千田いちろう

千田いちろう

最近の記事

カブス@ドジャースタジアム2024.9②

2024.9.11 LAD 10 - 8 CHC 大谷のHR狙いでチョイスした右中間スタンドのJ列。この日は23年目の9.11だ。球場は半旗を掲げ、試合開始前にGod Bless Americaが斉唱される。 23年前のその日、僕は仕事の用でカリフォルニアにいたのだ。その時の衝撃的な記憶が蘇る。 この3連戦は、荒れ模様だ。この日も初回にカブスが2点を先制する。観客は大谷の打席を待ちくたびれている。先頭の大谷は4球目の変化球を待ってましたとばかりフルスイングする。 あっ、と

    • カブス@ドジャースタジアム2024.9①

      ドジャース対カブスのゲームを9/10と11の両日に現地観戦した。 2024.9.10 LAD 3-6 CHC NL西地区の優勝争いはドジャースとパドレスに絞られている。シーズン終盤に来て、ドジャースは、投手陣が厳しい状況にあり、アドバンテージはあるものの、油断はできない。なにより、ワールドチャンピオンに向けて、今のピッチングスタッフでポストシーズン(PS)を戦えるのか、不安は残る。10日のゲームは、PSの切札として期待される山本由伸の復帰登板に重なった。 一方の中地区のカブ

      • 文春野球フレッシュオールスター2024〜田代ラーメンとの34年目の一期一会で田代富雄が愛される謎が解けた

        仇敵はラーメン? 田代ラーメンを食べたい―― 県内トップのラーメン店とコラボしたハマスタの新メニュー「すたぁ麺」を前にして、また、思い出した。 何を今さら。だからこそ、欲望は募る。 田代ラーメンの開店は平成2年、当時のグルメガイドでこんな紹介をされていたはずだ。 この店の元大将は、ベイスターズの現打撃コーチ、田代富雄。 優勝にもタイトルにも届かなかったが、記憶にも記事にも残る選手だった。 ハマスタ日本人初の場外ホームラン、開幕戦の3打席連発弾、現役最後の打席のグラ

        • ザ・クロージングマン98

          クロージングには欠かせない。最終回のスコアボードに京田の名前があれば、勝ちゲームだと思っている。 その日はときおり、小雨がパラつく梅雨空の横浜スタジアム。観客席のファンはスマホで雨雲の行方を気にしている。 4回裏一三塁、バッターは8番京田陽太。その日初登板のドラゴンズ松木平投手のカーブに、半呼吸して反応した。 トップスピンのかかったテニスのレシーブのような打球はセンターの前で弾んだ。三塁走者が還り、スコアは3-0。 雨が気になるゲームで、ベイスターズの先発は東。短い中断を

        カブス@ドジャースタジアム2024.9②

          漁師の息子のクジラを巡る物語

          BXプロジェクトとホエールズ、そして盛田幸妃 "BXプロジェクト"をご存じだろうか。 バブルの頃、CIと呼ばれた企業のブランド力を高めるプロジェクトが日本中で流行した。捕鯨ビジネスを失った大洋漁業(現マルハニチロ)もその例外にあらず。プロジェクトリーダーは、創業家社長の中部慶次郎という実業家で、父親の中部謙吉は「クジラ一頭、余分に獲れれば選手の給料は賄える」と豪語した鯨男だ。慶次郎による、父が愛した大洋ホエールズの再生計画、それがBXプロジェクトだ。 BXプロジェクトがス

          漁師の息子のクジラを巡る物語

          三多摩を狙え

          北多摩、南多摩、西多摩で三多摩。また、多摩川以北〜荒川以南までを武蔵野とも呼ぶ。三多摩の住民、SNSなどで、多摩県民と称されることもある。 武蔵野とタマを合体して半分にすれば、文字通り野球なのに、地域として野球の存在感はいまひとつ。自宅の周囲では、いつもJ。FC東京の赤と紺のフラッグがはためいている。 府中は市ぐるみでラグビー推しの競馬の町。調布は味スタ、サッカーと映画の町。 八王子は何だろう?バレーボールとヒロミの町? 町田は神奈川。 東京都を保護地域とするジャイアン

          野球協約第7章

          1951年に発効され、その後の改定を経て今日に至る野球協約。その第7章「地域権」の章は、いわゆるフランチャイズに関する協定が記載 されている。 この地域権含めて協約は戦後、アメリカからの輸入物。現在となっては、球界全体でファンを開拓しようという取組のハードルやファン不在の規定になっちゃいないか、と少し違和感もある。 まず、章の最初(第37条)の条文で地域権とは何ぞやの定義が定められている。 「野球上のすべての利益」?、「地域権」?、「侵犯」て、物騒な表現は、いかにも英文

          野球協約第7章

          Baystars, Be Ambitious.

          晴れたので、羊ケ丘展望台に寄って、エスコンフィールドに行ってきた。 僕にとって、北海道といえば、盛田幸妃。次に出てくるのは、札幌市出身の砂田毅樹(ドラゴンズ)。彼は9年前の札幌ドームで先発デビューし、そのあと7月に19歳11か月でプロ初勝利を挙げた。 今のチームに北海道出身者の不在は残念。ファイターズつながりの大田泰示も今回の遠征には不在で、前回遠征時に札幌ドームでノーヒッターを達成した今永もいない。 さて、誰を応援しようか? ところで、エスコンとは無関係のベイOTKな

          Baystars, Be Ambitious.

