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詩の世界

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2019年12月の記事一覧

【詩作】行進

【詩作】行進

灰色の街に谺(こだま)する
無言の呻き

透明な鉄鎖に繋がれた兵隊達が
無伴奏の葬送曲に合わせて
崩れかけた均整(シンメトリー)を保つ

課せられた自らの軛(くびき)を
一途に愛おしみながら

【詩作】この軽き私に

【詩作】この軽き私に

思い出させてください
日頃 身にまとう
傲岸さゆえに
気づかない 命の重みを

自らの手で
紅に染めた糸を
幾度となく
断ち切ろうとした

それでも 決して届かない
彼方の深く
偉大なる魂の
居る所まで

私に赦された
贖(あがな)いは
ただひとつ
命を生き切ること

【詩作】根無し草

【詩作】根無し草

遠くにあって近い「大いなるもの」が与え給いし言葉前回に引き続き、詩作について書いてみたいと思います。「詩を論じる」のではなく(そんな大それた試みではなく)、小さな詩作の自己体験を記す、といえばいいかもしれません。冒頭の詩も、とある文学講座で課題を渡されて、なんとかひねり出した一作。

今回のテーマは「彼方からのコトバ、彼方へのコトバ:リルケとブレイク」。オーストリアの詩人、ライナー・マリア・リルケ

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【詩作】奇蹟

【詩作】奇蹟

きっと 今この瞬間にも
誰かの忍従と犠牲と涙の上に
仕事が成り立っている

毎日果てしなく
繰り返し 歌い継がれる
声なき労働歌

あくびの出るような
日常だろうか

死や革命や飢えや戦火と
隣り合わせの
平穏無事という
大いなる奇蹟