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虹乃ノラン
2024年5月10日 20:44
第一章動かない猫「いってきまーす!」 スニーカーを履いて玄関から飛び出すと、四月の風が頬をなでる。通いなれた道を歩いて今年で六年目。満開まであと少しの桜と日差しが、気持ちいい。 急にぽかぽかしてきた陽気のせいなのか、ベンチで眠りこけてるお年寄りや、バスが来てるのにぼーっと立ち尽くしているスーツ服のお姉さんなんかで目白押しだ。 大人になると忙しすぎて、みんな疲れちゃうのかな。 そんなこと
2024年5月18日 13:10
第八章作戦開始! サイレンを挟み撃て!(1) ペダルを漕ぐ僕の足取りは、自分でも驚くほど力強いものだった。通信で聞いたみんなの声が僕を後押しする。だけど結局、途中の道では猫一匹すら見つけられなかった。 コスモ小に着いたのは十時三〇分を過ぎたあたり。途中ずっとスカーフェイスを警戒していたせいか、かなり時間がかかってしまった。なんの進展もないまま自転車を止めて息を整えると、コスモ小に到着したこ
2024年5月26日 20:13
第十章不法の器の代償 カラス神社に着いたのは、それから十分ほど経ってからだった。窮屈そうに虫網に押し込められたスカーフェイスは、まだ意識を取り戻していない。「マルコ! ミチル! おまたせ! 本当におつかれさま!」「おまえらマジでクレイジーにすごいぜ!」 自転車を止めて二人に駆け寄ると、マルコとミチルは照れくさそうに顔を見合わせた。「みんな、気をつけてね。クロの意識が戻ったら、目を見ない
2024年5月26日 20:15
第十一章ミチルのフラッシュ 紅葉とジョージの意識が戻ったのは、それからすぐ後のことだった。気がつけば、状況がガラリと変わった様子を見て、ジョージも紅葉も目を丸くしている。「おぃ⁉」白地の黒ぶち猫を見たジョージが突然叫んだ。「うし?」 どう見たって猫だよ、ジョージ。「これは、一体どうなってるのよ?」 時間をかすめ取られて状況がつかめていない紅葉たちに、その間に起きたことを説明すると、二人