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週刊レキデンス

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#医療

週刊レキデンス ~第1回~

週刊レキデンス ~第1回~

はじめまして。 薬剤師をやりながらお薬や医療にまつわる歴史について学んでいる人です。

今までに調べてみた歴史などについて、不定期ではありますが発信していこうと思いまして不定期な連載をしてみます。歴史とエビデンスを混ぜて”レキデンス”  どうぞよろしくお願いいたします。

第1回は、麻薬の歴史について
・麻薬の原点であるケシ(アヘン)は一体どこが原産地なの?
・アヘンの成分が分かったのはいつくらい

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週刊レキデンス~第2回~

週刊レキデンス~第2回~

第1回では、モルヒネの起源や発見の話をしていきました。
第2回では、モルヒネにまつわる、日本にも関係してくる歴史の話をしていきたいと思います。 ちょうど今、NHK大河ドラマ「青天を衝け」で、井伊直弼の安政の大獄から、幕末の動乱の入り口へと入って行きました。そこにどうモルヒネが関わってくるのか?書いてみたいと思います。

~前回の続き~
1925年前後までにアヘンからモルヒネの単離や構造式の決定まで

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週刊レキデンス~第3回~

週刊レキデンス~第3回~

週刊レキデンス第3回目です。

第1回、2回と幕末までのオピオイドを中心にした乱用にまつわる歴史を書いてきました。今回は、現代における薬物乱用について書いてみます。

それではいきましょう!

薬物乱用の原因になるものは、モルヒネだけではありません。モルヒネを含めた麻薬、覚醒剤、向精神薬、大麻など沢山あります。この様々な薬物による乱用はどの様な経緯を辿ったのでしょうか?そして、麻薬は違法な麻薬だけ

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週刊レキデンス ~第4回~

週刊レキデンス ~第4回~

前回までは麻薬(オピオイド)の処方量について書いてみました。その第3回の最後に使用した「オピオイドクライシス」という単語について一体どういうものなのか書いてみたいと思います。

【オピオイドクライシス(米国社会の危機的状況)とは何ですか?】前回最後の方に「オピオイドクライシス」という単語を使いました。「オピオイドクライシス」とはなんでしょうか?
これは、2017年 米国トランプ前大統領によって発言

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週刊レキデンス ~第5回~不整脈治療の歴史

週刊レキデンス ~第5回~不整脈治療の歴史

第1回から第4回までは、麻薬などの乱用に関わる薬と歴史の話をしてきました。第5回からは、心臓疾患を交えた歴史+エビデンスのお話をしてみます。 今回調べを進めると、アミオダロンという薬が最近推しの話題がキャッチ出来ました。何故アミオダロンが推しなのだろうか。その経緯を綴ってみました。

不整脈の治療はいつから?皆様、「不整脈」というものを聞いたことがありますか?

不整脈とは、正常な心臓は規則正しく

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週刊レキデンス ~第6回~ CAST試験が及ぼした影響

週刊レキデンス ~第6回~ CAST試験が及ぼした影響

第6回では、5回で触れたCAST試験について触れました。この試験を通じて不整脈治療にどのような影響を及ぼしたのでしょうか?

前回、アミオダロンの話をしました。このアミオダロンのKチャネル抑制が活動電位持続時間を延長する、抗不整脈作用がある事を確定させたのは、他ならぬ Bramah N Singh (1938年3月3日-2014年9月20日)でした。この論文のタイトルが興味深く「新規抗狭心症薬であ

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週刊レキデンス ~第7回~ インクレチンってなんだろう?

週刊レキデンス ~第7回~ インクレチンってなんだろう?

ここ10年くらいは、DPP4-阻害薬やGLP-1作動薬等のインクレチン関連薬が次々に開発、承認、発売されています。そんなインクレチン関連薬は一体いつから注目されてきたのでしょうか? 今回はその疑問と最近のインクレチン関連薬について調べてみました。

インクレチンとは?DPP4-阻害薬やGLP-1作動薬はインクレチン関連薬と呼ばれます。それではインクレチンとは何なのでしょうか? 
インクレチンとは、

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週刊レキデンス ~第8回~ GLP1作動薬 注射と経口

週刊レキデンス ~第8回~ GLP1作動薬 注射と経口

前回は、インクレチンの歴史を遡ってみました。
インクレチンについて振り返ってみましょう。インクレチンとは、食事により腸管から分泌されるホルモンのことであり、それにはGLPとGIPがあります。このインクレチンは、血管を通って膵臓にたどり着き、β細胞からのインスリン分泌を促す事が出来ます。図1にまとめてみますとこの様な感じでしょうか。

この動きを補助的に行っていくのがGLP-1作動薬、またインクレチ

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