見出し画像

龍虎相搏つ


毎日更新115日目。

昨日は免許更新に行ってきた。

バッドコンディションの中、何とか自分を奮い立たせて家を出た。

普段のにっしゃんからは考えられない事である。

いつもなら諦めてバイトまでもう一回寝るところである。

僕が何故動く事が出来たか。

答えは「期限が近づいていたから」

経験上、ここを先延ばしにすると次行こうとした時に何かしらのトラブルが起こったりして、結果大ピンチに陥るのである。

それを去年の引っ越しなどから僕はこの歳にして学んだのだ。

完全なペーパードライバーとはいえ、さすがに免許を無くすわけにはいかない。

将来金持ちになって今より凄い自動運転で高級車に乗る夢を僕は諦めてはいないのだ。

というわけで家から約30分かけて警察署にて行われる免許更新に行ってきた。

前述した通り完全なペーパードライバーでゴールド免許なので、その警察署で更新が出来るみたいなのだ。

あと免許証の住所変更をしていなかったので、それも同時にやる事にした。

早くやらなければいけなかったのだが、マイナンバーカードを手に入れた事で免許証を身分証として使う事もなく、ずっと後回しになってしまっていたのだ。


ヒイヒイ言いながら自転車を漕ぎ、僕は何とか警察署に到着した。

警察署の裏手に免許更新所というプレハブ的な建物があったので、そこに行く。

すると予想以上に多くの人が並んでいた。

僕は列に並びながら少し不安に駆られていた。

先程書いた「住所変更」である。

何やかんやで引っ越してから結構な期間空いてしまった。

大丈夫だろうか。

何か言われたりしないだろうか。

そんな事を思っていると僕の番が回って来た。


背の高いほぼスキンヘッドの受付のおじさんが「どうぞ」と言う。

僕は更新のハガキと免許証を出す。

すると受付のおじさんがハガキを見て「あ、これ他府県ね」と言う。

僕は「すいません、住所変更やってなかったんで今日一緒にしたいんですけど、、、」と申し訳なさそうな感じを出して言った。

するとおじさんは不機嫌そうな顔で

「住民票は?持ってんの?」と聞いてきた。

僕は思った。


なんじゃこいつ。

めっちゃタメ口やん。

一寸の迷いもなくタメ口やん。

どんだけ態度悪い受付やねん。

そもそも何で不機嫌なっとんねん。

しばらく住所変更してなかった事言われるんやったら分かるけど、今のこの状況でハガキ見ただけでどのぐらいの期間住所変更してなかったかは全く分からへんしな。

という事は免許更新と一緒に住所変更するって事に不機嫌なってるだけやん。

一手間追加されるから面倒臭いんか知らんけど、そんなもん知ったこっちゃないしな。

免許更新と一緒に住所変更するのは何も悪い事ちゃうし。

あかん、もう一回言おう。

なんじゃこいつ。


僕は早くもイラッとしながらも「いや、住民票はないですね、、、」と答えた。

するとおじさんはさらに不機嫌になりながら

「住民票なくてどうすんの!」「それじゃ出来ないよ!」と怒ってきた。

僕は再び思った。


激ヤバやん。

おっさん、何かキレてるやん。

何でお前がキレんねん。

住民票ない言うただけやんけ。

どういう事やねん。

このおっさん、どんな受付やねん。

受付を超えた受付やん。

超受付やん。

穏やかな心を持ちながら激しい怒りに目覚めた受付やん。

ていうか。

ていうかやな。

俺、マイナンバーカード持ってきてんねん。

マイナンバーカードでいけるか事前にここに電話で確認もしてんねん。

何で住民票一択やねん。

ホームページで見たけど、住民票・マイナンバーカード以外でも保険証とか何個かいけるやつあったやろ。

どうなっとんねん、このおっさん。


僕はイラつきながら

「え、マイナンバーカード持ってきたんですけど」と言った。

すると

おっさんは固まった。


それはそれは分かりやすく固まった。

激アツのおっさんフリーズである。

左を押してくださいである。

てか、何で固まってんねん。

住民票じゃなくてマイナンバーカード持ってくる人普通におるやろ。


おっさんは「マ、マ、マイナンバー、、、」と呟いている。

たじろいでるやん。

マイナンバーカードにたじろいでるやん。

黄門様の印籠見た時の感じなってるやん。

何でそんな事なんねん。

おっさんマイナンバーカード見るの初めてなんか。

それともマイナンバーカードがないバースからやって来たんか。

おっさんマルチバース移動してるんか。


僕はたじろぐおっさんに追撃した。

「え、マイナンバーカード駄目なんですか?」「マイナンバーカードいけるって書いてましたけど」

おっさんは無表情である。

その姿はまさに無といった感じだ。

そしてしばらく固まった後、

おっさんは僕とは目を合わさず違う方向を見ながらこう言った。

はい、じゃあマイナンバーカードと言う事でね、住所変更していきますけども」


いやいやいやいや!

