10メートルの恋
毎週土曜、午前10時、近所の公園に行く。
別に必ずじゃないけれど、雨降ったら行かないし。
公園では決まったベンチで読書をする。
読むのはなんでもよくて、そういう習慣が欲しかっただけ。
…ごめん、嘘ついた。
ほんとはその時間に向かいのベンチにいつもの男性が来るから。
ワンチャン連れて散歩がてら休憩してるみたい。
…恋くらいしてもいいじゃん。
ある時、私の目線に彼が気づいてくれたの。
その日からは、毎週公園に行くのが楽しくて。
晴れろーってずっと思ってるの。
彼の目くばせも可愛いんだもん。
無言の会話が終わったら私は本をしまって、帰るだけ。
彼もワンチャンを連れた奥さんとどこかへ消えてくの。
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