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『世界のエリートがやっている 最高の休息法――「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』 久賀谷 亮 (著)


本書『世界のエリートがやっている 最高の休息法』は、米国で活躍する精神科医 久賀谷亮Dr.による、マインドフルネスの説明本です。

マインドフルネスの説明は、高尚なメタ認知や人格形成を、多方面にわたって大情報量でトークするものが多く、正直なところ一般人には実感が湧きにくい。その高尚な部分を、一般人がイメージできるよう小説仕立てにしたのが、本書です。小説の中では、若い学生が異国の地で、学業とレストランの復活劇に試行錯誤する中で、マインドフルネスを活用しています。

マインドフルネスの目的地のような所を、一般人がイメージできるように描いてくれる、滅多にないマインドフルネス啓蒙の良書です。抽象論でなく、具体的ストーリーで描いてくれるので、分かり易く感じます。


ちなみに、俗物である筆者(私)にとってのマインドフルネスとは、ストレス解消法です。瞑想をすることで、半身浴やジョギング、アルコールよりも、短時間で効率的にストレスが解消できます。脳の中の話をすると、うつ病などのメンタル疾患で暴走状態になる脳の情動中枢(扁桃体)を鎮静化し、脳エネルギーの60~80%を消費する自我・雑念中枢(DMN)を鎮静化します。とにかく、これが実感し易くて、凄く有難い。

種々のマインドフルネス啓蒙は、高尚な抽象事をアピールします。しかし、直接的メリットをすぐに体感できる、この「ストレス解消」という部分は、本当に素晴らしいポイントです。本書は、小説の方がメインなので、具体的なマインドフルネスのエクササイズ方法はいまいち分かりません。興味持った方は、以下書籍を参考にして、瞑想(15分間の腹式呼吸で脳リラックス)にトライしてみて下さい。


(参考)
本書の内容から完全に逸脱するが、脳の中間層にある情動脳(扁桃体)の暴走を抑えることに、種々のメンタルヘルスケア(正式医療を含む)は四苦八苦しています。薬も色々開発しているが、どうも上手く行かない。認知行動療法など、脳の最上層(言語・理性脳)から情動脳にアプローチする手段もあるが、薬よりも多少効果があるかどうか位で、重いメンタル疾患の根治は難しい。情動脳は、進化の「途中」で生まれた脳なので、「最新」の言葉や理性が届きにくいのです。

そこで、進化の最新段階で誕生した言語・理性脳からアプローチする認知行動療法だけでなく、「原始的な脳(脳幹)」から情動脳などにアクセスする手法が試行錯誤されています。マインドフルネスも、呼吸法などでそれを取り入れてます。ただし、これではまだ不十分です。泣いている赤ちゃんを、お母さんが抱っこトントンすれば泣き止むように、人間の原始的な身体を通した反応は、脳の情動中枢に深く届きます。従来の、心の健康エクササイズは、この視点がまだまだ足りないのです。

最近TVにも登場し始めた複雑性PTSDでは、従来の精神医療が効き難いという事情もあり、このトントン的な身体経由の治療アプローチ(EMDR)も活用されています。脳の情動(≒感情)と身体は、相互作用があります。本記事ではこの辺にしますが、日頃から心と身体を労わって下さい。日本人はどうにも、我慢は美徳であるという、誤った価値観を受け入れ過ぎている気がします。


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