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ドロップアウトの反対語

コロナで会社や学校に行けないステイホームの人たちが多かったせいで「おうち時間」なんて洒落た言葉が定着したように思う。
引きこもりの国、とも揶揄されてきた日本。
「Hikikomori」が世界で通用する言葉になっている、と何かで読んだことがあるが、未だに海外の人から「Hikikomori」という単語を聞いたことはない。
コロナと無関係に以前から、
日本には何年も何十年も引きこもりをしている人が100万人以上いる、とされている。
仕事柄、引きこもりの人、ポップに言うと「ニューなヒッキー」に出会うことは多く、100万人は少ないんじゃないかと感じている。もっともっとたくさんいると思っている。
軽くミリオンセラーだ。
少し前に、オールドなヒッキーの人と話をしていて、
「いつまでも外に出られない自分が情けない」
と言うから、
「理由はコロナだけど、今、日本中、いや世界中の人で引きこもり状態の人がめちゃくちゃいる。
今はどっちみちどこにも出かけたらいけないから、今は特に情けなく思わなくていいですよ。
人類史上最大の引きこもりブームですよ」
なんてふざけた話をしたら笑ってくれた。

自粛があけて生活が元に戻っていくタイミングで、
何年も引きこもっていた人たち100万人のうち、
0.1%でもいいから、
外に出るキッカケにならないかな、
外で太陽の眩しさを久しぶりに感じるキッカケにならないかな、と何となく期待してしまった。
そんなに簡単な問題ではないけど。

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海外を旅していて出会う外国の旅人やバックパッカーたちは、長期で旅をしている人が多く、話を聞くと1ヶ月くらいの人は仕事をして有休を使って旅をしているが、半年以上旅をしている人の多くは仕事を辞めて旅をしている。
旅から戻ったらまた仕事を見つけて働く、というサイクルが気軽で普通だと言っている人が多かった。
最近は日本も少しずつ「生涯1つの会社で働き遂げることこそ美学」という考えは薄れてきているが、
それでも一度社会からドロップアウトした人に対して、
日本の社会はまだまだ厳しいと感じる。
新卒大量採用の文化では、長旅をしたり、長く引きこもってる人が入る隙間が小さい。
「ドロップアウト」とは和製英語として使う場合、
「脱落者、落伍者、社会のはみ出し者」のことを言うらしい。
ドロップアウトした人がまた社会に戻ること、
ドロップアウトの反対語って日本語でなんだろう?と調べてみたが適切なものが見つからなかった。
「ドロップイン」も違うらしい。
「社会復帰」だと、まるで、あなたは社会に存在しなかった人ですと言われているようでキツイ、まあ事実なんだけど。社会が何を指すかにもよる。
ドロップアウトの反対語は日本にはないのかもしれない。
言葉がないということはそれが一般的じゃないということだろう。
市民権を得るには、「LGBT」「第7世代」のように言葉を作って浸透させるしかない。
「ニューカマーアゲイン」とかどうだろう?
ちょっと長いか。
「カムバックピープル」「オールドリターン」
「I will be back! 略してIWBB」
長いから定着はしなさそうだし、センスが感じられない。

ドロップアウトした人たちがまた「社会」に簡単に戻れるような国にならないものかな、と
今はギリギリはみ出していないだけの者の私は、ぼんやり考えたが言葉をまず作るという方法以外見つからない。
私も旅に出たりして、「仕事」という場所から
1年ほどドロップアウトしたことがある。
運良く今は社会に戻れているが、また仕事を辞めて長期で旅に出てやろうかとしょっちゅう企んでいる。
たまたま運良く今はドロップアウトしていないだけで、
誰だって病気になったり、会社が潰れたり、
長旅に出たくなったり、コロナが流行ったり、
いつ自分がはみ出し者になるかは分からない。
誰にでも起こりうることだから、
はみ出してもスムーズに戻れる社会の方が
誰にとっても優しい社会のはず。
まずはドロップアウトの反対語をヒットさせることからだろうな。
ニートを指す「高等遊民」もドラマの長谷川博己効果で一時期だけ流行りかけたので、次は星野源、斎藤工あたりにドロップアウトした青年が社会復帰するドラマとかを作ってもらいたい。
または、コピーライター、糸井重里さんあたりの誰かがそういう意味の言葉を作って、仕掛けて流行らせてくれないものか、
もしくはキングヌーとかヒゲダン(よく知らないからちゃんと書けなかった)とかが曲のタイトルにして流行らせるとかしてくれないものか、
と切に他力本願に願っている。

写真はミャンマー、ヤンゴンのシュエダゴンパゴダの中であった仏様。
私が大体家にいる時はほぼこの仏。周りにいる小さい人たちは心の中の何人かの私。
足りないのはポテチとTV。

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