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旅情をかきたてるものを 【世界多分一周旅会議④】

またもあっという間にやってきた世界多分一周会議の日曜日。勝手にそう設定してもう4週目である。
今週も特に何も進まなかった気がするが、そういや旅にまつわる映画を見たり本を読んだりしたわ、と思い出したので、それについて残しておこうと思う。


かもめ食堂

まず、夏至の日にちなんでまた「ミッドサマー」を見たせいで、北欧に取り憑かれてしまった。
私はこれまで北欧の地へ足を運んだことがなく、未開の地であった。
そのため私の描く北欧は、「ドラゴンタトゥーの女」とか「ぼくのエリ 200歳の少女」「ミッドサマー」のようなホラー映画が独特で恐ろしいイメージがある。白夜という現象がより恐ろしさを掻き立てるような。
また一方で、北欧のミュージシャン、ビョークやエンヤやPeter Bjorn and John、ABBAのような、ちょっと独特路線をいく音楽も私の北欧イメージに一役買っていて、勝手に寒い大地が浮かぶようなメロディーだと思っていたりする。
そして、IKEAやflying tiger、マリメッコ、アラビアのような、シンプルな中にも独特のデザインがある洗練された家具や雑貨、ファブリックのセンス。北欧イコールオシャレ。こういうイメージもある。
そういう、独特な怖さと音楽とセンスを持つ土地という偏見の三要素でできている北欧だが、(まあ北欧と言ってもフィンランド、デンマーク、スウェーデン、アイスランド、ノルウェーをまとめて指してる)、私が北欧、フィンランドに対して親近感を持ったのは8年くらい前に映画「かもめ食堂」を見たのがきっかけである。
こういう女性は多いと思う。
かもめ食堂直後はフィンランドへの女子旅がめちゃくちゃ流行った印象がある。
その時のブームに乗り切れずに私は未だフィンランド未経験なので、次の旅では是非行きたいと熱望している。
そんな「かもめ食堂」をまた、8年ぶりくらいにamazonで見てみた。
昔見た映画を時を置いて再度見ると起こりがちなのだが、これもまた、当時よりもグッときたのである。
当時の小林聡美の年齢を追い抜いてしまった私だからか、見え方が違う。
小林聡美、片桐はいり、もたいまさこの演じる女性3人の人生の岐路や迷い、不安、覚悟みたいなものがビシバシとハートにキタのである。
フィンランドに着いて、ロスバケしていつまでも荷物が見つからないマサコさんが、ある時、意を決してヘルシンキのマリメッコでとても素敵なワンピースを買って着る。
それからの行動全てが素敵だった。
私もマリメッコで買い物して、シナモンロールを食べて、フィンランドの森に行って、きのこは嫌いだから代わりにベリーや花を摘んで帰りたいと切に思った。
あの人たちのようにイケてるサングラスをしてオシャレなカフェでお茶したりビーチに行きたい。
あのイケてるサングラスは20代、30代では似合わないと思う。
40代を超えたからこそ派手なワンピースやイケてるサングラス、大袈裟な帽子が似合ったりするのだと気付いた。
その発見がすごく嬉しかった。

ちなみに余談だが、私は小林聡美が「やっぱり猫が好き」の時から大好きである。
三枚目の女優さんという目で見ていて、三谷幸喜と結婚した時に「人が誰も寄り付かないような家にしたい」と言った時に弟子入りしたいと思った。
20年前に、そんな女優さんが、すっぴんのまま、私のアルバイト先にやってきた時があったのだが、ひと目見て動けなくなってしまい、「いらっしゃいませ」が言えなかった。

小林聡美が美し過ぎたのである。

これまで見た人間の誰よりも美しかった。
光っていた。
肌が綺麗な人間第1位に認定した。(第2位は同じく、その後にアルバイト先に来た時に見た松雪泰子である。芸能人がよく来るバイト先であったが、色々見た上で、小林聡美があの松雪さんよりも上だということでいかに美しいかが分かると思う。)
松雪泰子が実物が綺麗なのは想像がつくし、やっぱり凄いなで終わるのだが、小林聡美がこんなにも美しくて眩しいなんて(失礼)、足が震えた。 
それからますますファンである。
その後、ドラマ「きらきらひかる」で美肌1,2位が共演しているのをテレビで見ながら、小林聡美って信じられないくらい実物綺麗なんだぜ、とことあるごとに言いふらして私は生きていた。
それはさておき。
(「かもめ食堂」の次に聡美を追いかけて「めがね」も見たが、めがねの聡美もまた凛々しかった。)

(おにぎりとシナモンロールが美味しそうな、オールフィンランドロケの映画)

