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専門家を信用しない人々~反知性主義と反ワクチン~

 欧米を中心にコロナウイルスへの反対運動が加速している。
 少なくとも私は毎日のようにこれらのニュースを目にしている。当初は案の定というべきか、アメリカを中心とした動きだったが最近では欧州でも見られるようになった。大規模なものではドイツで現在も行われている反ロックダウンのニュースを目にした方も多いのではなかろうか。
 都市部における反ロックダウンデモに関しては、全面的に賛成はしないものの理解はできる。都市封鎖により経済的、家庭的困難に直面している人々は多く、彼らにしてみれば耐えるか反発するかの二択しかないからだ。
 最も中には、ロサンゼルスで起きたようなビーチ開放を求める権利とやらを主張するバカげた連中もいたが、ロックダウンにより窮地に追い込まれた人々がいるのは確かだ。私はそんなバカと紙一重のニュースを読みながら、一つの興味深いタイトルをみつけた。

 「コロナ・デモ」ドイツで広がる メルケル首相も警戒 

 AFPによって短く要約されたニュースだ。
https://www.afpbb.com/articles/-/3283352?cx_part=search
 基本的には題目の通りで、ベルリンなどの都市部で反ロックダウンデモが相次いでいるというものだ。この手のニュースを読みなれている私からするとドイツも悪い意味でアメリカみたいだなあ、とのんきな感想が最初に出てきた。しかしニュースを読み進めるまでもなく、私は最初の一文を読んで戦慄を覚えた。

 ドイツでは、ロックダウン(都市封鎖)対策やビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が進めているとされるワクチン開発計画に対する怒りから、陰謀論者や過激派、反ワクチン派による抗議運動が相次いでおり、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相も警戒を強めている。(ニュース冒頭より)

 どうだろう、何かがおかしくはないだろうか。違和を感じた人が多い事だろう。いや、そうであってほしい。私はこのニュース冒頭を読んで呆然とする他は無かった。私の悪い勘は当たってしまった。
 ドイツが、欧州が、世界が、悪い意味でアメリカ化している。
 反知性主義の猛威を市民が受け入れ、それ自体が一般化してきている。

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