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大切なもの 半身

あなたの気持ちが、わかるような気がした。 初めから愛情が理由で尽くしていた ……でも愛情も100%じゃ足りなくなってくるみたいだった こんなに尽くしているのに 愛があっても何も力にならない あなたは快くならない わかってたはずなのにね…… どれだけ苦しそうでも 本当にあなたの苦しみを体感することはできない もどかしい あまりにつらそうな表情をみつめて、私たちは何も感じないようにして、それで、 あなたの声になっていた そのつもりになっていた わからなかったけど、 わかったふり

    • 浮泛不時着フリュイディティ

      わたしはわたしをどこへ飛ばしてしまったの? ロケットには想いを積めるだけ詰めて 遠ざかるふるい明かりたち いまだ虚空を見つめている つぎの光へはまだまだ遠い このジェットが止まっても あの場所へ戻れるわけではない てばなしに放り投げられて 空気が薄れてなにもわからなくなって なにかがたくさんあって、でもなにもなくて ただただその場所に彷徨うだけ もう時間が過ぎて、意味のなくなった感情 傷に合わせたうたよりも飲み込みやすくて 傷ふさぐような心ふさぐような、音色を 口笛吹いて

      • あのころのこれから

        生きていたんだ だけどぼくらは 生きるってより いきを堪えてた まあいいじゃないか 苦しむ自由を得ても 泳ぎ回って溺れては 鼻に水が入るように  あの頃に戻ったとしても  のけものは変わらないんです  この時感情というのを覚えたてで  ろくにその使い方を知らなかったのだ  のっぺらぼうみたいな、笑ったぼくの表情  こころがどこにあるか見つけたときに  れっきとした居場所を探し当てて  かべを作り上げては閉じこもる  らくになってもいいですか ぼくは今になってまでも

        • グレイコードの雲行きは?

          暑い日は外へ出たくないし 寒い日は外へ出たくないよ 雨が降るなら出掛けるのは億劫だね 熱い関わり合いは疲れるし 冷たくされるのも淋しいよ 湿った関係だと居心地がわるいなあ 曇った表情 集った情報 しかめっ面をほどいて 充電コード巻きつけて なにをしてる なにをしよう なにができたっけ、わたし? やさしい真ん中はどこにあるだろうか 自分が自分に縛られない場所 ぐるぐる渦巻いてるのは誰なのか あなたもわたしも判らなくなる場所 きっと周波数も計測できない場所は、嵐の外側にあ

        大切なもの 半身

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        • 雑閑
          10本

        記事

          d/rain/er

          夢にでてきた またお別れだ 夢のなかでは 悲しくなんて、ないな……ないな 一度でいいから あなたの言葉を その悪夢に、とらわれた僕に あの言葉を、となえる幕間へ ゆるしの言葉を ひと言でもいい 夢そのものでさえ、 うつつを求められ 寡黙な紗幕の裏側 その向こうに立つ まだ名前も呼べず 笑うこともできず あなたはもう二度と笑わないのだけど 夢の中では笑ってみせてくれるはずだ 僕も眠ることが怖くなくなったときに 本当のあなたに会いに行けるでしょう

          不透明に穿つ月明かり

          向こうへ満ちるは勇気ばかり 不毛で良いつらぬく気がない 嘘、不誠実、悪口、わたし 無等星偽わる罪は無し いつのまにかに 雲上にいるは薄い朝陽 知るのは痛み ふとした瞬間によみがえる 胸の奥の痛みがこみあげる いつも会いたいと呼びかける まだ粗い、心は、ひとみに宿る あなたたちの存在はわたしの重力源 あたたかい光のみなもとは影を垂らし やわらかい影をわたしは重たく引き摺る 敵ではないよ ふたりはおなじだった できれば愛を むかしはおなじだった 2016/11/16 0

          不透明に穿つ月明かり

          くらいくろいガスの中で星は

          ああ……どうか さびしくなってしまう前にひとりにしてくれないか きっとだれもいない街のほうが ずっとさびしくないのだ スポットライトも明るい夜更けも今は要らない だれもわたしを見ていなくても、どこかで星が灯っているならそれでよかった 明日もあの星は同じように輝いているだろうか? もがくみたいに手を伸ばしたけど 掴んだはずだったものは泡なんかよりも呆気なくかき消えて 明日の自分なんかには頼れない 「わからない」とばかり叫喚する明日、 もうわたしを待っていなくていいよ 2

          くらいくろいガスの中で星は

          ここにないから大切なのさ

          生れたその瞬間も 喪ったあの瞬間も おぼえているだけ あなたの声が 私の耳の後ろ 見えないところで 笑いかけているね 川辺のまるい石 初めて書く日記 給食のラーメン 私を作った本に 板書のノートも 真剣になって考えていたんだ 心がどこにあるのか 忘れもしない思い出なんて そんなものはどこにもない 心はどこにあるのか 真剣になって 地球をついぞ見たことがないが あなたの瞳よりきれいだろうか すんでいるから、見透せないのさ

