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クリエイティブ職で「仕事ができる」人になるにはどうするか

世の中には「仕事ができる人間」と「仕事ができない人間」がいます。
ではその違いは何かというと、共通の決まりや基準はありません。

なぜ無いのかというと、基準は時と場合と評価する人によって異なるからです。

以前、漫画家になるためにA社に持ち込んだ人が「こんな漫画持ち込むなんてありえない」とボロクソ言われた次の日に同じA社に持ち込んで絶賛され連載が決まった例があります。

これは、A社に採用基準が無かったことを証明しています。担当者が異なっただけで、評価は180度変わったのです。ようは担当者の主観によるところが、漫画では特に多いです。

漫画では担当者が手札として漫画家の卵をいくつも保有し、温めて会議で連載を勝ち取るかどうかを戦います。

そのため、担当者が手札として使える漫画を描けるかが評価の基準となり、「できる漫画家」の基準は担当の主観ごとに異なるところがあります。

もちろん雑誌等によって「社風」と言えるものは存在しますが、誰しもそれを理解して持ってくるので、最後は主観で決まるところがあるのです。

仕事ができる人=評価されるポイントを押さえている人

漫画は人によって評価が異なるという特異なものではありますが、漫画に限らず、仕事の評価の基準はそれぞれ異なります。

「仕事ができる」というのは「その仕事の評価対象となる到達点を突破している人」と言い換えることができるのです。

漫画家のうちには、担当者に評価されてトントン拍子に読み切りが決まるものの、その後鳴かず飛ばずという人もいます。

それは担当の力量によるもの、と言ってしまえばその通りですが担当者に気に入られやすい内容とファン投票を得られ読者を獲得できる内容が同じではないこともあるからです。

このように時と場合、相手によって評価基準は異なってしまいます。
仕事ができる人は、相手の求めている仕事内容を理解し、評価されやすいものを提出できる人。と言えます。

評価ポイントはどこにあるのか

これは実は雇う側、クライアントや投資家に至るまで、実はよくわかっていないまま進むこともある難しいところです。

評価者の評価基準がしっかりしていないと、感情や主観で評価が異なってしまうこともあります。

社内の管理システムがしっかりしていないと例えば「かわいいから出世させる」とか「自分をヨイショしてくれるから評価する」といったことが起き、それもよく起こります。

評価を与える側は、特に評価基準を明示し、自身もそれを守って評価しないと、大なり小なり主観や感情が入ってきます。

クリエイターとしては、少々ずるがしこいかもしれませんが、相手がどういう評価をするのかを理解した上で臨む必要があります。

例えばデザインの高度さよりも打ち合わせ回数が多いほうを評価してくるクライアントなら、労力を打ち合わせ回数に費やしたほうが結果上手くいくでしょう。

ではどのように評価されるポイントを知るのか

第一にやることは「その仕事で誰がカネをくれるのか」を整理することです。
カネをくれる人を第一に考えます。それ以外のことは二の次です。

雇われている人なら、カネをくれる人は評価をくれる人です。評価に繋がり昇級することができる場合、直接の評価者を重視します。

クリエイターなら、エンドユーザーに評価されることが最も誇らしくあるべき姿なのはその通りですが、ここではあくまで評価される方法を記しているのでいったん置いておきます。

例えばウェブサイトをデザインする仕事を得たとします。
クライアントは「ウェブサイトのデザインや導線を改善して流入数を増やしたい」と考えているとします。

その場合、デザイナーが思考するのはまずカネをくれるクライアントの評価基準です。クライアントは流入を増やしたいと考えているので、流入が増えるデザインをする。という順番です。

独りよがりになって「ユーザーが喜ぶデザインにしよう」とか「自分が考えた最も優れたデザインにしよう」と考えるのではなく、まずクライアントがどうしたら喜ぶのかを考えます。

クライアントが喜ぶから、ユーザーが入りやすいデザインにする。という順番です。いきなりユーザーファーストにならず、クライアントファーストで考えて、その結果がユーザビリティの向上なら、そうするべきでしょう。

順番としてはまず「カネをくれる人」は誰でカネをくれる人は何をすると喜ぶか、ということを明確にすることです。

相手と評価ポイントを事前に整理する

しかし相手は何を思っているか分かりません。口ではデザインで流入を増やすこととか言っているかもしれませんが、実はあなたを容姿や声が好きというだけで選んでいる可能性すらあるのです。

