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猫のように暮らしてみたい(その17)
うつ病の中期の頃、
睡眠導入剤を飲むことで、
飲酒しなくても眠れるようになった。
そして向精神薬を飲んで頭の中で
がやがやと騒がしかったものがだんだん聞こえなくなってきた。
日中ぼんやりとして何か考えようとしても考えが纏まらなかった。
だるさと眠気で動くこともままならない。
このまま廃人になるのではないかと不安に思ったが、
その不安さえどこか遠くのほうへ行ってしまったようだった。
そういう状態の自分から早く脱したいと思ったが、
薬をやめて元の状態に戻るのが怖かった。
そして暫くこのまま生きてみようと思った。
テレビをつける。
民放はほとんど見なくなった。
ニュースやワイドショーから逃れるためだ。
以前は進んで情報収集のためアンテナ張っていたのだけれど、
今は必要ではないと思う。
世の中色々なことが起きているのだろうが、
別に知らなくても生きて行けるようだ。
もともと映画が好きなのでPrimeやŪーNEXTで相当数をみた。
見るものが無くなると海外ドラマや韓国ドラマ、
アニメまで触手を伸ばし、何でもかんでも見ている。
好きなのはアクション、サイコ、猟奇殺人、犯罪、宗教、など
自分の性格のせいかうつ病のせいか屈折した癖の強いものが好みだ。
そこに至る心理的経緯や人物の生い立ちなど、
犯罪を犯すプロセスとか考察するのが楽しい、
というか共感してしまうというか、
自分の中にもそういう暗い感情があるかも知れないと感じてしまうのだ。
犯罪行為はすべてが脳の異常で引き起こされると思っている。
ただその世界観を盲目的に信じるあまりすっかり脳に操られてしまうのだ。
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ひびきは死ななかった。
日増しに元気を取り戻していく。
娘たちとの絆も強いようだ。
フルタイムの仕事で帰りが遅くなることも多かったが、
ひびきのお世話というミッションが母子間でも姉妹間でも
ワンチーム感を作りあげ、
留守番する娘たちもひびきと一緒にいることで
楽しく過ごすことができたようだ。
今更ながら自分はあの時ひびきを助けたけど、
シングルになった自分を助けてくれたのはひびきだったと思う。
ひびき話で本一冊書けるくらいたくさん思い出があるが、
それは別の機会にしよう。
それから15年後にひびきは亡くなった。
とても悲しかったけど、
ずっと娘たちの成長を見守ってくれたひびきには
感謝の気持ちしかない。
ありがとう。ありがとう。
子猫だった君はいつの間にか娘たちの年を飛び越えて、
まるで頑固父親のように振舞っていたね。
高校生になった娘がいつもの時間に帰ってこないと
玄関を行ったり来たりしてずっとにゃごにゃご大声で怒っていたね。
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遅くなる時は前もって伝えておくと不思議と怒らなかった。
まるで話すことを理解しているようだった。
寝ているようで耳だけこっち向いて聞いていた。
ひびきに限って言えば言葉が分かっていると思うような行動が多かった。
不思議な話だけど猫飼っている人には割と良く聞く話だ。
人の言葉が分かる猫。猫の言葉が分かる人。
つづく。。。
今日も読んでくれた方ありがとうございます。
田中もなかは読者様のサポートをパワーに執筆活動をしています!よろしくお願いします!