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貪った本たち

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読書記録(令和5年4月10日〜)
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#お坊さん

金閣寺:三島由紀夫

金閣寺:三島由紀夫

今回貪った本→https://amzn.asia/d/9d0jVPb

久しぶりの三島由紀夫。

本作は昭和25年7月1日に実際に起こった金閣寺の放火事件に取材し、その犯人が金閣寺放火に至るまでをふり返って告白している体で書かれた小説。

平野啓一郎の「本の読み方 スロー・リーディングの実践」を再読していたときのこと。本作の一部が紹介されているんですが、読みたいと思っていた矢先、たまたま立ち寄った

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永遠の途中:唯川恵

永遠の途中:唯川恵

今回貪った本→ https://a.co/cm86vcx

広告代理店に勤務する薫(かおる)と乃梨子(のりこ)は、同期入社。仲はよいが相手と自分を比べずにいられない微妙な関係。どちらも、同僚の郁夫(いくお)に恋心を抱いていたが、ささやかな駆け引きの後、薫が郁夫と結婚して主婦に。乃梨子は独身でキャリアを積み続ける。歳月は流れ、対照的な人生を歩みつつも、相手の生き方を羨んでしまうふたり……。揺れる女性

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ルポ 誰が国語力を殺すのか:石井光太

ルポ 誰が国語力を殺すのか:石井光太

今回貪った本→https://amzn.asia/d/5NrKqBI

『ごんぎつね』の読めない小学生、反省文の書けない高校生……

子供たちの言葉を奪う社会の病理と国語力再生の最前線を描く渾身のルポ!

Xのような言論空間では、「国語力の問題」が何かと議論される。具体的にはクソリプに対して「文字は読めても文章が読めない」だとか「書いてないことを読んでしまう」といった具合だ。それらに触れる中で、「

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マリアビートル:伊坂幸太郎

マリアビートル:伊坂幸太郎

今回貪った本→https://amzn.asia/d/eQkvCyS

伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ3部作を読み返すということで、再読。

舞台は殺し屋だらけ新幹線の車内。この状況から謎めいた緊張感があります。

前作に続き、殺し屋という特異な存在たちの「命の重さ?なにそれ?」という価値観で物語が進んでいきますが、途中「なぜ人を殺してはいけないのか?」という世界観を覆すような命題が浮上します。

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グラスホッパー:伊坂幸太郎

グラスホッパー:伊坂幸太郎

今回貪った本→https://amzn.asia/d/ev6b7gI

10年以上前に読んだ伊坂幸太郎の『グラスホッパー』を再読。

登場人物はほぼ殺し屋。この殺し屋一人ひとりのキャラクターが本当に多彩。個性溢れすぎています。

特徴的なのは、物語が大きく展開する場面で、きまって殺し屋に殺された被害者の亡霊、つまり、この世にいない人間が登場しがっつり物語に絡んでくる。

自ら手にかけた亡霊の言葉に

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ゴールデンスランバー:伊坂幸太郎

ゴールデンスランバー:伊坂幸太郎

今回貪った本→https://amzn.asia/d/amlK0SD

久しぶりに読んだ伊坂幸太郎はやはりよかった。

主人公は何もわからず首相殺しの犯人扱いされ、友人の助けを受けながらとにかく逃げまくる物語。

「俺は犯人じゃない!」

スリル満点に描かれる逃亡生活の合間に、学生時代の思い出が回想されながら、主人公の誠実な人間像とその人柄だからこそ築きあげられた人間関係がみえてきます。

それに

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本の読み方 スロー・リーディングの実践:平野 啓一郎

本の読み方 スロー・リーディングの実践:平野 啓一郎

今回貪った本→https://amzn.asia/d/9m1iaG4

本書は小説家である平野啓一郎さんが「本の読み方」を教えてくれる。

本はどう読んだらいいのか?
速読は本当に効果があるのか?
闇雲に活字を追うだけの貧しい読書から、深く感じる豊かな読書へ。まさに「量」より「質」という感じだ。

平野さんといえば、過去に『私とは何か「個人」から「分人」へ』を読んだことがある。

哲学的にも仏教的

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役に立つ古典 NHK出版 学びのきほん:安田登

役に立つ古典 NHK出版 学びのきほん:安田登

今回貪った本→https://amzn.asia/d/eARTXIZ

僕が大好きな文筆家の池田晶子はその著書において度々「古典を読むこと」をすすめてくる。

そんなわけもあって興味はあったけれども、中々古典を読むことに踏み出せずにいた時に出会った1冊。

時空を超えて読みつがれる古典には、時空を超えられた理由が必ずあるわけで、そこには人類の普遍的な智慧が詰まっている。身近なところで言えば「ことわ

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老人の壁:養老孟司・南伸坊

老人の壁:養老孟司・南伸坊

今回貪った本→https://amzn.asia/d/7StARkD

一言でいうと「みんな!もっと力を抜いて明るい老人になろう!」という本。

寺はお年寄りが多く出入りする。だからお年寄りに接する機会が本当に多い。

お茶を飲みながらする他愛もない会話から、人生の最期をどう迎えるかなどの話になることもままある。

「生き方は逝き方」という言葉があるけど、価値観が多様化し情報に翻弄される世の中にあ

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対岸の家事:朱野帰子

対岸の家事:朱野帰子

今回貪った本→https://amzn.asia/d/6wzSCeR

子育てだけに限らないけれど、ハウツー本を読むよりも物語を読んだほうがなにかと頭に入るタイプなので実用的ななにかも期待しながらこの本をチョイス。子育て世代として「あるある」と頷きながら読み進められました。

まず、このタイトルに惹かれた。「子育て」というのは、当事者になってみてはじめてわかることだらけだという事実を見事に表現して

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二十歳の原点 :高野悦子

二十歳の原点 :高野悦子

今回貪った本→ https://amzn.asia/d/4kaBxsa

高野悦子さんが、昭和44年の20歳の誕生日から自らの命を絶った6月22日までの日記。学生運動に翻弄され、恋をしながら青春を生きる心の葛藤が生々しく綴られています。

印象的だった一節をご紹介

もっと生きていたらどのような言葉を紡いだんだろう、と切ない気持ちになる本でした。

激動の時代を駆け抜けた今にも壊れそうなほど繊細な

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