今日の私とWBC、そしてヌートバー選手について

今日もよい天気である。しかし、近所のちょっとした商業施設へちょっとした用事で足を運ぼうとしたものの、どうも家を出ようという気持ちに中々ならなかった。家を出るのが若干怖かったとも言える。家を出ると碌でも無い事にしかならない予感がしたのである。そして、その予感は見事的中した。延べ1時間程の外出になったが、やはりと言うか、鼻はぐちゃぐちゃに崩れ、目は乱れに乱れ、集中力は四方に散った。怒りすら覚えながらふと遠く山に目を向けてみると、ついこの前まで綺麗に見えていた山々は、この諸悪の根源によって霞んでいた。

端的に言うが、正直参っている。集中力が欠けている故にゲームにも読書にも入り込めないし、当然散歩に行くとかそんな事は論外である。しかも、鼻詰まりの影響かと思われるが、夜もあまりしっかりと睡眠を取れていないようで、日中の眠気が強い。つまる所、何をやってもつまらないのである。しかも、挙句の果てにこの春の天気である。冬や寒さが好きな私にとっては、日常の背景がこの不愉快な気温であると言う事は、悲報に他ならず、救いの無い状態なのである。

そんな中で「やはり」と言うか、プロ野球、WBCが私に落ち着きを与えてくれている。どんなに苦しい日中であれど日が沈んだ後には野球が待っていると云う現実は、暗闇の中の小さな、でも確実な光である。こういった感覚は過去に何度も抱いてきた。そしてその都度、私は野球との関係を深めていったのである。冬は無いが野球はある。そうやって心を落ち着かせる経験は最早お馴染みである。

そんな中で特筆すべき事がある。侍ジャパンの一番打者で外野手の、ヌートバー選手についてである。映像越しに僅かな時間ではあるが彼の姿を見て、侍ジャパンのメンバーで一番この舞台に燃えているのは彼ではないかと思えてくる。日の丸を背負うという境遇を、どのメンバーよりも力に変換しているのではなかろうか。私は、このメンバーの中でカッコいいという表現が一番似合うのは彼だろうと思った。そして、明らかに私の持っていないものを持っていると思った。適時打を放ったり、巧みな走塁判断により一つ先の塁に進んだりして雄叫びを上げている彼を見て羨ましいと思った。彼にここまでのパフォーマンスを発揮させていると思われる何かに、私はこれまであまり関心を持たなかった。しかし、彼を見てその何かに関心がいっている私がいる。改めて言うが、ヌートバーと云う侍は、誰よりも侍であるように思う。諸々の救いを奪われた私に力を与えてくれている野球の、その中心に居るのが彼である。

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