          ここにないから大切なのさ

          虚無感の夜這いワルツ

          ふとんのなかにはなんにもない暗闇 なんてことはない空虚な思考と踊る 過去と未来はどっちが、先なのだろう シリウスAとシリウスBの距離を思う 北だけが上になった世界 どこかの車のブレーキや、風が鳴り止んだ音と、残響、 寂寞、寂寞、寂寞…… 明日のことを考えながら、眠りかたを思い出す 手が冷たい人は心が温かい なんて言ったのはだれ? どこを触ってもひんやりしていて、脈を打つむねの中はこんなにも冷たくいたんでいる まるで、雪降る日の夕暮れ 求めていたはずのものごとを見失う日々

          虚無感の夜這いワルツ

          いつだって受けつけています、憐れみと、お悔やみを

          僕は嘘と隠しごとを見つけようとして 三原色でできた君の虹彩を透かし覗く 火照らないで 鏡の奥の熱線 結露はずっと 君との狭間に 沈みゆく夜にまとわりつかれて 目深にかぶったフードで隠す まるで涙のような夜露には おびただしいほどの憂い 会いたい時こそ、そばにいてはいけない ここにいない、君を描くことができない 僕だけでは、僕になることさえできないよ 今夜も探していた 愛などなかったと 証明できる理由を 掬うつもりでいる こんなこんな傷孔を 隠し通せるるくらいなら こ

          いつだって受けつけています、憐れみと、お悔やみを

          眠るために生まれた、孵らず消えた行方

          きみと会うより前の私は、生まれてないだけの青い虫なのです 弱いから、なんにも守れやしなくて 酔いはまだ、ほどくことができない 世界を変えると誓った ただ誰しもが勘違った 私は既に変わっていた 強いもののために選んだら 弱い私を置いていくんだね それでもいい、失う未来を 守ることをあきらめないで 傷口のようなニュースのタイトルを 片っ端から引き剥がして退屈凌ぎを 朽ちた桜はまだ蕾のままで 片隅に散りばめられていた 見えない翳りにとらわれて いったいなにに追われてるの?

          眠るために生まれた、孵らず消えた行方

          「またね」がないから今夜は幽霊

          これは極論である これは比喩である わたしは今夜幽霊だから ティーカップの中にはいない、元からいない スプーンの中にもグラスの中にもアールグレイの中にもいない でも探してしまう なぜなら不特定多数の集まるテーブルにいて、ほかに出来ることがないから 不特定多数とはわたしで、あると思う、 わたしとは不特定多数だ 口を開けば嘘を吐いた 口を閉じてそのまま嘘を噛んだ 自分以外の誰かからすれば真実であったとしても、 わたしにとってはそれは嘘なんだよ だって自分のことだからね

          「またね」がないから今夜は幽霊

          ひとりぼっちの私を抱きしめに行ってやりたいのさ

          太陽が視たくて 何度目を閉じただろう なんのためにもならない 相手のいない 謝罪を回想 ああ だから 言ったじゃん テレビなんかいらないって 聞き馴染んだ音も 今や もう興味をそそらない戯謔 流れて 流され 部屋の中から 知らない人の笑い声 春はいつも 明日が遠いみたい 洗濯機は妙にうるさいし 私のためだけに 踊ってる 部屋の隅ばかり見つめて ゆりかごの中で眠る夢 私じゃなくてもいいのになあ この部屋に 閉じ込められるのは でも 閉じ込めたのは 外でも無い自分自身だ

          ひとりぼっちの私を抱きしめに行ってやりたいのさ

          凍った雲の上に立ちすくんでいる

          それでもぼくには今日しかないので いつでも振りまけるだろうか 言葉にしないものだけを信じ たどたどしく伝え合うよりも 一度でいいから優遇してくれ 研鑚と称賛は あくまでも反比例 蓋のない許容も 底のない涙も 髪質も 生まれつきなので 諦められるのは一度きり 誰でもないぼく自身は どこかの誰かのために ひた走るようなそぶり 許される方向を目指し 右へ行ったら、 大嵐の海岸 左へ行ったら、 濃霧の山岳 真っ直ぐ進めば、 酸素がないと案内板が立つ 振り返れば近くまで、 愛

          凍った雲の上に立ちすくんでいる

          傾いて死んでいる名前がいたらそれはわたし

          逃げることからも逃げたいだけのループ 早く消えたいって思って泣いて なのに誰かが悲しむのは嫌だって これは矛盾ですか、罪ですか ごめんなさい悪いことが何かはわかってるんだけど すぐにでも消えたいっていう欲望と このままで過ごしたいっていう希望 でも次の日を渇望した名も姿も知らぬ誰かの影が引っかかっていて それに伴う罪悪感に 苛まれてそしてまた失いたくなる 周り見ているつもりで、ほら堂々巡り 自爆する爆薬の導火線の気持ちも考えてください 他人の失敗を許すことに甘んじて自

          傾いて死んでいる名前がいたらそれはわたし

          そして暗転 オールホワイト

          耳の外で脳が鳴っている あきらめないよう懸ける あきてきたこの陰りにも 雪よりも冷たく降り注ぐ 風よりも速く馳けつける 誰も待っていない地点へ 紙切れだけが楽しげだ 目的地を探しつづける 破れた羽が生えている なのに どこにも連れていってはくれないみたい 私が待っているよ 構って構って まだまだ募集中 頑張れる頑張り方 明日からの旅先で見つけるのは 昨日まであったものの在り処だ 今日の私はいつも手持ち無沙汰 理想に寄り添ってみて 妄想もうそぶく躁状態 終わりを割り切

          そして暗転 オールホワイト