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20代の詩(nori)

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noriが20代に書いた詩。学生時代の次。
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記事一覧

【詩】shi

死が何なのか知っていれば

不安に思う事もないだろう

師の言葉には納得できる

未知の恐怖というやつだろう

士が自らそれに立ち向かったのも

それに耐えうる志の表れか…

四が死と嫌う者達よ

これで幾らか気は紛れたか

©nori

2011/01/25

【詩】神様の仕事

家を掃除するのは母の仕事
お風呂場の掃除は姉の仕事
犬小屋の掃除は僕の仕事
街を掃除するのは雨の仕事

自然界ではちっぽけな僕も
偉大な神の御恵みも
やってることは一緒なんだ

誰にも感謝されなくてもいい
神様の仕事をすればいい
明日がどんな天気だろうが
それに感謝して生きるとしよう

©nori

2010/11/04

【詩】幸せの色

淡いブルーの制服と

窓から見えるコスモスを

合わせて紡いだphotograph

紺のスカートと対照的に

光る君の笑顔を見るたび

僕の胸にも光が射すんだ

あの頃の君とそっくりな

娘をこの腕に抱きしめる

同じように照らす光

当たり前の日常に

満ちあふれる幸せの色

©nori

2010/09/24

【詩】愛拶(あいさつ)

【詩】愛拶(あいさつ)

「はじめまして」

昨日も言ったあいさつを

今日もまた言うんだね

「さようなら」

今日も交わしたあいさつを

あなたはすでに忘れていくの

特別な出会いが増えていく

「はじめまして」

明日も変わらず愛拶を

あなたにとっては新しい

二人の素敵な出会いだね

©nori

2010/06/24

【詩】帰りの車窓で

夕闇に包まれた帰りの車窓で

なだれ込む人の波

距離を詰める君と僕

発車と停車を繰り返し

昨日と変わらぬ線路を走る

街灯が照らした帰りの車窓で

眠そうに君は船を漕ぐ

触れ合う君と僕の右肩

近付き過ぎて目覚めた君

離れる肩に目覚めた僕

©nori

2010/10/16

【詩】恋のはじまり

右見て左見て小走りで
横断歩道を渡る君
その姿に見惚れていたら
信号が赤に変わって立ちすくむ

いつも君は急いでいるのに
走って追いかける事はできなかった

変えたいのは外から見てるだけの自分
戻りたいのは手遅れな恋のはじまり

©nori

2010/09/14

【詩】Asleep

一日が長過ぎたあの頃は

明るくなり出した窓辺を向いて

ベッドの中で打ち付ける鼓動

耳を済ましてただ聴いていた

狂い始めたメタファは

不規則になったリズムのせい

寝返りを打って感じたのは

背を向けたのは自分だってこと

うつ伏せも仰向けもあっていいじゃない

向きは変わっても目的は一緒

時には自分の内側に閉じこもっても

全てと向き合う朝を迎えよう

©nori

2010/08/2

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【詩】プライド

優しい言葉が欲しいんじゃない

誰かに認めて欲しいだけ

一人が嫌いなわけじゃない

無視されるのが嫌なだけ

君を幸せにしたくて

それを生きる理由にしてる

自己中でも暮らせるバランス感覚を

僕らは“共存”とか言って生きてるんだ

そんな醜さが出せずに息苦しいのは

ちょっと邪魔なプライドのせい

©nori

2010/07/27

【詩】あなたに

努力したってどうにもならない事もある

それを知ったからこうして慰められる

存在する意味が見つけられない時もある

そう思ったからこうして優しくなれる

愛すべき人にたとえもう会えなくても

この言葉を口にしない理由はない

あなたに感謝しています

©nori

2010/01/12

【詩】かすりキズ

買い置きのガーゼ きれいに揃えて

押さえるように指示を出す

大人しく座った君にテープを巻いて

存在価値を守っている

「こんなのかすりキズ」

笑う君から目を逸らした

その吐息にドキドキしながら

強い私を演じていたい

©nori

2010/01/04

【詩】temps couvert

バスを降りた時視線に入ったのは

今にも走り出しそうな君の姿

「久しぶり」と声を掛け合う

「変わらない」と横目でチラリ

長い長い階段の先

いくつものドアが待ち構えていて

少しバランスを崩す君を

僕が横から支えていたい

ふいに目に止まった芸術作品

僕はその価値さえわからなくて

絵に映る影を追って

首をかしげる君を笑ってた

暗い暗い地下道の中

僕らはただ出口を探して

彷徨うこ

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【詩】ひとりの美術館

ひとり黙々と歩いている

一枚 また一枚と

気に入った絵画の前で立ち止まる

何時間居ても飽きない

そう思うと目が覚める

ひとり探していたものは

結局一度も手に入らぬまま

記憶の中の置き場所へと片付けられる

一生変わらないのか

それが嫌で僕は目を開ける

©nori

2009/09/23

【詩】しゃぼん玉

どこに飛んで行くのか分からない

いつ消えるのかも分からない

不安定なものの中に

生きる意味があるような気がした

どんな形になるのか分からない

目に映るものが本当なのかも分からない

不規則なものの中に

僕だけの生き方があるような気がした

どこまでも高く舞い上がるのか

一瞬のうちに消えてしまうのか

どちらが正しいとかじゃなくて

みんな平等だって言っている気がした

©nori

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【詩】草取り

「除草剤は撒きたくない」と

頑固な君と始める草取り

自然と出てくる会話の合間

しゃがんだ視線で見つめ合う

石ころを退けたらアリ・ミミズ

退く私と喜んだ君

マイナスとプラスを掛け合わせたら

学校と違う答えになった

集めた草をひとまとめにして

ちょっぴり感じた生きる優越

©nori

2009/06/08