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20代の詩(nori)

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noriが20代に書いた詩。学生時代の次。
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記事一覧

【詩】恋のはじまり

右見て左見て小走りで
横断歩道を渡る君
その姿に見惚れていたら
信号が赤に変わって立ちすくむ

いつも君は急いでいるのに
走って追いかける事はできなかった

変えたいのは外から見てるだけの自分
戻りたいのは手遅れな恋のはじまり

©nori

2010/09/14

【詩】Asleep

一日が長過ぎたあの頃は

明るくなり出した窓辺を向いて

ベッドの中で打ち付ける鼓動

耳を済ましてただ聴いていた

狂い始めたメタファは

不規則になったリズムのせい

寝返りを打って感じたのは

背を向けたのは自分だってこと

うつ伏せも仰向けもあっていいじゃない

向きは変わっても目的は一緒

時には自分の内側に閉じこもっても

全てと向き合う朝を迎えよう

©nori

2010/08/2

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【詩】プライド

優しい言葉が欲しいんじゃない

誰かに認めて欲しいだけ

一人が嫌いなわけじゃない

無視されるのが嫌なだけ

君を幸せにしたくて

それを生きる理由にしてる

自己中でも暮らせるバランス感覚を

僕らは“共存”とか言って生きてるんだ

そんな醜さが出せずに息苦しいのは

ちょっと邪魔なプライドのせい

©nori

2010/07/27

【詩】あなたに

努力したってどうにもならない事もある

それを知ったからこうして慰められる

存在する意味が見つけられない時もある

そう思ったからこうして優しくなれる

愛すべき人にたとえもう会えなくても

この言葉を口にしない理由はない

あなたに感謝しています

©nori

2010/01/12

【詩】かすりキズ

買い置きのガーゼ きれいに揃えて

押さえるように指示を出す

大人しく座った君にテープを巻いて

存在価値を守っている

「こんなのかすりキズ」

笑う君から目を逸らした

その吐息にドキドキしながら

強い私を演じていたい

©nori

2010/01/04

【詩】temps couvert

バスを降りた時視線に入ったのは

今にも走り出しそうな君の姿

「久しぶり」と声を掛け合う

「変わらない」と横目でチラリ

長い長い階段の先

いくつものドアが待ち構えていて

少しバランスを崩す君を

僕が横から支えていたい

ふいに目に止まった芸術作品

僕はその価値さえわからなくて

絵に映る影を追って

首をかしげる君を笑ってた

暗い暗い地下道の中

僕らはただ出口を探して

彷徨うこ

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【詩】ひとりの美術館

ひとり黙々と歩いている

一枚 また一枚と

気に入った絵画の前で立ち止まる

何時間居ても飽きない

そう思うと目が覚める

ひとり探していたものは

結局一度も手に入らぬまま

記憶の中の置き場所へと片付けられる

一生変わらないのか

それが嫌で僕は目を開ける

©nori

2009/09/23

【詩】しゃぼん玉

どこに飛んで行くのか分からない

いつ消えるのかも分からない

不安定なものの中に

生きる意味があるような気がした

どんな形になるのか分からない

目に映るものが本当なのかも分からない

不規則なものの中に

僕だけの生き方があるような気がした

どこまでも高く舞い上がるのか

一瞬のうちに消えてしまうのか

どちらが正しいとかじゃなくて

みんな平等だって言っている気がした

©nori

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【詩】草取り

「除草剤は撒きたくない」と

頑固な君と始める草取り

自然と出てくる会話の合間

しゃがんだ視線で見つめ合う

石ころを退けたらアリ・ミミズ

退く私と喜んだ君

マイナスとプラスを掛け合わせたら

学校と違う答えになった

集めた草をひとまとめにして

ちょっぴり感じた生きる優越

©nori

2009/06/08

【詩】トライアングル

誰かに気付いて欲しくて鳴らす音

プライドと反比例したピアニッシモ

届きようがなくても止められない

僅かな希望が動かす手

与えられた場所から逃げ出したくて

与えられた時間を恨んでみたって

与えられた空間は変わらないなら

今ここでできる精一杯の

誰かに気付いて欲しくて鳴らす音

どこまでも響くようにフォルテッシモ

届けたいたった一つの音と譜面

僅かな希望に奏で出す

©nori

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