とある二次元(Vtuverなど)の事務所の運営(営業)にいる友人の話によると、営業成功率が高いのは実際に効果を望むクライアントではなく、クライアントの担当者自身がそのVtuberのファンである方だと言います。

相手の担当者は「マーケティングを強化してリード数を増加させたい」と話しこちらは「Vtuber〇〇の案件動画1件あたり〇〇件のPVと〇〇件のリード獲得が過去に実績としてあります」などと話し合いますが、その実のところ相手担当は「そのVtuberと仕事がしたい」だけだったりすることもあります(稀だとしても実際にある)

この場合「〇〇ちゃん(Vtuber)よりもこちらの子のほうが適任ですよ」という提案よりも「〇〇ちゃん(Vtuber)にこういうことをさせるとより数字取れますよ」と提案するほうが通ったりします。

なぜなら実際の数字よりも〇〇ちゃんと組むことがその担当(カネくれる人)の喜びポイントだからです。

もちろん根拠(エビデンス)がある数字や提案が必要ですし、担当者自体が決裁者でないこともあります。

それでも担当者が向こうの社内でこの案を通してくれるようにお膳立てすることで、相手の担当者がとても頑張って社内のコンペを戦ってくれたりします。

この時は先の漫画家の例と同じです。

担当者の喜びポイントは「このVtuberと仕事をすること」ですが、担当者が所属する社内や決裁者お偉いさんの喜びポイントは「売上が上がること」かもしれません。

その場合、担当者と共同して社内の決定権を持つ人は何が喜びポイントなのか聞き出し、整理して改めてそれに合わせた提案をすることになります。

どうやって喜びポイントを探し出すのか

「あなたの喜びポイントはどこですか」と聞くことは一見難しそうです。
しかし意外にもそれは簡単です。

大手企業はお金を出す人に向けて日々調査やアンケートを行っています。
アンケート調査や需要から、喜びポイントを見つけ出してそれだけを満たす製品を作れば必ずヒットします。

中小や個人の事業主でも、これは再現可能です。
顧客に「あなたの喜びポイントはどこですか」と聞けるということは、何かしらすでに受注しているはずです。
※受注まで行けないという人向けの記事は別途記載します。

そこから、相手の評価ポイントを聞き出すことは可能だし大事なことです。

ヒアリングやヒアリングのシートの活用

契約する前に、ヒアリングを必ず行いましょう。

これは事前に要件を定義する(どういう仕事をいつまでにするのか)ということを決めると同時に「あなたはどこをどうやって評価しますか」ということを聞き出すために行います。

何のためにこのクリエイティブが必要で、それを誰がどのように評価するのか。という点だけ抑えれば大丈夫です。

このWebデザイン変更はWebの流入が伸び悩んでいるために変更するもので、現在1日あたりのPVが500だが、これを1000にしたい。それ以外に目的はない。
という回答を得られたら、他の評価方法は無に等しいと思って全力でPVが1000以上になる方法を考えます。

もし、デザインだけで倍にすることは不可能と思うなら「デザイン変更だけで1000にすることは難しいですが、〇〇に施策を変更することで到達できる可能性が高まります」など、数値達成ができる方法を提案するのも手です。

最もやってはいけないのは「こんなことどう考えても不可能だが言われたからとりあえずやろう。何か言ったら契約外されるかもしれないし」という受注です。

あるいは「相手の要望はよくわからないけどとりあえずPV上がればいいだろう」と「だろう」で進めてしまうことです。

もしかしたらPVは要らず、リード獲得件数のみが目標かもしれません。その時にPVだけ上がっては、いくら成績がよくても相手からすると「仕事ができないやつ」と認定されます。

クリエイティブの内容によって、相手に聞くべき項目は異なります。
あなたの仕事の中で、相手の要望を引き出す質問方法は他にもあるかもしれません。

そして相手の喜びポイントは大抵1つではなく、複数あります。
相手が求める要件や目的、相手が言わないけど目的にしていることを把握し、事前に示し合わせた上でそれを達成できるように心がけます。

何をすれば評価されるのか、相手と示し合わせた上で、最もその目標だけをクリアできる最適解を提供することが「仕事ができる」クリエイターの一歩になるでしょう。

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