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Hey, Chicago, the Cubs are Gonna Win Today.

カブス今永のMLBデビュー戦。賭けてもいいが、世界は大谷翔平を中心に回っている。ライブ登板を無料で見る機会はそう多くはないだろう。デビュー戦はもちろん、最初で最後のチャンスだ。AM3時からの中継の視聴予約を目覚ましのアラームにした。

夜中にテレビに映し出されたシカゴの気温は6度、観客はみな真冬の装いだ。実際、真冬のシカゴは、風が吹くと5分も屋外にいられない。

4月1日とはいえ冬の名残の本拠地開幕戦、月曜日のデーゲームながら、リグレー・フィールドは4万人を超える観客で賑やかだ。最初の対戦相手はコロラド・ロッキーズ。

スプリングトレーニング中に南部で投げるのと、シカゴで満員の公式戦で投げるのは、フィジカルでもメンタルでも、別世界で投げるに等しいだろう。

白地にピンストライプのユニフォームの今永昇太は、一昨年までのベイスターズやWBC決勝戦を想起させて懐しい。半袖、ハイソックスもいつもの通り。さすがに寒そうだが、気合の入った表情を見ると、アドレナリンはバッチリだ。

記憶すべき初球は、92マイルのコントロールされた直球で左打者の内角低目、ストライクを取った。
その瞬間に彼はベイスターズ時代の経験も全て思い出したようだ。

センターフライ、スプリッターで空振り三振、ショートフライ。
初回を三凡で抑えると、笑顔こそないが、堅いながらもやや安堵の表情、観客も拍手、ついでにNHKのアナウンサーも称賛している。
ひとり、解説の伊東勤は冷静だった。これくらいはやれるだろうと知っていたかのように。

2回は先頭打者がサードのエラーで出塁する。
次の5番マクマーンに粘られ、フルカウントが続く。13球目、キャチャーからのサインに首を横に振り、スプリッターで空振り三振。
結果的にはこれが勝負の分かれ目となった。

その後は、三振かフライアウトで、ベイスターズ時代と同じ投球スタイルで抑えていく。

時折、外野にいい当たりの飛球も上がるが、ミシガン湖からの冷たい風が押し戻す。

5回までノーヒット、6回にツーアウトから連打で初めて二塁進塁を許して、一二塁。初のピンチで、ピッチクロックでワンボールを取られて、ギアチェンジ。

5番ジョーンズを93マイルの直球で空振り三振。レッツゴーと叫んでグラブを叩いてベンチへ戻る。
リグレー・フィールドの大観衆は大歓声だ。

その裏、カブスは鈴木誠也がチャンスを広げて、2回表にエラーをしたモレルがレフトにタイムリー。
直前にチャンスで三振を喫したレフトのジョーンズが後逸するオマケもついて、カブスは3点を先制した。

もう、流れは完全にカブスのもの。7回からは継投に入って完封勝利。

今永はメジャー初勝利を挙げた。
観衆は、彼が入団会見で引用したGo! Cubs Go!を合唱する。

「勇者の遺伝子」みたいだった。

6回92球 自責0 被安打2 三振9 四死球0
今日くらいは日本のスポーツニュースも大谷より今永を先に報道するだろう。

彼曰く、
「船出と例えるなら、まだ船からロープを外しただけ」
ちょっと、これ?哲学者としては凡庸なコメントでは?エープリルフール?

でも、船出に例えたということは、港の横浜が意識下にあるのだろう。グラブには星がモチーフされていた。

Go! Shota Go!
まだまだシーズンはこれからだけど、
今永昇太、メジャー初勝利おめでとう。


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