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伝説のつるぎ 大熊健司
2022年10月30日 10:38
貧乏暇なし、とは昔の人はよく言ったものである。貧乏人こそ、生活に追われていて時間に余裕がない。貧乏人は食べていくだけで精一杯だ、という意味らしい。と、さらに掘り下げて本題に進もうとも思ったのだが、自分で発言しておきながら一つだけ気になることがある。昔の人はよく言ったものである、という言葉である。なんだかこの言い方を聞くと、勝手に、昔の人を見下しているように感じるのだ。確かに、昔の時代
2022年10月23日 00:08
金曜日という言葉を聞いて、皆何を思い浮かべるだろう。その言葉を聞いただけで、来る幸福に向けてあと少しだけ頑張れる。そんな気がする人も多いのではないだろうか。調べたところによると、この国において約半数の労働者が土日休みだという。半分と聞くと少し少ない気がしなくもないが、しかしこの国の労働者数を考えれば、その半数が同じ日に休日を迎えているというのはとても多いようにも思える。就職や転職に際して
2022年10月16日 00:14
もうすっかり冷え込む今日この頃。陽介や英一といつものように会話に花を咲かせながら帰路に着いた勇樹。二人と解散すると、何を買うでもなくコンビニに行き、少しばかり雑誌コーナーを眺めてから家に向かった。いつもと同じようにインターホンを鳴らし、家の鍵を開ける。いつもならここで母親からのおかえりなさいの声掛けがあるのだが、今日は聞こえてこない。「ただいま。」 そう呟きながら部屋に入るが、勇樹のその
2022年10月9日 01:00
藤色の冊子を閉じると、陽乃は少し上の方を見上げながらを一呼吸した。いいものに触れた時は、こうやって少しばかり優雅な時間を過ごしたいものである。 その様子を横から見ていた純恋も、はじめの方こそ、どうだっただろうと不安な気持ちにもなったが、元来の性格からそんな雰囲気はおくびにも出さなかった。 しかし読み終わってからも宙を見つめる陽乃を見て、今回も陽乃の心に確実に刻まれたであろうことを確信し、陽乃
2022年10月2日 00:07
人が物事を始めるのには何かしらのきっかけがある。テレビなのか直接なのかは分からないが、見ていてカッコイイ、素敵と思ったから。周りでやっている人がいたから。理由は様々である。しかしその理由というのは案外他人には理解されず、自分の中だけで完結していたり、いざ続けているうちにその理由を自分ですら失念してしまうこともある。なんでこれに夢中になったんだっけ、と。「そういえば二人は何か部活に入ろうと