グアテマラの弟

「かもめ食堂」に出ていた片桐はいりを見て、あることを思い出した。
数年前のスペインのカミーノの旅で別々のタイミングで私が知り合った日本人の2人が口を揃えて、片桐はいりの弟がやっているスペイン語学校に通ってスペイン語を勉強したと言っていたのである。
1人は私よりも少し歳上の男性で、バルで朝ごはんを一緒に食べている時にスペイン語をどうやって勉強したかの話になり、もう1人は私と同じ歳の世界一周をしている途中の女性で、別の街で知り合って、一緒にバルで飲んでfacebookを交換した時にその話になった。
その2人ともが、グアテマラのアンティグアにあるペンション田代という宿に泊まって、片桐はいりの弟が作ったスペイン語学校に通ったとのことだった。
知らない世界があるもんだ、と思った。
「美味しいコロッケなら大阪天神橋筋商店街の中村屋」くらいの常識のように、私の知らない世界では、「スペイン語を安く学ぶならアンティグアの片桐さんのところ」というコモンセンスがあるらしい。
へぇー、とその時は思いつつ、グアテマラが遠すぎる気がして、その話は私の脳を通り過ぎていったのだが、フィンランドの片桐はいりを見て脳みその底の方から戻ってきた。
調べると片桐はいりが「グアテマラの弟」というエッセイ本を書いていたのでAmazonでポチって今週読み始めた。
先に謝ろうと思うが、はいりさんごめんなさい、あの女優の片桐はいりがこんなにも文章が上手くて面白いとは予想していなかった。
まだ本の途中だがこの本が大好きである。
オードリー若林以来の旅エッセイのセンスの爆発を感じる。旅における視点や考え方、過ごし方のセンスも爆発しているように感じる。
kindle版なので、一旦読むのをやめて、来年の、大西洋を越える飛行機の中で続きを読もうと思う。

グアテマラの古都・アンティグアに家と仕事と家族を見つけた年子の弟。ある夏、姉は十三年ぶりに弟一家を訪ねる旅に出た。まばゆい太陽とラテンの文化で、どんどん心身がほぐれていく。そして陽気に逞しく暮らす人たちと過ごすうち心に浮かんだのは、外国を知らずに逝った父、家事にあけくれ続ける母のことだった。旅と家族をめぐる名エッセイ。



ラオスにいったい何があるというんですか?

それから、まだ読んでなかった村上春樹の旅エッセイ「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読んだ。
タイトルは私も国名を変えてよく言われてきたセリフである。
「インドの何がそんなにいいの?」「スペインを歩くのっていったい何がそんなに面白いの?」などなど。
それを感じるために旅に出ている、と春樹は語る。
ハルキストが喜ぶような春樹らしい表現でアイスランドやフィンランド(フィンランドがまた出てきたから私は呼ばれてると思う)やラオスが綴られていく。
私の1度目のラオスは実はそこまでピンとこなかったのだが、次のラオスは何があるのかしっかりゆっくり見たいなと思った。


それから南米に興味が高まっている今、久しぶりに映画「モーターサイクルダイアリーズ」を見たくなってサブスクを色々チェックしたが、どこにもなかったので、一万年ぶりくらいにTSUTAYAに行こうと思っているところ。
近所のTSUTAYAは、10代、20代の頃の私の最も身近な旅先だった。
今や自宅のfire tv stickであちこちへと飛べる便利な時代になったので、わざわざTSUTAYAに行くのも感慨深い。




とりあえず作品の中で世界一周をした今週の私。

6月中にしようと思ったことリストは片付いていないし、7月にすべきリストも増えた。
自分への戒めに、一応また貼っておこう。

①打つべき予防接種の種類と値段を細かく確認すること
②全体のルートをぼんやりゆるく決めること
③航空券を7月中に押さえる!
④いっぱいあるクレジットカードを整理し、旅に持っていくカード(海外旅行保険用とキャッシング用)を厳選すること
⑤使っていないカメラやレンズ一式をメルカリで売っぱらうこと
⑥退職すると伝えること
⑦インドVISAは、2019年に申請したやつがまだ使えるのかを調べること
⑧ 汚れまくってる白のガスコンロを拭くこと
⑨旅に持っていく1万円以上するものを、毎月1つは買ってもいいことにする
⑩あと貯金な!

全然手をつけていないが、来週はルートについてもう少し考えていきたいと思っている。

以上、今週の世界多分一周会議。
今週も具体的には全く進んでないけど、現実逃避の意味も含めた、映画や本の中での世界一周ができて、満足度は高かった。



2022年末から、多分、世界一周をする旅までの間のあれこれとした構想はこちら。

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