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会話の中に「うーん」「えーっと」という意味のない言葉を挟む理由

何かを話す時、意味もないのに「うーん」「えーっと」

という言葉を口をついつい口にしてしまいませんか。

「人はなぜ言葉の前に『うーん』『えーっと』
といった意味のない言葉を挟んでしまうのか?」

という疑問について研究した結果が、
科学雑誌の米国科学アカデミー紀要に発表されました。

言語学者であるフランク・セイファート氏らの研究チームは、

ヨーロッパ・北アフリカ・メキシコ・シベリア・
ヒマラヤ・アマゾンの熱帯雨林・カラハリ砂漠といった様々な地域で
人々の日常会話を録音しました。

研究チームは9つの言語にまたがった28万8484語におよぶ
音声サンプルを分析し、発話のスピードについて調査したそうです。

その結果、いずれの言語も日常会話のスピードは
常に一定というわけではなく、発話スピードは常に変動している
ことがわかりました。

研究者らが会話に使われた単語のうち
「名詞」「動詞」に着目して分析したところ、

名詞の前で発話スピードがゆっくりになる傾向がみられました。

発話スピードと動詞、名詞の関連は9つの言語
すべてに共通する特徴でした。

「うーん」「えーっと」といった意味のない言葉が
名詞の前に登場したり、

名詞の前に沈黙が挟まる割合は、動詞の前と比較して
60%も多かったそうです。

研究チームは「日常では使わないような複雑な動詞の前には、
名詞と同じくらい沈黙や意味のない言葉が入るのか?」

という点についても調査したとのことですが、
やはり身近でない複雑な動詞よりも一般的な名詞の前に、

たくさんの沈黙や意味のない言葉が挿入されていました。

名詞は会話が伝達する内容に新たな情報や
予期しない情報をもたらす場合に使用され、
時には代名詞に置き換えたり省略したりする必要もあります。

そのため、名詞を発言する時は動詞を発言する時に比べて
多くの制約がつくそうです。

名詞の前に「うーん」「えーっと」といった言葉が付随しやすいのは、

名詞が持つ複雑性が動詞の持つ複雑性を上回ることによる
研究チームは推測しています。

今回の研究結果は『うーん』『えーっと』という
言葉の発生条件について明らかにしただけでなく、

文法や文化において広い多様性を持つ言語においても、
発話スピードを含む音声リズムに一定の共通点があることを示すものです。

とセイファート氏は語りました。


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