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「伝わる」をデザインする〜商品を通してつくり手と受け手を繋ぐコミュニケーションとは〜
NPO法人ETIC.でインターンをしている大学2年生のサキです。
美術大学に所属し、造形的視点を社会と掛け合わせることから生まれる、新しい切り口の課題解決手法について学んでいます。
「作り手の想いが受け取れる消費の場を生み出すこと」について関心があったことから、NPO法人ETIC.による「新・夜市朝市インターン」として参画し、半年以上参画しています。
今回の記事では、「リアル出店を初めて行った起業家」のブースづくりを手掛けたインターン生が感じた、
〜 商品だけでつくり手を代弁することは難しい!
コミュニケーションをより密にする、ビジュアルコミュニケーションを用いた場のデザインのすゝめ 〜
にとして記したいと思います!
1. 今回の出展の目的
NPO法人ETIC.は、(株) Freewil 社が主催した「MoFF2022」という大規模なエシカルイベントに共催として参画、キュレーション出店として参画。
ETIC.では起業家の人材育成や事業支援を行っており、今回のMoFF2022においても、774(ゼロからツクるを学ぶ)の出身者である2名の起業家とETIC.がチームを組み、キュレーションブースの企画・運営を行いました。
ETIC.がMoFF2022に出店した背景や当日の様子については
こちらのイベントレポートをご覧ください!
2. 課題認識からビジョン設計までのプロセス
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今回、商品を販売するのはつくり手である起業家自身。
実際にイベントに参加する消費者に対して自ら商品の魅力を伝えることが出来るのですが、起業家の想いが綴られた「吹き出し状のパネル」も商品と共に展示した意図について書き進めたいと思います。
a. 商品を通して「つくり手」に注目させるには
〜ステージ ① 伝えたいことを明確に整理していく〜
今回参加したMoFF 2022の出展条件は「割り振られたテーブル上にエシカルな商品を並べて販売すること」でした。ETIC.キュレーションブースには、商品と共に「吹き出し状のパネル」を掲示しました。
出展前には、伝えたいことを明確に整理する必要性を感じたため、ETIC.のアピールポイントについてディスカッションを重ねました。
辿り着いた結論は、「ETIC.の強み=起業家さん自身」ということ。
ETIC.は起業家のコーチングや育成プログラムを展開しているNPO法人であり、今年の4月に開催した新・夜市朝市を通した所感を基にこのことを再認識しました。
—— 商品を生み出した起業家自身のキャリアや抱えている社会課題に触れることで、商品の受け取り手となる消費者も自身の暮らしをアップデートしていくきっかけになるのではないか ——
と仮説を立て、MoFF2022におけるETIC.ブースでは、
・商品購入に留まらない消費体験を提供すること
を目標に、
・起業家自身のキャリアや抱えている社会課題を商品を通して知ることで、自分の暮らしをアップデートしていくきっかけとなる場
を構想しました。
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従来の商品売り場には、商品のビジュアルや商品の原材料や値段など…
商品に関する情報は溢れていますが、商品の作り手に関する情報は不足しています。
「商品だけではなく、起業家さん自身のキャリアや価値観にも関心を寄せてほしい!」
吹き出しの形のボードに「起業家の言葉」を視覚的に表現することで、目線を商品にとどまらず、起業家さん自身に目を向けるきっかけを仕掛けました。
b. ブース制作の流れについて
〜 ステージ ② 伝えたいことが「伝わる」か、プロトタイプを制作して試す〜
課題を整理し、場のコンセプトを決めた後は案を形にしていきます。
ボードに書かれている内容が起業家自身の言葉であることをわかりやすく伝え、
ブースの前を通る人の目を少しでも奪いたいと考え、吹き出しの形をしたボードを製作しました。
ポスタースタンドの骨組み部分に吹き出し状のパネルを吊り下げ、
コンパクトだけれど目線が持っていかれるような演出を意識しました。
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完成度を求めずに、「とりあえずカタチにすること」でイメージを掴むことが目的です…!
・使用したツールや備品について
パネルデザイン=Adobeのイラストレーターというツールを使用しました。
パネル印刷=大判出力のプリオ 様を利用しました。
パネルスタンド=[ナリタカストア] POPスタンド ポップスタンド を利用しました。
c. 対面での出店スペースに、 ビジュアルコミュニケーションを用いる効果とは?
