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太ったモテない男がワンピースになった日


毎日note更新39日目。

久しぶりの舞台が決まった。

7月26日に「バトルZAライブ」という舞台に出る。

5ヶ月ぶりの舞台だ。

次に出るのは東京の舞台になると思っていたが、まずは大阪で舞台に出る事にした。

出来ればここからまた色んな舞台に出ていきたい。

5ヶ月もブランクがあるのは久しぶりだし緊張するが、楽しみだし気合が入っている。

でもあんまり楽しみにし過ぎても気合が入り過ぎてもよくない。

僕は知っている。

そういう時は大体ロクな事がない事を。


12年前。

僕は同じコンビニでバイトしている子を好きになった。

バイト中、意を決して映画デートに誘ってみた。

相手の子がジュース類の品出しをしている時に。

爆裂に意味わからんタイミングである。

コンビニでバイトしてる最中デートに誘いやすいランキング54位のタイミングだ。

確かあの子の手には「野菜生活100」があった。

何故だか分からないが、デートに誘うならこのタイミングしかないと思ったのだ。

僕の前世はカゴメの関係者かもしれない。

それぐらい野菜生活100を手に取ったその瞬間に誘った。


返事はなんとオッケーだった。

すぐに日程と観に行く映画を決めた。

野菜生活100が野菜生活777になって見えた。


バイトの帰り道、僕は浮かれに浮かれていた。

デートは1週間後。

歩きながらガッツポーズを何度も繰り返した。

調子に乗って「OK牧場!」と言ってみたりもした。

僕の気分は完全に石松だった。


もう嬉しくて仕方がない。

大好きなあの子と初デート。

楽しみ過ぎる。

僕の足取りはどんどん軽くなり、まるで蝶のように舞った。

上半身はガッツ石松、下半身はモハメドアリ。

日米レジェンドボクサーの夢の共演である。


そしてさらにテンションが上がり、気合が入りまくった僕はいきなり

「よっしゃー!!!」と吠えた。


その後「やるぞ!!!」とも吠えた。


吠えてから反対側の道に大学生の男女5人が歩いている事に気が付いた。


あ、、、


まずい、、、


今の聞こえたかも、、、


僕は即座に無表情を装った。

大学生達の会話が聞こえてきた。


「え、今あの人よっしゃーて叫ばんかった?」

「叫んでた叫んでた笑」

「めちゃくちゃ気合入ってはる笑」

「やるぞーも言うてたで笑」

「ヤバ、決戦やん笑」



めちゃくちゃ聞こえてた。

そしてめちゃくちゃ笑われてる。

まあそりゃあそうなる。

太った男が急によっしゃーと吠えたのである。

道にとんかつでも落ちてたんかなと思われても仕方がない。


「あの人、その前にOK牧場て言ってなかった?」


それも聞こえてたんかい。

よっしゃーは100歩譲っていいとしてOK牧場は恥ずかしすぎる。

早くこの場を立ち去りたい。

僕は足早に歩いた。


すると大学生達が笑いながらいきなり

「がんばってくださ〜い!!」

とふざけながら僕にエールを送ってきた。


僕は戸惑った。

無視しようか?

無視して走って逃げようか?

でも曲がりなりにもあの大学生達は僕を応援してくれている。

もちろん僕は頑張るつもりだ。

ここで無視したら運気が下がるような気がする。

何かしら応えた方がいいんじゃないか。

でもあんまり絡みたくもないしなあ。


悩んだ僕は大学生達に顔は向けないようにして背中越しの状態で


黙って片方の拳を突き上げた。


ワンピースのあの名シーンみたいになった。


ありがとう大学生達。

僕は君たちの応援をムダにはしない。

来週必ずデートを成功させてみせる!


1週間後。


デートをドタキャンされた。


まさかのデートに行く事すら叶わなかった。

大学の課題が急に増えて時間が全くないという理由だった。

昔から何故か僕がデートに誘ったら相手の大学の教授が急に張りきって課題を出しまくる。

僕と教授が謎に連動するのである。


すまん、大学生達。

せっかく応援してくれたのにデートに行く事すら出来なかった。

でも僕がモテないわけじゃないんだ。

これは大学の教育システムの問題なんだ。

そこを分かっておくれ。


僕は大学生達に心の中で語りかけた。

ちなみにその2ヶ月後、同じ子をもう1回デートに誘いオッケーもらってドタキャンされた。

僕はとりあえず拳を天に突き上げて昇天した。


このように楽しみにし過ぎたり気合が入り過ぎたりするとロクな事がない。

何事も平常心で挑むのが1番である。







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