双極性障害を交互に繰り返す状態だったので、
薬も色々変わった。

薬の効果が出るタイミングとうつ病の症状との兼ね合いが
なかなか合わず困難だった。

うつの状態と薬の作用とで頭も体も不安定で脆くなっていった。

向精神薬の効果がとても怖かった。

自分の感情や感覚が鈍くなっていくのを感じていた。

意識もはっきりせず、物事に対して関心が持てなくなっていった。

どこかに行きたいとか何かを計画するなど
すべての事になんの興味も持てず、
誰とも話したくないし会いたくもなく無気力になっていった。


以前は必ずニュースチェックをして
株式やや投資関連の情報収集を欠かさず、金融関係の勉強をし、
また家族の事や学校関係、住宅ローン返済やら節税やら色々考えていた。

やがて頭の中で激流のように自分の感情と他人の言葉と

多種多様な情報とが混在して収拾がつかなくなっていった。

自分の考えすらまとめることができなくなっていて、
そのこと自体を自分で責めたり落ち込んだり
気力が萎えていくのを感じた。

どうにかしなくてはと気持ちばかり焦っていて、
思いとは裏腹に体はどんどん鈍く重くだるくて行動が制約されていった。



怪我をした子猫は数日間、会社で様子を見た。

そしていよいよ決断を迫られたのはGWで会社が連休になるので、
連れて帰らないわけには行かなくなったのだ。

はじめて近くで見る子猫に娘たちはかわいいと興味深々な様子だ。

そしてまだ小学生だった娘たちに分かるようにゆっくり説明をした。

怪我が治るかどうか分からない事。

もしかしたら死んでしまうかも知れない事。

野良猫だから病気を持っているかもしれない事。

毎日傷の手当やお薬を飲ませ栄養を取るため
注射器でミルクを何回も上げる事。

目ヤニもよく拭いてあげる事。

とにかく触ったら手を洗う事。

みんなでお世話しようねと言うと、「わかった」と真剣な顔で頷いた。


その年のGWは子猫の怪我の手当でほぼ終わってしまったが、
娘たちは子猫の事が心配でどこにも行きたくない様子だった。

頭をカラスに何度も突かれたせいで傷が数か所あり、化膿して膿がでる。

触っただけでも痛いだろうに、その膿を指でしごいて出し、
傷から内側に袋状になっているので注射器を突っ込んで水で洗浄するのだ。

子猫は枯れた声で鳴き涙を流していた。

痛いよねーごめんねーと声をかけ、娘たちもがんばれー、
はいティッシュ、ハイお水、ハイお薬、と手際よくお手伝いをしてくれた。

一週間持てば見込みがあると思っていた。


目ヤニも取れてきて子猫は目を開けるようになった。

娘たちはお世話した分子猫に愛情を感じているようだった。

傷が癒えるのは少し時間がかかったが、

体力を回復し始めた子猫は目に見えて元気になっていった。

もう大丈夫、と思いみんなで相談してやっと名前を付けた。

それがひびきだ。


                   つづく。。。

今日も読んでくださった方、ありがとうございます。



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