          Hey, Chicago, the Cubs are Gonna Win Today.

          カブス今永のMLBデビュー戦。賭けてもいいが、世界は大谷翔平を中心に回っている。ライブ登板を無料で見る機会はそう多くはないだろう。デビュー戦はもちろん、最初で最後のチャンスだ。AM3時からの中継の視聴予約を目覚ましのアラームにした。 夜中にテレビに映し出されたシカゴの気温は6度、観客はみな真冬の装いだ。実際、真冬のシカゴは、風が吹くと5分も屋外にいられない。 4月1日とはいえ冬の名残の本拠地開幕戦、月曜日のデーゲームながら、リグレー・フィールドは4万人を超える観客で賑やか

          Hey, Chicago, the Cubs are Gonna Win Today.

          「夏をあきらめて」と決別した夏の夜

          8月は覚悟の月、何かしら大事なことをあきらめてきた。 サザンオールスターズの「夏をあきらめて」の歌詞に出てくる"恋人"や"彼女"をタイガース的にアレと読み替えるとしっくりくる。なんと、もう42年も前の歌ですか? 40年もの間、8月はだいたいは、そうだった。 別れたばかりの恋人のように未練は残り、CSや個人タイトルの応援に無理やり意識を方向転換するけれど、どこか虚ろだ。 I'll try to make it shine... 8月ならまだマシというベイファンもいるかもし

          「夏をあきらめて」と決別した夏の夜

          木内マジックを受け継ぐ者

           ’90年代のベイスターズの中継ぎ陣を支えたひとりが、島田直也だ。'94年9勝、'95年10勝とリリーバーながらも、2年連続でチーム最多勝を挙げた。盛田や島田、ヒゲ魔神の五十嵐など、中継ぎというよりも「投手リレーの中軸」と呼ぶにふさわしいリリーフの陣容や活躍が、当時試合を支えていた。   “ホールド”という公式記録がなかったことや、テレビのライブ放送が少なかったことから、彼らが派手に脚光を浴びることは多くはなかったものの、'90年代の彼らの貢献が'98年のベイスターズの日本一

          木内マジックを受け継ぐ者

          Yoshi 22Go!

          筒香は渡米して5年目のシーズンを迎える。サンフランシスコ・ジャイアンツのキャンプに招待されて、メジャー昇格へ向けて奮闘中だ。ジャイアンツは、ドジャースはもちろんだが、6月後半には、今永のいるカブスとの対戦スケジュールも組まれている。なんとかメジャー契約を勝ち取って、メジャーでの山本由伸や今永昇太との対決が見てみたい。 今回は昨年、彼がテキサス・レンジャーズ傘下でプレーしていた時に書いたノートを投稿させていただく。 Lone Star State=一つ星の州、テキサス州の別名

          ベイの新スローガンを予想してみる

          人生の航海も半世紀をとうに過ぎると、たどって来た航路があやふやになる。書類がいろいろ残っている会社はともかく、悲しいかな、サラリーマンは社外での自分のことを忘れる。 たとえば、 前に住んでいた家の住所の番地や電話番号は何だっけ? シアトルでイチローを見たのは、何年だったっけ? 腎結石で入院したのは何才のときだっけ? 実は自分が何才で結婚したのかさえ、すぐにわからない。 20XX年に結婚したから、あー、35歳のときだった、 そんな感じ。 加齢に伴う脳のメモリ機能の低下が主

          ベイの新スローガンを予想してみる

          櫻井周斗、鳥になれ

          またひとり、左腕がチームを去る。2018年入団のサウスポー櫻井周斗、現役ドラフトで指名されたイーグルスへ移籍する。 タナケン、笠原、エスコバーと続いて、このシーズンオフに4人目だ。今永ももうすぐメジャー移籍が決まるだろう。実績ある左腕が計▼5人。ちょっと珍しい。 山崎福也と石田健大、ベイ的にFAで大騒ぎしたが、大山鳴動してなんとやら。 ドラフト3位で武田投手が入団したとはいえ、彼は今は高校三年生の冬休みの真っ最中。二刀流は楽しみだが、武田二刀流実現のためには、ローテに入

          櫻井周斗、鳥になれ

          Welcome to the Dodger Stadium!

          カリフォルニアの球場に屋根は不要だ。そこは天使の街か、荒野の入口か。エンゼルスタジアムが夢と魔法の国にあるならば、ドジャースタジアムは、天国と砂漠の間にあるといってかまわない。椰子の木と青い空がよく似合う。 日本から向かえば、ロサンゼルス国際空港から車で60分足らず。ビバリーヒルズとチャイナタウンの間、映画に出てくるL.A.のど真ん中。天国と砂漠の狭間てもあり、セレブとマイノリティの混沌の地てもあったり。 峡谷に建てられたすり鉢の球場。MLBの球場としては、珍しくシンメト

          Welcome to the Dodger Stadium!

          君は太陽

          今年もドラフト会議が開催されました。 私たちにとっては一年の仕事の総決算日。追いかけてきた一推し二推しの選手を指名できれば大団円。とはいえ、監督が変わったり、FA行使のゆくえも不透明だったり、会議が終わるまで補強ポイントは流動的です。 次に指名する予定の選手が、ウェーバー順で他球団に指名されないようにと祈りながら待つ時間はまさに永遠。直前に指名されたら瞬時に別の決断をしなくてはいけない。 有望とみられた選手が意外にも指名漏れになったりするのも、当日のドタバタのせいもあったり