〜ステージ③ 伝えたいことが「伝わった」のか、実装を通した振り返り〜
吹き出し状のパネルをビジュアルとして展示することで、
つくり手である起業家とイベントの参加者とのコミュニケーションツールを増やすことができたように思います。
実際にブースにて販売を行った起業家2名にお話を伺いました。
お一人目:PIONO・大野さん
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エシカルを標題に掲げるMoFFにおいて、特に事業継承というキーワードがPIONOの理念と共感したので出展させていただきました。
ブースの演出をする上で商品を美しく魅力的に配置することはもちろんですが、背景である作り手の想いを程よく映し出すことはひと工夫が必要なことです。
今回の設計は、商品に込められた背景を程よいさじ加減で演出できたブースだったと思います。ポップなど細部のデザイン性をさらにブラッシュアップしていくことが今後の課題だと感じました。
お二人目:SOBER COLA・中山さん
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パネルにおいても自身が提唱したい価値観を語ることで、お客さんとの接点を増やすことができた場面もありました。
このような対面販売を通して、人によって興味関心を持つポイントが異なるという感触を得たことが一番の収穫でした。
今後はテーマに掲げるライフスタイルである「シラフな生活」をより訴求するべく、クラフトコーラキットのある生活観をビジュアルも用いながら提唱していきたいです。
お二人のお話を受けて、参加者がブースに立ち止まるきっかけは吹き出し状のボードにもあったように思います。
実際に会場では、参加者が商品だけではなくパネルの内容にも触れることで、ブースの滞在時間が長くなる印象を抱きました。このことは、商品を通して起業家自身の想いを伝えることができる他、興味関心が高い参加者とのコミュニケーションがより取りやすくなったように感じます。
パネルを会話のきっかけにすることで参加者に話しかけやすく、対話を通して商品やつくり手を知る機会を生み出せたと言えるのではないでしょうか。
3. 筆者による感想 〜コミュニケーションの幅を広げるためのビジュアルデザイン〜
「ボードを一つ置くだけでコミュニケーションを取りやすくなるんですね!
ボード自体は簡単に作れそうな物だけれど、中々(ビジュアルのデザインが)思い浮かびません...。」
「考えをビジュアルとして形にすることが難しく感じます。」
会場にて様々な方とお話をさせていただく機会があり、このような声をお聞きしました。
ですが、必ずしも洗練されたビジュアルの制作物を創り出せば良いということではないと思います。
大切なことは、何を伝えたいのかを明確にし、それを効果的に伝えるコミュニケーション手段を考えることであると考えます。
今回を例に挙げると、吹き出しのパネルを制作することがゴールではなく、
「吹き出しのパネルを置くことで、起業家のキャリアや想いについて目を向けさせて商品購入に留まらない消費体験を提供することをゴールと仮定した」ということです。
手書きの文章が書かれたPOPを掲示することによっても、デジタルで制作したPOPを飾ることによっても、コミュニケーションをとる接点が増える点では同じことと言えるでしょう。
今回のように、伝えたいことをクリアにする手段として「クリエイティブを作ってみること」から始めることをオススメします。
具体的な形を構想することで、
「何を伝えたいのか」や「伝える方法」について見えてくるはずです。
見た目のデザインの完成度に囚われず、
適切なコミュニケーションをとる手段としてビジュアルを活用してみてはいかがでしょうか。
【 この記事を書いた人 】
ETIC. インターン生
イマイ サキ
美術大学に通う大学2年生。
日々の制作活動を通して、デザインに対する着眼点やデザインを基にした思考の発想法を学びつつ、課題発見〜課題に対するアプローチ手法について実践を試みています。
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<NPO法人ETIC.とは>
ETIC.は、社会の未来をつくる⼈を育むNPO法⼈です。1993年の創業以来、私たちの⼿がける実践型インターン シップ や起業⽀援プログラムへの参加を通して、1600⼈以上が起業しました。これからも企業・⾏政・NPOといった多様なセクターを巻き込みながら、挑戦したい⼈を⽀える仕組みづくりを続けていきます。
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