乃井万nosuke

元々理系脳なのに文系畑に進んだ空想系塾講師です。 個別指導の塾講師として20年以上、1…

乃井万nosuke

元々理系脳なのに文系畑に進んだ空想系塾講師です。 個別指導の塾講師として20年以上、1000人を超える生徒と1対1で接してきました。 趣味:ジョギング 特技:道ですぐ行き先を見失うこと

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  • 世界と世界をつなぐもの

    創作大賞に挑戦しよう!と思って、人生で初めて仕上げた小説です。読んでもらえると嬉しいです。

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「世界と世界をつなぐもの」第1話

【第1話 プロローグ】  みんな、どうして泣いているの?  美羽?なんで起きてこないの?  ねぇ、いつもみたいに話そうよ。  なんでずっと黙ってるの?  私と話す時が一番楽しいって言ってたよね?  ねぇ美羽? 美羽! ※ 「大丈夫? 青葉?」  その声にふと我に帰ると、目の前に美羽の顔があった。ちょっと驚いたが、その表情は私を心配したものだとわかった。  学園祭のフィナーレを飾る花火を美羽と一緒に見ていたのだけど……。  私は一瞬気を失ったのだろうか?  さっきまで

    • 【4コマ小説?】「ツッコミ神様見聞録」②(挿絵あり)

      【バケモン?と叶えた願い?】  二日目。  午前2時。白装束を着た女性が本堂の前に立った。  午前2時。  初詣でもないのに、こんな夜中に神社にお参りに来る人間などいるだろうか。『丑の刻参り』という言葉が脳裏をかすめる。    ……まさか。  しかしその割には他に何の装備もしていない。  ゆらゆらと揺れているように見えるその姿は、通常の人間のそれではない。    この人……人間とちゃうんやないか?    ……バケモン? 『可愛くなれますように』    メッチャ普通の女

      • 「世界と世界をつなぐもの」目次&一言概要

        話ごとにご覧になりたい場合にご活用ください。 各話の最初のページに飛びます。 第 1 話 プロローグ  親友と一緒に見た学祭最後の花火。  とても印象深い時間だった。不思議な幻想と共に 第 2 話 学祭実行委員、再び  去年だけで終わりだと思っていたのに。  テーマって……ねぇ、美羽はなんて書いた? 第 3 話 学祭テーマ  みんなの投票で決まったテーマがまさかの展開。どうして? 第 4 話 学祭実行委員長選挙  私はいつでも応援しているよ!  って、考えてみたら……

        • 「代名詞戦隊 ワタシーズ(be動詞怪人編)」

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        「世界と世界をつなぐもの」第1話

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        • 世界と世界をつなぐもの
          50本

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          お前がいる人生

          お前がいなくてせいせいする テレビも自由に見られるし 食べたい物も食べられる 本当にいなくてせいせいする 送迎されるのが当然で 感謝の言葉一つない まったくもってせいせいする ぽっかり空いた食卓の椅子 広くなったリビングルーム 昔のことを思い出す ナポリタンを手で食べて その手で顔拭きケチャップだらけ こんなことも思い出す 家族旅行が楽しみすぎて 10日前から準備して いつでもお前を思い出す 受験合格ハイタッチ はにかみながらのその笑顔 誰が何と言おうとも お前と

          お前がいる人生

          【4コマ小説?】「ツッコミ神様見聞録」(挿絵あり)

          【拝む位置】  ワシはツッコミ神見習い。  ここ『突込神社』は、郊外に位置する自然豊かな場所じゃ。隣に大きな公園があり、毎日そこそこ参拝客が来るらしい。  今日は就任一日目やからな。  何でも願いを聞いてあげまっせ〜。  これも修行や。  はよぉ一人前にならんと。 『宝くじで1等が当たりますように』  はい、ムリー。  そんな欲得の濃い願いは叶えませーん。  『何でも聞く』とは言うたけれども『何でも叶える』わけとちゃうで~。  しかも賽銭1円って、あんた。  まぁお賽銭

          【4コマ小説?】「ツッコミ神様見聞録」(挿絵あり)

          【創作大賞2024応募作】「世界と世界をつなぐもの」あとがき

           まだ推敲などをしていくつもりではありますが、とりあえず書き終えました。  一度完成させたものが気に入らなくなり、大幅な手直しを加えて出し直すという作業。それを初めて完成させた小説で行うという……(笑)  『小説』と呼んで良いものかどうかは分かりませんが、現在の私の力で精一杯書き上げたつもりです。読んで頂ければ幸いです。  この話を思いついたのは、昨年の10月でした。  ある大学の学園祭で見た花火と、そこに集う大学生たちの歓喜の輪から着想を得ました。それに私の世界観を加え

          【創作大賞2024応募作】「世界と世界をつなぐもの」あとがき

          「世界と世界をつなぐもの」第11話

          ≪前へ 【第11話 エピローグ】  夢を見た。  私の目の前に私がいる。 「もし私が強引に体を奪おうとしたらどうするつもりだった?」  青葉、あなたはそんなことをする人じゃない。私が一番わかっている。『自分自身』だから。  でも、もしそうなっていたら……。 「その時こそ一人の青葉に戻れるチャンスだと思ってた。全力で迎え入れて全力で自分を放出するつもりだったよ」  私はニヤッとした。  青葉は驚いたように目を見開くと、フッと息を吐いて微笑みを浮かべる。 「負けたよ。こん

