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【旅】モンゴル ロードトリップ|DAY5|衝撃のデジャブと人の魂を奪う「撮る」ことについて [観光じゃない旅クロニクル]

今日は衝撃のデジャブに合う日。
ここから毎日ハプニングが起き始める。

また早く起きてしまった。ここはモンゴル西部のザブハン県のテルメン。
ほんとは友達とかには直接話した方が面白いんだけど、、、よかったら読んでください。

前夜、深夜2時くらいに隣の部屋からお祈りを唱る女性の声が壁越しに聞こえて、それを子守唄のように聞きながら眠りに落ちした。不思議な夢を3種類見た。

朝一で宿の外で歯磨きをしてタバコを吸う。まだみんなの起きてる気配はない。モンゴルの中でも時差があるから、もはや今何時だかよくわからない。

宿の外に民族衣装のデールを着たおじさまたちがいる。しぶカッコいい。彼らの自然な営みを邪魔せずに写真を撮りたい。

モンゴルの民族衣装「デール」は馬に乗りやすいようにできているからバイクとの相性もいい。
隣の村からバイクで親戚を迎えに来たらしい。

宿のしっかり者の女の子と遊びながらデールのおじさんに声をかけるタイミングをみ測っていると、おじさんから話しかけてきてくれた。

何を言っているかわからないけど、雰囲気的に「体に悪いからタバコを吸うのをやめなさい!」だと思う。笑。急いでタバコを消し、カメラを見せて、写真を撮っていいか聞く。

すると、なぜかバイクの後ろに乗れと言われ、二人乗りでバイクを走らせて、近くの馬がいるとこへ連れて行ってくれた。

私の「バイクの写真を撮りたい」というジェスチャーを「馬の写真を撮りたい」と勘違いしたにちがいない!。。。。からとりあえず二、三枚目の前の馬の写真を撮る。笑

けど、本当は撮りたいのはおじさんなんよーと説明し、無事(真剣に)写真を撮る。

でも、朝から一人でこの出来事にツボって少しニヤけた朝を過ごす。馬の写真を一応撮るとこが自分らしいなと思って。

ちなみにおじさんはよかれと思って連れて行ってくれたけど、今までで一番映えない背景にいる馬たちだったのが、またなんか胸がきゅんとするおもしろさ。おじさんの優しさ。そして写真を撮ると言うことの尊さ。

この写真が撮りたかった

気に入ってる写真。モンゴルの人のデール姿は、自然に馴染んですごくかっこいい。

顔に大きな傷跡のある彼。風雲に耐える荒々しさとこの景色に、懐かしいような、何か大事なことを忘れていることに気付くようなふんわりした、心地悪くはない不安のような気持ちがわいた。

いい出会いでした。

私は知らない人の写真を撮るのが好き。
写真の中で一番好きかもしれない。

一生、二度とこのチャンスは来ないと分かっている人を撮ることにシンプルにドキドキする。なぜかその瞬間、恋したようなキュンとした気持ちになることもある。

まず、知らない人の写真を撮るのは勇気と誠実さが必要だと思う。
見た瞬間、自分の中で何かが動いてどうしても撮らないと後悔しそう。そんな人に声をかけたい。でも、声かけた瞬間から相手に心を許してもらえないと、写真は撮ることはできない。だから心を全開にして全てを受け入れるオーラと脳で最初の一言目を発するし、もう自分をまとう波長もその時には無にするようにしている。

あと、お互いのことを知らないから、私は相手を型にはめない。はめられることができない。だからどんな表情をするか予測もつかないし、別に何か特別なポーズや表情を期待しない。相手も同様。私がどんな写真を撮るか知らない。どんな人か知らない。お互い完全に「生」で「ゼロ」の状態の無防備さで人と一瞬だけ向き合うと言う行為が好き。この文章見ると変態だなw

でも、写真を撮り・撮らせると言う、
一瞬のうちに結んだ、不思議な信頼関係だけがある。

昔、オーストラリアのアボリジニーの社会的地位と権利を奪回するための集会のドキュメンタリーを撮影していた時に、「今撮った映像と写真をやっぱり全部消してほしい」と集会のリーダーに言われたことがある。

理由を聞くと、「写真を撮られると魂が抜けてしまうから」と言われた。。。写真と撮ると言うことはそれだけ尊いことであることをその時初めて実感した。そして、そのことを今回のモンゴルで改めて、久しぶりに思い出した。ちなみに、「でも、この写真を世に見せないと一生この状態から打破できないよ!?」と私は自分なりの正義感を持って当時答えたらアボリジニーの人と言い合いになった。その結末の話を始めると長くなるし、モンゴル関係ないから別の記事にしようと思う。



今日こそは一気に目的地に前進したいからランチのタイムロスを無くすため、出発前にパンとハムを買ってサンドイッチを作ることに。朝ご飯も兼ねて近くのカフェでみんなでせっせとサンドイッチを作る。

今日の結末を考えると笑ってしまう。
この時はまだ希望に満ち溢れて、無邪気にサンドイッチを挟んでいた。

この日、永遠と車の中で携帯に入っている音楽を流しながら歌う。なんだこの楽しい時間は。なんとなくみんなの反応を見ながら音楽を流すんだけど、サンサルさんサロールさんにもささる曲だとなんかボーナスポイントを得た気持ちになる。

そして旅の「記者」といろんな話をした。今まで一番感動した景色から、どういう死に方をしたいかまで。

途中、サンサルさんサロールさんから道に迷っている雰囲気がでている。けど、話に夢中すぎてあまり気づかなかった。どうやら磁場が狂って、地図が機能していない。何度も止まって地図を確認する。

夕方になり、この時点で今日の移動時間は既に8-9時間くらい。

パッと窓の外見ると、、、なんと!!!

今朝デールのおじさんたちを撮影した宿が通り過ぎるのが、まるでスローモーションのように見える。

二度見する。
え???

デジャブ?!


なんと、磁場が狂いすぎて、地図が狂い、13時間かけて朝出発した場所に戻ってきていたという衝撃のハプニング。

今朝撮った写真。まだかここに戻ってくるなんて。。

ちょうどこの日バックストリートボーイズを聴いていたので、「本当にバック・ストリートしたね」的な「記者」の発言に疲れているせいかみんなめっちゃツボる。今でも思い出すだけで面白い。内輪ネタというやつだね。

私たちはこの衝撃的な運命を思った以上にすんなり受け入れ、疲れた体を癒すために、さらにバックストリート(後戻り)し、少し大きめの村、オブス県・オラーンゴムの、サウナのある宿を目指すことにする。

今朝、張り切って作ったサンドイッチのことを思うと笑ってしまう。少しでも早く前進するために作ったサンドイッチも、まさか後進するとは思ってなく、びっくりしてるでしょう。美味しかったよ。

この日、夕焼けがすごく綺麗だった。夕焼け色に染まるみんなのだいぶ疲れた顔もいい。
そして広大な自然の中に浮かぶ月も本当に綺麗だった。見渡す限り人工物のない、タイムスリップしたような景色。
人口打つが何もないオーストラリアのアウトバックに行った時も同じ気持ちになった。自由かも。

今日の移動時間13時間くらいかな?
へとへと。サウナに入って、少し夜の町を散歩して寝た。

2023/6/30
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ソフトボイルドに旅の記録を綴る、何者でもない写真旅人。2023年6月、「記者」の同行で【鷹狩のカザフ族とモンゴルの遊牧民族】取材を目的にモンゴルへ行きました。心が動いた瞬間を忘れないように記憶。
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