何を何事も無かったかの様に進めようとしてんねん!

何や、その口調!

漫談でも始めんのか!

何やねん、このおっさん!

あんだけ最初意味わからん悪態ついといて、このままいけるわけないやろ!


僕はブチギレながら「いやいや、さっきの何やったんですか?」と聞く。

おっさんは別の方向を見ながら「え〜じゃあ現住所はこちらでよろしいですか?」と聞く。

僕は「こっちは事前に電話で確認してるんですわ」と言う。

おっさんは「では、免許更新の手続きを説明しますね」と言う。


すれ違う2人。


まるで恋愛ドラマの最終回一話手前の様である。

お互いが別の方を向いていて、噛み合わないのだ。

おっさんは頑なに目を合わさずに説明を進めようとする。

尋常じゃなくしらこい。

ていうかメンタルどうなってんねん。

普通ちょっと「ごめんなさいね」みたいに謝るやろ。


おっさんは説明を続ける。

僕もおっさんへの追求を続ける。

今からの会話は上がおっさん、下の( )がにっしゃんである。


え〜まずはあちら番号2番に行ってもらいまして
(いや、最初の態度悪すぎでしょ)

暗証番号を2つ決めてもらいましてですね
(あれ何やったんすか)

で、次に3番に行って用紙の記入をお願いします
(タメ口で住民票どうたら言うてね)

記入終わりましたら、4番に提出して下さい
(こっちめちゃくちゃ気悪いっすわ)


わしゃバックコーラスか。


何を2人で綺麗なハーモニー奏でとんねん。

J-POPのサビでたまにあるやつや。

同時に違う歌詞歌うやつ。

嵐の木更津キャッツアイの主題歌「a Day in Our Life」こんな感じやったわ。


おっさんは説明を終え、僕に用紙を渡してきた。

僕は用紙を受け取り、無言でおっさんを睨みつける。

おっさんはおっさんで僕に対して睨み返してくる。

こうして僕達はしばらく睨み合った。

まるでバトル漫画の扉絵の様である。

向かい合う宿命のライバル。

龍虎相搏つ。

タイガー&ドラゴンならぬ

ハゲ&デブである。


いやていうか、まじで俺の話を聞け。

ほんま何やねん、このおっさん。

睨んでる俺も俺やけど、睨み返してるこのおっさん、どういう心境やねん。

何で睨み返せるねん。

意味わからんわ。


僕は用紙を受け取り記入し、視力検査を受けた。

視力検査を受けながらもイライラが止まらない。

結局あのおっさん、一言も謝っていないのだ。

とんでもないおっさんである。

もう一回何か言いたいけど、今人がかなり並んでいる。

これを割り込んで言うわけにはいかない。

こっちの方がヤバいやつになってしまう。

てか、もうあんな変なおっさん放っておいた方がいい気もするけど。

ただ、めちゃくちゃ腹立ってるし。

すっごいイライラするし。

ああ〜。


僕はイライラしながら写真撮影に臨んだ。

そしてその後、別室にて30分の講習を受けた。

講習を受けているうちにさすがに怒りが鎮まってきた。

もうええわ、アホらしい。

もう忘れて、そのまま帰ろ。

こっからまた何か言ってもさらにイライラするだけである。

もうこういうイライラの連鎖は止めといた方がいい。

しょおもない事でイライラするのは大阪時代で懲り懲りだ。

まあ、ここに来るのも当分無いやろうし。

もういい、このまま帰ろう。


講習が終わり、最後に新しい免許証を貰った。

僕は新しい免許証に載っている写真を見た。

今回様々な感情が溢れながら撮った写真。

それがこちらである。


画像1


囚人やないか。


この記事が参加している募集

スキしてみて

100円で救えるにっしゃんがあります。