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民法 買物における危険負担

 少し前に、こういう話がツイッターで流れてきました。

 民法改正で変わった危険負担の所だったと思いますので、ちょっと確認してみました。

 状況を整理すると、レジの通過後なので、
  ①売買契約締結済、
  ②売買代金の計算済、
  ③代金支払「」に売買対象物(豆腐又は揚げ物)が滅失、
  ④代金支払い前なので、売買対象物は引き渡されていない、
という流れです。

 本問では、双務契約である売買契約が成立した後、売主及び買主双方の債務履行前に、売主が引き渡すべき動産(売買対象物)が滅失しています。このため、本問では、双務契約における危険負担が問題となります。 

 危険負担とは、(i)売買等の双務契約が成立した後、(ii)一方の債務が債務者の責任ではない事由(天災等)が原因で、目的物が滅失等し、(iii)物を引渡すという債務が履行できなくなった場合において、その損失やリスクを契約当事者のいずれが負担するかという問題です。

 ここで、民法536条は、当事者双方の責めに帰すことができない事由によって契約履行不能となった場合、債権者は反対給付の履行を拒むことができることを規定します(民法536条)。

 本問では、売主側が引き渡すべき売買対象物を引き渡す前に、売買対象物が滅失しているので、売買契約が契約履行不能となっています。このため、買主は、売買代金の支払いを拒むことができます。その後、契約解除もできます(民法541条から543条)。  
 なお、売主側が引き渡すべき売買対象物を引き渡した後に、売買対象物が滅失した場合、買主は、売買代金の支払いを拒むことができません(民法567条)。

・民法536条 債務者の危険負担等

(債務者の危険負担等)
第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

・民法541条 催告による解除

(催告による解除)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

・民法542条 催告によらない解除

(催告によらない解除)
第五百四十二条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

・民法543条 債権者の責めに帰すべき事由による場合

(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
第五百四十三条 債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない。

・民法567条 目的物の滅失等についての危険の移転

(目的物の滅失等についての危険の移転)
第五百六十七条 売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る。以下この条において同じ。)を引き渡した場合において、その引渡しがあった時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、買主は、その滅失又は損傷を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。この場合において、買主は、代金の支払を拒むことができない。
2 売主が契約の内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失し、又は損傷したときも、前項と同様とする。

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