留学生のことが羨ましい帰国子女の戯言~留学生と帰国子女の違い~
子供時代を主に過ごしたカリフォルニア州には日本人がとても多かった。
アメリカ生まれの日系人はもちろん、大人になってから移住してきた人たちや留学にきた人たちもたくさんいた。カリフォルニアは今でも圧倒的に日本人の人口が多い州なのだ(日本人に限らないないが)。
カリフォルニアで生活していると当然そういう人たちとの交流も深まり、自然と小規模なコミュニティが出来上がっていった。中でも私たちの家族は留学生の方々のお世話をしたり、反対にアルバイトなどを依頼したりする機会が多かった。
留学生は皆当時の私よりも年上で、現地の語学学校やコミュニティカレッジで学んでいる人が多かった。当たり前の話だが、ほとんどの人たちが自分の意志でアメリカという外国にやってきた。
彼らは皆楽しそうだった。もちろん楽しい事ばかりではなかっただろうが、のんきな子供の視点からはそう見えた。
でも事実、彼らは楽しかったのだろう。幸せだったのだろう。
彼らは皆アメリカが好きだから留学にきたのだ。
アメリカに興味があるから、アメリカで学びたいことがあるから、高いお金と時間をかけてまでしてあの国に向かうのだ。
私とは違う。
私のように親に半ば強制的に連れてこられた者とは違うのだ。
留学生と帰国子女の最大の違いはこれだ。
意志があるか、ないか。この差は大きい。
留学生の皆さんは自身の留学体験をどう思っているのだろうか。
いい思い出として残ったのだろうか。それとも悪いものとして?
どのみちそこには感情がある。意見がある。
私にはそれがない。
私にはいまだにアメリカでの思い出がいい物だったのか、悪い物だったのか区別がつかない。
当時の私は日本での生活に憧れていた。では今は?
私は当時の純真な日本への憧憬を保っているのだろうか。
私はどうしたいのだろう。
アメリカに「帰ろう」と思っているのだろうか。
いや、やっぱりそれはないな。
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