53.他人の創作したもの、他人の著作物を勝手に自由に利用する方法!
「個人的な使用であれば目的や分量は無制限に自由に利用できる」
他人の創作したもの、他人の著作物であっても私的複製の場合には、その目的は特に限定はされていません。
そのため調査研究のためであっても、娯楽のためであっても自由に利用できる。また、分量についても特に限定はないため、その著作物の全部をコピーすることもかまわない。
さらに、著作物の種類による限定もないため、どんな著作物でも、この私的複製のためならば自由に利用できます。
また、私的利用目的であるならば、複製の他に翻訳、編曲、変形または翻案して利用もできます。
著作権を無料・無断で使うための三つの原則と一つの条件
また、「私的使用の範囲」でない場合においても、次の原則を守れば、自由に他人の創作物、著作物を無断で利用できる。
著作権法第三十二条は、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用上正当な範囲で行なわれるものでなければならない」と定めている。
ここには三つの原則と一つの条件がある。これらを守れば他人の著作物を自由に使うことができます。
第一の原則 公表された著作物「原文のまま使用する」
第二の原則 公正な慣行に合致「引用が必要不可欠」
第三の原則 正当な範囲内「自分の著作物が主」
「第一の原則・公表された著作物を用いること」。
これは未公表の著作物の場合については著作者人格権としての公表権との関係が生じます。
つまり、未公表の著作物には公表したくないもの、公表されたくないものもあるからです。そのため、公表されたものという原則があり、これは著作隣接権も同じです。
また、自分の文章の中に他人の文章を引用する場合は、原則として原文のままでなければなりません。
これは自分で勝手にその文章に手を加えたり、修正してしまったりしてはいけないということで、あくまでも原文のままで、しかも必要最小限、自分の著作物に本当に必要な部分です。
これは文章の場合ですが、写真や絵画を引用する場合どうするかといえば、この場合は必要最小限度ではいけません。
たとえば、写真や絵画の一部分だけが必要だからといって、その部分を切り取ることは、著作者人格権の中の同一性保持権の侵害になります。
これは文章やイラストも同じ、勝手に改変してはなりません。
「第二の原則・公正な慣行に合致していること」。
これは社会通念に照らし、引用であると認められる場合でなければなりません。たとえば、自分の著作物がなく、ただ単に他人の著作物を転載したにすぎない場合は、引用とすることは認められません。
これは自分の著作物にとってどうしてもその引用が必要不可欠な場合、その引用がないと自分の著作物が成り立たないぐらいの必然性が必要になります。
しかし、必要不可欠だからといって引用だらけにするには問題があります。そこで第三の原則があるのです。
「第三の原則・正当な範囲内で行なわれるもの」。
これも自分の著作物があるといってもほんのわずかの分量であったり、主たる内容が他人の著作物の転載によって占められている場合は、正当な範囲とはいえません。
これは引用の前提条件として、自分の著作物が主でなければなりません。
引用する他人の著作物が主である引用はあり得ません。
引用する著作物は従というように、主と従の関係がしっかりと保たれている必要性があります。つまり、引用ばかり多いというのは著作権法第三十二条の引用とはいえません。
著作権を自由に使うためのもうひとつの条件
著作権法第三十条から第五十条は「著作権の制限」として著作権の自由利用に関する規定が設けられている。
前頁の三つの原則によって、これらを守ることによって著作権法第三十二条が適用され、他人の著作物を無料で無断で使えます。
これは公表された著作物に関してあらゆる場合において使用を認めないという著作権者が現われれば、教育上、福祉上困る場合もあったり、それ以外のいろいろな障害が発生する場合もあります。
そのために規定として第三十条から第五十条までに「著作権の制限」として記載されているのです。
もちろん、同法五十条では著作者人格権との関係として、人格権に抵触するような使い方は認められないことになっています。
そして、著作権を自由に使うためのもうひとつの条件というのは同法第四十八条引用条件として「出所の明示」があります。
これは引用の三つの原則に加えて、引用した著作物のそばに出所明示をすることです。
出所明示といっても、現実には引用した側がきちんと出所を明示することが意外と守られていません。この条件は文章であっても、写真、漫画、絵画、イラストの引用個所のそばに必ず出所明示をしなければなりません。
これは出所明示の条件はあっても具体的にどこに記載すればよいのかという規定がないため表示方法が統一されていません。しかし、同法四十八条「出所の明示」では、
「……当該各号に規定する著作物の出所を、その複製または、利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない」
このように引用表示の方法は明確ではありませんが、あまりにもその表示が小さすぎて読みにくかったり、見にくければその表示の意味はありません。
つまり、誰が見てもわかる範囲の表示方法が必要となります。
また、学術論文などでよく見かけますが、出版社名、第何版の何章、第何節の何頁掲載などと出所明示を細かくしなければならないケースもあります。
しかし、最小限度いかなる場合でも必要なことは「著作者名」「著作物の題号を入れることが最小限度のものといわれている。
また、引用とは無料で無断でできることをいい、了解を得たものは引用ではありません。
ですから、よく「無断引用」という言葉が新聞や雑誌等で使われているが、引用は無断でできることですからその言葉はあてはまらないと考えられます。
どうでしょう。
これらの条件を守りさえすれば、著作権法第三十二条が適用され、いちいち著作者から許可を得なくても無料で無断で自由に勝手に使えることができます。
逆に、この原則を守らなければ引用とはいえず著作権侵害になる。
引用が一番該当するのは文章を中心とした活字関係です。
そのため新聞や雑誌、書籍で一番この引用が活用されているが、放送関係、映画等の映像関係、広告宣伝関係にはこの引用はすべてあり得ません。(しかし、営利を目的としない場合の特例はある)引用は、「報道、批評、研究その他の場合……」認められているもので営利を目的とした広告宣伝媒体では必ず許可が必要となります。
また、インターネット等のホームページにおける引用はかなりむずかしいといわざる得ない部分があります。ですから、しっかりとこの引用の条件を明確にすることです。
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