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詩集つくるぞ

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書いた詩をまとめています。数打てば刺さるのではと思っています。どうでしょうか。
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記事一覧

私は空より青い

空は青く青々しく
雲は白く白々しく
私は女で女々しく

空はゆったりと色を変える
流れる雲の色までも
私はいったい何色か
周りの色に流される

川のように私、流れる
先の色は何色か
川は空を映しどこまでも青々しく
私、青々しく透き通っていた

僕が飛ぼうとすると
空は少し広がった
青は赤みがかって
空は少し声を出す

鳥が地面に降りようとすると
子供は風船を飾り
蜘蛛は雲に似せた巣に
子供は地面に夢をみる

空は地面に地面は空に
鳥は飛び続ける
どこにも行かないよう
飛び続ける

秋が来る

ひまわり畑は下を見る
秋はどこからやってくるのか
わたしは知らない

ひまわりは残った夏を見るのか
やってくる秋を見るのか
わたしは知らない
知らないまま夏は終わり
秋がやってくる

知らないわたしだけがそのまま
変わらないまま、秋が来る

麦の畑

大きめの麦わら帽子
かかしはにっこりと笑う
ゆらゆらとゆれる麦
世界は満ち足りていた

ただ鳥だけがその場にいない
麦わら帽子は少し傾いて
かかしはにっこりと悲しんだ

誰もいない空から
誰もいない麦の畑を探して
鳥は羽ばたき続けた

かかしは鳥のこないことを悲しむが
麦わら帽子で空は見えない

孤独を感じた鳥はいつしか
麦わら帽子に留まる
かかしはにっこりと笑う
見えない鳥に向かって笑う

無知

釣針が刺さるアジ
目から血を流す
釣れて喜ぶ子は
まだ知らないだけ
命を知らないだけ

成り立ち

お盆に釣られてやってきた
楽しい雰囲気に釣られやってきた
釣り人は大物に驚く
ちょいとデカすぎると手に負えない
料理人を呼ぶ
ちょっとデカすぎると手を洗う
ちょっと小さくなっておくれ
ちょっと向きをかえておくれ

喜んだ、大物は喜んだ
思わず風が強く吹く
釣り人も料理人も全部吹っ飛んだ
泣く大物、泣く
雨は強く吹く

台風はこうしてできるのです
毎年懲りずに楽しい雰囲気に混ざりたくてやってきちゃう

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世界の広さ

世界はだいぶ広い
メントスコーラは地球を覆わない
百万円で世界の1%も買えない
世界は広すぎる

私の声は世界に届く
小声でも世界に届く
声に出さなくても世界に届く
何でだろう、世界は狭い

血と涙

血はおもったより冷たく
ほてったからだが冷めていく
血は青く青く海に流れていく
空は夕焼けか
涙が赤いのか

ストロベリームーン

今夜はストロベリームーン

人は月に名前をつけたがる
色を変えた月は特別か

名前に踊らされ月を見る
うさぎは横目に餅をつく
踊る人々は月を祝う
月が見ている私たち、踊り続ける
踊り疲れて月を見る
うさぎも餅をつき終わる

今夜はストロベリームーンだからね

先に

私が死ぬ時の君の顔が見たい
涙はきっと薄黒い
見たいから君より先に死にたい
君の死は私の死
1人になりたくないから先に死にたい

飾り爪

口に塗った紅は見えない
セットした髪は見えない
着飾った服は見えない
爪の飾りだけ
爪だけがわたしの日常

まさにラムネを開ける時
まさに綺麗な夕焼け
まさに花が咲いた時
まさにそれらになれる

だから爪を塗る
ただそれだけの話

親知らず

個性を大事にって言うから好きに生きてきた
けれど抜かれるんだとさ
性根が曲がってるから周りに迷惑かけちまうんだとさ
あーこうなるんならもっと大人しくしとけばよかった

なんてそんなこと思ってんのかな
ばいばい、親知らず
今度はまっすぐ生きろよ

花火

ドカンドカンと音を聞く
花火の音、遠くで聞く
昔見たねと隣のあなたと笑う
音は記憶、記憶は思い出
わたしは今年も鮮やかな花火を見たのだ

人魚

人魚は泣く
根も葉もない噂ばかり
しらないわたしを信じてる
歌っていると信じてる
こんなにも泣いているのに