フォローしませんか?
シェア
伝説のつるぎ 大熊健司
2021年11月28日 01:24
「これで東西南北じゃん。」「ちょっと違うんだよ。」「ちょっと違う?だってこれは、北でしょ。」陽介は北の牌を指さしてそう尋ねた。「間違ってはないんだけど。北なんだけど、北じゃないのよ。」「え、なぞなぞ?」「全然なぞなぞじゃない。」「えっと、北極のトイレ!」「何言ってんだ、マジで。」「だから、北だけど北じゃないから。」思わず黙り込んでしまう勇樹。「ああ、あ、そういうことか。北じゃ
2021年11月21日 00:17
放課後の理科室、最近はすっかり静かであった。今日はもう少しだけ仕事をしてから帰ろうか、そう思っていると、扉を叩く音。「先生―、いますか?」「ええ。どうぞ。」「お久しぶりです。」 扉を開けたのはもちろん、大桃ほのかであった。「ここ一週間くらい来てませんでしたもんね。」「先生、寂しかったんでしょ。」「決してそのようなことはありません。」「つまんないのお。」 ほのかはほっぺを膨らま
2021年11月14日 00:13
「ファーストキスってどんな味がするのかなあ。」 勇樹は驚きのあまり、椅子を引いてしまった。「おい、マジか。」「何?」「何?、じゃなくて。何だ急に、その話の入りは。」「いやあれだよ、別に変な意味じゃないよ?」「変な意味かどうかは関係ないんだよ。急にそんな話をしたことに驚いてるの。」「ああ、そっか。」 陽介はやっと合点がいったという表情を浮かべた。「で、なんで突然そんな話したんだよ。
2021年11月7日 00:32
「ういっす。」「おお、ういっす。」「ああ、眠い。」 敦は席に着くなり、大きな欠伸をしながらそう言った。「あれ、夜勤明けだっけ?」「そうそう。まあでも今夜はバイト休みだから、帰ったら寝るわ。」「そっか。」「はい、じゃあこれ。」 そういうと敦はカバンから紙っぺらを出してきた。「おお、ありがとう。」 そう言うと、光一は敦から渡された紙を受け取り、その紙に目を通し始めた。 眠気を忘れ