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ジェラシー味のサングリア

「どお、これいいでしょ?」って、

普段台所になんか立たない君が、

戸棚の奥の方にしまってある

特別な日にしか使わないグラスに

キウイやりんご、パイナップルなんて入ってる

なんだかおしゃれな飲み物を運んできた。


「なにそれ?珍しいね。どうしたの?

作ってくれるなんて初めてじゃない?」と私が言うと、

「あ~、実は職場の後輩から教わったんだよね。」と言って、

白ワインで作られた珍しいサングリアのレシピを

ツラツラと語りだした。


一瞬にして曇ってしまった私の表情になんか

全然気づく様子もなく、君はニコニコしながら話している。


もう、本当に女心がわかっていないのね。


特別な日にしか使わないと決めていた

二人で買った思い出のグラスに

他のだれか知らない女の陰がちらつくなんて

面白いわけがないじゃない。


もう、あなたって本当に鈍感ね。

こういうところ大キライ。

他の女の子と誰とでも仲良くするし、

私の前で他の子の名前なんて、聞きたくないのに。

職場の女の子から教えてもらったサングリアなんて、

しりたいわけないじゃない。

もう、どうせなら、

そんなの適当にごまかしてよ。


あなたは基本的に、私と違ってヤキモチなんてやくタイプじゃない。

私はいつだって、自由でいたいから、

もちろん束縛なんて大嫌いよ。

でもね、あなたがあまりにも奔放すぎて、

もうこんなんじゃ、あなたがわたしを好きなんて

どうやって信じればいいの?


束縛はホントにキライだけど、

ほっとかれすぎるのは、もっとイヤ。


私はジェラシーの味がする

まだ馴染みきっていない

酸味のある白いサングリアを飲みながら、

束縛されすぎて辛いなんて

ぼやいていた親友のぐちを思い出し、

なんにも察していないあなたの顔をみて、

思わずため息がもれた。


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