従軍祈祷師アンゲラの戦場
永世中立の小国、リンドバーグ公国。
峻険なアルピナ山脈を挟み対峙する、帝政ラグランジェ共和国。
公国は現在、共和国の苛烈なる領土侵犯に、果敢にも立ち向かっていた。
主戦場である山脈の国境線より500馬歩ほど離れた、銃後の寒村。
農民の家屋は軍に徴用され、傷病兵を横たえる野戦病院となっていた。
そしてそこは、国立従軍祈祷師団の「戦場」でもあった。
アンゲラは、国家祈祷師修養過程を修了したばかりの新人シャーマンだ。
彼女は高名な祈祷師一族に生を受け、1歳で全身に祝福の刺青を施