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【5分で読める】四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(新しい日々、私を呼ぶ声④)【無料試読あり】

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このお話のあらすじ

病室で目が覚めた晴菜と言葉を交わす主人公。その後、晴菜の父からあることを聞かされる。


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以下本文


「失礼します」

 消毒液の匂いがする真っ白な部屋に入ると、晴菜の両親がベッドの横に座っていた。2人とも最後に会った時よりもやつれている。けれど顔には安堵の色が浮かんでいた。

「あぁ渚ちゃん! 晴菜を見つけてくれて有難う!」
「本当に有難う。君は我が家の恩人だ」
「いえ・・・・・・そんなのでは・・・・・・」
「でも、どうしてあんな場所に居るってわかったの?」
「えっと・・・・・・警察の人が探しても見つからないんじゃ、山にでも入っちゃったんじゃないかって、親戚が・・・・・・」
「あぁ、あの変わった話し方の男の子か。彼のお陰だったんだな。それにしても渚ちゃんの親戚なんて初めて聞いたよ」
「あ、ははは・・・・・・私も最近まで知らなくて・・・・・・?」
「あなた、人様にはそれぞれ事情があるんだから」
「あ、いや、すまん。ついな」
「ごめんね渚ちゃん。晴菜、昨日目を覚ましたの。きっとまたすぐに起きると思うから、ちょっと待っててくれる? あなた、私たちは一旦何か飲み物を買ってきましょ?」
「お? あぁそうだな。渚ちゃん、また」
「はい」

 2人が出て行って、個室はしんと静まる。私は手持ち無沙汰になって、とりあえずベッド横の椅子に腰掛けた。窓の外では木に茂る葉が風に揺られている。
 一旦家に戻った時、そのままアオバミには留守番してもらうことにした。最初は嫌がったものの、チョコレートを渡してテレビを点けたらすんなり大人しくなった。まるで小さな子供のようだ。長老は変化へんげの術で見た目を変えられると言っていたけれど、それなら龍の姿にも戻れるはず。『戻る』というのもおかしいけれど、それでも人間の姿で居続けるということは、人間世界の物に興味があるからだろうという予想は当たりだった。
 アオバミを家に残して、私とスオウはお父さんの連絡を受けて病院に来ていた晴菜のご両親と、篠崎のお父さんに会った。上手く話せない私の代わりにスオウとお父さんが話をしてくれた。スオウは私と最初に会った時と同じ話し方だった。

「なんで来たの?」

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