カバ

not good enough 4

※今回は性的な表現が少ないので、お話の最後まで無料です:)       

Oh my god! sorry....this is not for any of youguys....I didn't read this before sending.
「オーマイガッ、この記事を読まずに送ってしまったけど、あなた達の事ではないから!ごめん!」

金曜の夜、日本から来ていた友達のユミとその彼と、ミートパッキング エリアにある、スタンダードホテルのバーで飲んでいる時に、突然届いたグループメッセージ、ん?、なんの事だろう?間違えメールかな?
何の事かわからず、そのままにしておいた。

土曜日の正午前、
そのグループの中の紗子から電話がかかってきた。
彼女とはよく週末にブランチに行く仲で、いつも通りのここ1週間レベルの近況報告をしていると、

流れで紗子が、「そう言えば昨日送られて来たメッセージ見た?」と、
私は、「ああ,ちらっと見たよ、けどあれって私達へのメッセージ?』

「そうだよ、絶対送られてきてるはずだから、カオリの名前も入ってるよ、見てみなよ、リンクが添付されてるから、それを開いて読んでみて」と紗子、

画面をスクロールダウンしていくと、OMG(オーマイガー)のちょい手前にリンクが添付されている。
これかな?と思いリンクを開けてみると。
Why you are not married というタイトル。

あーー。よくあるタイプの、あなたにはこれだから結婚できないのよ!っていう記事、言われなくてもこの歳になると、10年前から数えても、約1000回くらいこの手の記事は読んでいる。
ページを開けて、下の方に記事をスクロールしていくと、

あなたが結婚出来ない理由は、
1.Bitch ビッチ(性格が悪い,いつも怒っている嫌な女)
2.Shallow 浅い
3.Slut すぐしてしまう子
4.Liar 嘘つき
5.Selfish ワガママ
6.not good enough(自分よりも上のレベルの男を探してる) 要は理想が高い

うわー。しっかし、すごいの送りつけてきたな、笑

送り主の彼女は、もちろん既婚者で子供もいて、綺麗で、
いい所に住み、仕事も順調な、一般的に女性が欲しい物を何でも手に入れている順風満帆なサクセス女子だ、
グループメールの9人中6人は未婚者。
さすがに彼女の謝罪に対して、だれも返信していない、
だーれも、なーんにも、言わない、逆にこわい、少し背筋が凍る、、

私は、なにも返信しないと、あの記事のなかに書かれていた、1番目の怒りんぼのビッチになってしまうので、笑、
ちょうど他の友達に送って面白いと思った、トランプとヒラリーが「3年目の浮気」を仲よさげに歌う、youtubeリンクを間違えたふりをして、そのグループメールにも送っておいた。

グループの一人の子なんて恋愛にすら興味ない子もいる。彼女はどう思ったのだろう。その記事からは、結婚してないと人間として、絶対に間違っている!というネガティブな気がもの凄く伝わってくる。
結婚したいとか、してるからどうとか、だから幸せとかは、あくまでも個人の判断でしか無いし。人間界で作られたルール的な、これやっておけば幸せだよっていう、進学とか就職の様な指標に過ぎないのに、、ねっ!、、、

と言いつつもそこに翻弄され苦しむ私もいる。泣

でも、ただただ私は、うきゃーー!謝罪メールが来る前の12時間以内に、この記事を読んでピュアにムカつきたかったー!と言うのが本音で、謝られる前にこの記事を読んで、自分からどういうピュアな感情が湧き出るのか知りたかったー。と残念に思った。変な趣味、私。


次の週、仕事帰りタイムズスクエア付近にある、グレースホテルの屋内プールの奥にある小さいバーで友達のリカ(サクセス女子と面識の無い)と待ち合わせして、まだ誰もいないバーカウンターに座った、

彼女とは職場が近く、夕方の4時ぐらいに連絡しても、都合が合えば軽く1〜2杯飲みに行く事が出来る。

私がリカに
「ねね!こんな記事が送られて来たんだけど、どう思う?」と見せると、

リカはしばらく記事を眺めて、

「ふつー読んでもいない記事をグループメールで送るかな? 記事の内容はともかくタイトルの『だからあなたは結婚できない』ってタイトルは絶対に把握してるはずでしょ、完全に未婚者に対する上から目線だよ、そこはちゃんとムカついていいよ、」と

なるほど、私は実際、自分の心の中では、
怒りというより、こんなくだらない文章書いて、ハフィントンポストに取り上げてもらい、物書きとして食べてる人がいるのね、ふーん、ジャーナリストとしてはイマイチだな、 とか、

こんな、とても人の繊細な部分をぐさっと刺しかねない内容のメールを、間違えて送ってしまったこの出来事に対して、おーこりゃやっちまったなー、(炎上だとしたら、キャンプファイヤーレベルの大きさだろう)など、
全く他の事を想像していて、まだ自分の感情の部分が怒りを感じたりはしていなかった、

でも、確かにリカの意見を聞いた後、この作者にせよ、このリンクを送ってしまった友達にしても、一般社会的には未婚者を見下してるのかぁ、それって差別だよね、当事者は無意識の未婚者ハラスメントやヒエラルキーが、そこには存在するのね、へーー(なるほどの意味)ハーー(ため息)と気がついてしまった。

既婚者達は、婚約パーティーやら、独身最後のパーティーBachelorette Party(バチェロレッテ パーティー)やら、花嫁を女同士で祝うBridal shower(ブライダル シャワー)やら、もちろん本番のウェディングパーティー、そして2次会やら、赤ちゃんできたら出産前のお祝いBaby showerやら、出産後のお祝いやらの度に、 Registry(レジストリー)という名の(既に向こうが欲しいギフトを選び、私達はその中から支払うという)独裁的なシステムにより、未婚者達はほぼ無条件降伏状態で貢ぎ物を贈呈させられているのに、、、。(ラップの曲、1曲作れそう)。 

あーもうめでたくないし。SATCにもこんなエピソードがあったけれど。わたし結婚出来るかわからない人生暦10周年記念パーティーでも開いて、プレゼント回収しようかな、、、

私達以外、まだ誰もいないバーで、暇そうにしている、若い黒人バーテンダーとその後ろのガラス越しに見える屋内プールの白い水着の女性を眺めながら、
ハッピーアワーで安くなってる白ワインを、小さいプレッツエルをかじりながら、少しだけヤケになって、もう一杯オーダーした。


別の日、グループ内の千夏は、彼女は天然だから、悪気無いのよ、との事、
けれど、まあ、確かにサクセス女子の彼女は、本当にさっぱりしている性格で、確かに悪意は無いだろうし、今回の記事を本当に読まずに送ってしまったタイプなんだろうと、前後関係でわかる、

今回の件に関しては、私以外で、ここまで掘り下げて楽しんでる人がいない事に気がついて、私の中で、一件落着した。


*物語中に掲載されたバー

The Standard, High Lineotel(ルーフトップバー)  848 Washington St, New York, NY 10014

Room Mate Grace Hotel (プール脇のバー) 125 W 45th St, New York, NY 10036


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