祈りは五色の旗に込めて
見出し写真はネパールの首都カトマンズにある、高さ約36mの巨大な仏塔:ボダナート。流石にユネスコの世界遺産に登録されるだけのことはある。非常に立派かつ壮麗な聖地だった。
しかし本稿の主題はこの仏塔ではなく、頂上から吊るされた大量のカラフルな旗──“タルチョ”の方である。
過去の記事でも題材にした通り、ネパールにはチベット仏教系の寺院が多い。七年前、それらを訪れるたび必ず目にしたのが、このタルチョと呼ばれる五色の旗であった。
旗にはチベット語の経文や仏画が印刷されている。回転させることで読経と同等の功徳があるとされる“マニ車”のように、タルチョは風になびかせることで読経のご利益を得られるのだという。
タルチョは各地の寺院の側にある売店で、五枚を一セットとして売られていた。現地の僧侶・信徒が購入し、それぞれの寺院に納経しているのだろうか。
無論必ずしも一人=五枚という訳ではないと思われるが、信仰心を持つ人の数・祈りの数がある程度可視化されているようにも感じられる。日本の神社仏閣において、大量に吊るされてひしめく絵馬やお神籤を見た時と同じような…。いや、それ以上の関心を引かれた。
本稿に載せた写真の中だけでも、一体何人分のタルチョがはためいているのだろう。そこには何人分の想いが込められているのだろう。考え始めると気が遠くなりそうだ。
きっと今この瞬間も、風は止むことなく、何百万枚もの旗を揺らしている。
※以下にネパール旅行関係の過去記事を貼っておきます。
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