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たまには執筆プロセスを見直そう〜準備が大事

書くのに慣れてくると、惰性で書くようになり、新鮮さも失われてくるものです。

そんなときは執筆プロセスを見直してみると、改善点が見つかったり、新たな気づきがあるかもしれません。

今回から何回かにわたって、執筆プロセスについて見ていきます。


一般的な執筆プロセス

まず、一般的なプロセスを見ておきましょう。

おおざっぱにはこんな感じになると思います。

  1. 準備

    1. アイデア出し

    2. あらすじにする

    3. プロット、キャラ、設定など

  2. 作業

    1. 執筆

    2. 推敲、改稿


「準備」と「作業」の2つに分けて考えると、見通しがよくなります。

プロの場合は編集部とのやり取りなどがあるのでもう少し複雑になりますが、それほど違いはありません。


さて、作家志望者さんによくあるのは、おそらく、作業ばかりに気を取られて準備を怠ることだと思います。

まずはその意識を変えるのが良さそうです。


目的をはっきりさせる

ところで、話を進める前に、小説を書く目的をはっきりさせておきましょう。

たとえば私の目的と目標はこうです。

  • 目的:創作を楽しむ

  • 目標:大ヒットさせる


目的は「人生で味わい続けたい感情」であり、目標は「その感情を味わうための通過地点」です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。


目的も目標もはっきりしていないなら、方向性が定まっていません。

何のために書くのか、決まっていないのですね。


執筆だけでなく、何をするにせよ、目標がなければ、そのプロセスはぼんやりとしたものにしかなりません。

ゴールがないのに走り始めても、どの方向に進めばいいかわからないからです。

ですので、少なくとも目標は決めた方がいいと思います。


と言っても、難しい話ではありません。

100%趣味で書いている人でも、できれば多くの人に読んでもらいたいと思っているはずです。

ですから、当面はそれを目標にすればいいでしょう。

つまり、

  • あなたの仮の目標:多くの人に読まれること

です。


興味があれば、上で紹介した本を読んでみるといいです。
(他の類書でもいいです)

この機会に、自分は何のために小説を書くのか、最終的に何を得たいのか、考えてみるのも悪くないですね。


さて、当面の目標が決まったところで、話を進めましょう。


準備が大事

執筆の各プロセスも、「多くの人に読まれる」という目標のためにあります。

それを踏まえた上で、「準備」と「作業」のどちらが重要か考えてみましょう。


単純に言って、多くの人に読まれるためには、良い作品である必要があります。

ですから、作品の良し悪しにより大きな影響を与えるのはどちらか、と考えれば簡単にわかるはずです。

答えはもちろん、準備工程ですね。


当然ですが、上流の工程の方が、後々の影響が大きくなります。

上流工程で大きなミスをしていれば、下流工程でどれだけ頑張ってもカバーできません。

つまり、作品の良し悪しは、最初の方のプロセスに掛かっているのです。


このように、目標である「多くの人に読まれる」を実現するためには、作業よりも準備が重要です。

初心者のころは、どうしても実際の執筆作業に注力してしまいがちですが、中級、上級者になったら、準備工程こそが重要なのだと理解する頃合いでしょう。


文章技術で差は出しにくい

もうちょっと違う視点からも説明しておきます。

多くの人に読まれるためには、他の作品との違いが必要です。

違いがなければ読者に認識もされず、そもそも選んでもらえないからです。


作業工程で行うのは、主に文章執筆作業です。

文章が上手い人はたくさんいるのですが、文章技術で他の作品との違い(差)をつけるのはかなり難しいです。

正確に言うと、差をつけることはできるのですが、それを理解できる読者が少ないというべきでしょう。
(ちょっと失礼な認識ですが)


多くの読者にとって、ほどほどに上手い文章ならそれで充分で、それ以上の差は理解できませんし、そもそも理解する必要もありません。

印象をグラフにすると、こんな感じでしょうか。

文章のうまさと読者にとっての価値


縦軸は読者にとっての価値、横軸は文章のうまさです。

下手から、ほどほどの文章になるまでは順調に価値が上がりますが、それ以上になると、なかなか上がらないイメージです。


多くの人に読まれることが目標なら、文章に注力しすぎることはコスパが悪いことがわかると思います。

ほどほどのレベルを越えて上手くなっても、読者にとっての価値は上がりにくいからですね。

それなら、そのエネルギーを準備工程に振り向けた方が、目標に近づく可能性を上げられるでしょう。


小説を書く=文章を書く、ではあるのですが、文章を書くことに必要以上にとらわれないようにするといいです。

あなたの当面の目標は「多くの人に読まれること」です。

そのためには少し立ち止まって、文章に注力しすぎではないか、準備工程にもっと目を向けるべきではないか、と考えてみるといいですね。


今回のまとめ

「執筆プロセスを見直そう」一回目「準備が大事」でした。

  1. 執筆プロセスを準備と作業にわける

  2. 目標を定めないと方針が決まらない

  3. 準備と作業では準備が大事
    上流工程が作品のクオリティを決める

  4. 文章技術で差はつけにくい
    つけられるが、それを理解できる読者は少ない

  5. 目標に近づくためには、文章に向けていたエネルギーを準備に向ける

まずは、ぼんやりとでも、書くことよりも準備の方が大事なんだな、と意識を変えていくといいと思います。

次回は各プロセスを見ていく予定です。

それではまたべあー。


(2023.5.22追記)

やったー!

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