          「世界と世界をつなぐもの」第11話

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ⑦

          ≪前へ  ロストデータは時間が奪われる。  事態に直面して初めて理解した。  でも……もう遅い。  考えてみれば当たり前だった。  コンピューターの中にずっと眠っているデータは最終更新日から時が動かない。  外界から見られなくなること。  それは時間が止まることを意味する。  考えが浅はかだった……。  みんなごめん。  ごめんじゃ済まないけど本当にごめん。  あんなに一生懸命協力してくれたのに。  急速に暗くなる空間。  歪みが強くなる世界。  今まさに時間が

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ⑦

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ⑥

          ≪前へ  感じた人たちが周りを見てザワザワし始めた。  それと同時にゆらぎが少しずつ少なくなっていく。 「何があっても願い続ける! その信念が願いを叶えるんだよ!」  亜里沙がマイクで叫んだ。  すると、ゆらぎは再び増していった。  背景と共にゆらゆら揺れながら光の尾が高く昇っていく。  そしてパッと光って大きく開いた。  夜空に咲いた青空だった。  雲一つない空のような、さわやかな青が一面が広がる。  その瞬間、ここに集まった人全員分の願いが一気に駆け昇った。その一

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ⑥

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ⑤

          ≪前へ  花火が始まった。  小さい花火から上がり始める。  本当に大勢のギャラリーがいた。  お客さんを繋ぎ止めてくれたフラッターズのみんな、絢里、亜里沙、ペーパー、ヤッチー、ヨモギンのおかげ。  そしてセンチョーの……。  シマエのお父さんが打ち上げてくれている花火。  メイもどこかで見ていたらいいな。本当はこの場にいて欲しかったけど……。  ———ねぇ、現実世界の美羽が見せた最初の笑顔を覚えてる? 『何を突然。覚えているに決まってる』  ———どんな笑顔だ

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ⑤

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ④

          ≪前へ  私は絢里に復讐を誓いながら、ステージを降りた。  その後もフラッターズのライブは大盛況。みんなノリに乗っていた。 「いよいよだね。美羽。桜小路さん……私も『青葉』って呼んでいい?」 「え……あ、いいけど……いよいよって?」  急に実行委員の誰か(確か船橋さんと中江さん)から声をかけられて、ちょっと飛び跳ねてしまった。 「ここにいる人はみんな知っているよ。今から何をしようとしているのか」 「え?」  美羽と顔を見合わせた。 「亜里沙から聞いたよ。私たちにも言ってく

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ④

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ③

          ≪前へ  ステージを見ながら、美羽が尋ねてきた。 「ねぇ青葉、本部の青葉は妨害してくると思う?」 「多分。でも私は青葉に体を乗っ取られる気はないから大丈夫だよ」 「でもさっきの阿佐部さんみたいにセンターの人を使ってくるかも」 「それは多分大丈夫」 「どうして?」 「青葉は阿佐部さんのことを相当怒っていると思う。美羽の小箱を奪おうとしたから。この世界に来させないかもよ。巻さんはデータ化されたし」  青葉は美羽を本当に大切にしているから。  美羽に何かしようとしたら絶対許さな

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ③

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ②

          ≪前へ  学祭もあとわずかの時間を残すのみとなった。  日も暮れかけて、模擬店もほぼ閉店し、ステージイベントもなくなり、少しずつ客の数も少なくなっていく……はずだった。  しかし今、学祭実行委員テントも他サークルの模擬店も明かりが消えていない。  まだ多くの人が会場に残っていて、誰も帰ろうとしない。  ———なぜ? 「あれぇ? どうしたんだろ?」  美羽も不思議がっていた。  まだジュースなどを買う列ができている。各模擬店が出せるものをできる限り提供してお客さんに振舞っ

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ②

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ①

          ≪前へ 【第10話 決意のグランドフィナーレ】  みんなが駆け寄って来る音が聞こえる……。  そうか……刺されちゃったんだ。  私、データ化しちゃうんだ。  もう私はみんなから見えなくなっているのかなぁ? 「青葉! 大丈夫?」  美羽の声。美羽は記憶が消えないから私のことがわかるんだ。 「あおっち!しっかりしろ!」  ん? ペーパー? なんで私の記憶が消えないんだろう?  あれ? 目が開く?  みんなが見える。 「大丈夫? 青葉!」  ———あれ? 大丈夫だ。 「う

          「世界と世界をつなぐもの」第10話 ①

          「世界と世界をつなぐもの」第9話 ⑦

          ≪前へ 「美羽、遅刻ギリギリー。何をしていたの?」  司会を終えて舞台裏にやってきた絢里に、今までの話を聞かせた。  現実世界の美羽の話を聞いたときは驚き、 「だから美羽、目の周りが赤かったんだね」 と、いたわるように美羽の肩をなでていた。  美羽は再び目を涙でにじませる。 「絢里はどうしたらいいと思う? つながりを切る計画、このまま進めてもいいと思う?」  私がそう聞くと、絢里は口ごもった。  いつも明朗に判断する絢里が迷っている。 「そんなことしたらダメに決まってる

          「世界と世界をつなぐもの」第9話 ⑦