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トラウマには、パターンがある。『解決!ナイナイアンサー 魔法の言葉』 心屋仁之助 著

本書は、心理カウンセラーである心屋仁之助(こころや・じんのすけ)さんの書籍です。日本テレビ系「解決!ナイナイアンサー」の番組内で、ゲスト芸能人をカウンセリングすることで、あるゲストは号泣させ、あるゲストは爆笑させた、その背景にあるカウンセリング理論と経験を、余すことなく公開しています。

色々な言い方をされる人ですし、既に心理カウンセラー業から卒業されているようですが、膨大な経験から蓄積されたノウハウ体系を包み隠さず公開しているところは、素直に凄いと感じます。


人間の行動原理は、幼少時の親による影響が凄く大きい。親自身はそんな意図がなくとも、幼い子供は勘違いし、それが大人になっても無意識化で、本人の感じ方・行動に影響を及ぼします。脳の情動・理性・記憶中枢(扁桃体・前頭前野・海馬)が連携して、幼少時体験から無意識の思考パターンを脳内に形成し、成人後にもそのパターンに従い、物事を感じて考え行動するようです。


テレビの中では、無意識の奥底に抑圧されてきたそれら(トラウマ)が表に出た時、ようやく分かった・分かって貰えたという思いから号泣する方もいれば、当時は幼過ぎた為に勘違いしていたトラウマの独り相撲(ただの勘違い)だったと分かり爆笑する方もいました。


自分を変えたい。分かっているのに、どうしても怖い。怖いのが何なのかも分からない。その「何か」の根っこは大抵、幼少時の両親との話に行きつきます。でも、その「何か」とそれを抑えつけている「無意識の理性」があり、それを思い出しません。この無意識の理性こそは、成人後にも間違った行動をさせる、トラウマにより誤学習した「考え方の偏り」のようですが、それすら思い出せません。

100年前のフロイト時代から、その両方を思い出すことで、トラウマに起因する問題症状が消える事は分かってたが、思い出すことが至難なのです。催眠術では、無意識理性の方が抵抗して、上手くいきません。


この抵抗は、心の核の殻です。それを破る為には、大きな感情エネルギーの衝突を必要とします。大変な作業です。でも、殻を破ってその中身を見ないと、自分の根っこを知ることは出来ません。

本書を読むだけで、自分の根っこを思い出すことは出来ませんが、その方向性を少しだけ体感出来ます。本書で書かれている、トラウマのパターンを、目で見るだけでなく、声に出して読み上げてみて下さい。まとめると10種類もないので、すぐに出来ます。恐らく、その中の少なくとも一つは、声が出にくくなる筈です。

本書では、その体験ができれば十分です。子供の頃の体験が、大人になっても自分の中に生きている。それを実感できれば、十分です。



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