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<イベントレポート | 五感で感じるエシカル展>ゼロから生み出した出店者インタビュー①②

2022年9月9日(金)、渋谷でIT企業Freewill主催の「エシカル / サステイナブル」をテーマにしたZ世代向けイベント『MoFF』が開催され、NPO法人ETIC.が共催として参加しました。
今回はイベント当日の様子をレポートさせていただきます ♪

1. MoFFとは

IT企業株式会社Freewill主催の「エシカル/サステイナブル」をテーマにしたZ世代向けイベント。TRUNK HOTEL全館を活用し、エシカルアート空間・エシカルショッピング・トークセッションなどさまざまなイベントがおこなわれました。イベントは大きく分けて『ショッピング』『トークセッション』『ワークショップ』の3つのエシカルをテーマにしたアクティビティが催され、今回ETIC.は共催として参画しました。

2. イベントレポート

・ スタイリッシュなブティックホテル『TRUNK HOTEL』がイベントの舞台

会場は明治神宮前駅から渋谷駅方面に5分程度歩き、大通りから少し路地に入った先にある2017年に開業をしたTRUNKHOTEL。
黒を基調とした建物がたくさんの緑に囲まれた自然豊かな外観でとてもおしゃれ。
渋谷という地域というところも含め「Z世代向け」の「エシカル」をテーマにした今回のイベントにピッタリでした。

・ 大樹と地球儀のオブジェがお出迎え

MOFF主催Freelwill社より提供

会場に足を一歩踏み入れると、一番最初に目に飛び込んでくるのが1本の大きな樹木と、地球儀のオブジェ。美しくてつい、魅入ってしまいました。多くの人がそこで足を止めて写真を撮影しており、オブジェを眺めながら「樹木が『新しい循環型の仕組み』で、地球儀が『100年先の未来』を表現しているのかな。未来を考えていかなきゃいけないよね」というような会話も聞こえてきて、社会課題意識を持った人が多く来場されているのだな、と感じました。
また、オブジェの下はマットが引かれ、2歳くらいまでの子が遊べる可愛いキッズスペースにもなっていました。

・会場内は老若男女の人だかり

平日の開催ということで、どれだけの人が来場するのかと思っていましたが、会場について驚いたのがその人の多さ。会場はすべてで4か所ありましたが、どこの会場も人の流れに沿って歩くのがやっとの混雑ぶりでした。
しかもZ世代向けのイベントということで、20代-30代くらいの若者が中心かと思いきや、出展者・参加者ともに中高齢の方も多く、各世代の「エシカル」に共感した人が集ってきた、そんな印象を受けました。


・ ゼロからスタートした起業家が販売する[キュレーション型出展] 

ETIC.のキュレーションブースにて 

ETIC.が共催で関わり、キュレーション出展したのは、「100年先の未来を考える」というMoFFのコンセプトに共感したと同時に、ETIC.で2020年から実施してきたイベント型オンラインマーケットで感じてきた「出店者と参加者が双方向でコミュニケーションをとり、買い物をする」の可能性を、リアルな場所で、共通のコンセプトで集う皆さんと共に実験してみたかったという背景がありました。

出店者・中山さんが販売した「クラフトコーラ」 
出店者・大野さんが販売した「世界に一匹のバッグ」

このブースではETIC.の紹介ボードの展示と、主催する実践型プログラム774(ゼロからツクるを学ぶ)を卒業し、「tells market」に出店をしている二人の起業家さんにも参加いただき、彼らが起業して開発をした商品である『クラフトコーラキット』と『バッグ』の対面販売スペースを設けました。 (販売スペースの後ろには商品に込められた思いやビジョンをパネルで展示。)
イベント中、今回参加いただいたお二人にお時間をいただき、お人柄や起業への思い、MoFFに参加された感想などを伺いました!


・ 出店者インタビュー

中山裕基 (なかやまひろき)さん

IT企業に勤めながら『SOBER COLA(読み方:ソバ―コーラ)』の開発・販売を行う兼業起業家。
学生時代に小売りや「挑戦すること」に強い関心を抱き、ETIC.の提供する学生向け起業家支援プログラム「MAKERS UNIVERSITY」に参加し、商品作りを通して社会に自分の想いを発信して行きたいと思うように。その後774へ参加し、現在につながる『SOBER COLA』販売業を立ち上げ。

中山裕基さん

Q.「クラフトコーラキット」販売ビジネスに至った経緯を教えてください

『シラフ(お酒をあえて飲まなくても良い)文化』を社会に提案し、お酒を飲まないことで得られる時間を自分らしく使える人が増えたらいいな、という思いがあります。
幼少期、お酒を飲んでいた父や祖父が母に怒られているのを何度か見ていてお酒に対する良い印象がなく、さらに自分の体質もアルコールに強くなく飲酒後に楽しめることが少なかったのです。そのため飲まなくてもいいという価値観が当たり前になったらいいな、とおもったのがきっかけです。
その時たまたま774でクラフトコーラキットに出会い、これをつかったらその提案ができるのでは?と思い至り、販売にチャレンジをしてみようと思いました。これがジンジャエールではなく、コーラだったのにはキットで作ったコーラのおいしさが衝撃的だったことやインド留学をしていたことがあり、スパイスに馴染みがあり、親しみをもてたためです。

Q.今回MOFF(テルズマーケット)に参加した理由を教えてください。

今回のイベントは「エシカル」がテーマになっています。自分の商品はクラフトコーラを通じて「ありたい自分を実現する」お手伝いをする、という精神的なエシカル活動に該当するのでは、と考えたためです。また、何よりオンラインではなく対面販売というという点に非常に魅力を感じました。
どんな方がお客様として来店し、商品がどんな評価をもらえるのかを目の前で見れるのは非常に貴重な機会ですから。

Q.参加してみての感想はいかがですか?

人によって反応が様々でした!
動物由来の材料を使用していないか気にかける方や、コーラが好きなお子さんのために砂糖の使用を気にかける方、サーフィン終わりにコーラを飲みたい方など「参加者によって関心の矛先が異なること」を体感できた点が対面販売を通した大きな収穫でした。
一方で、自身が SOBER COLA を通して提唱したいライフスタイルである「シラフな生活」を十分に訴求することができなかったようにも感じており、より想いが伝わるような解像度の高いブランディングを目指し、シラフなライフスタイルを浸透させていきたいです。

Q.今回のイベントの収穫から次の展開は何か考えられていますか?

今日ポップアップ出店をしてみて思った以上に学びが多く、今後もポップアップ出店などを行うことで、お客さんとの接点を持ち続けたいと思います。
さらにはポップアップを通じてもっと直にお客様の声を聞きながら、ECサイトも強化していきたいです。
また、商品の今後はクラフトコーラをもう少し深掘りしてコーラの種類を増やしていきたいと思っていますが、ゆくゆくは他の飲料も展開したり、20代向けに『´お酒ではないものを飲むこと´を通じて自分らしい時間を過ごす』ことを提案していきたいです。


大野智幾 (おおのともき)さん

美術大学でテキスタイルデザインを専攻後、企業でデザイナーとして勤務。退職後は祖父の経営するバッグの縫製工場で勤務ののち、現在はPIONO co.,Itd代表としてアパレル製品の製造過程で出る端切れやロスを再利用し、犬をモチーフとしたバッグを生産・販売。デザイナーとしてバッグのデザインも手掛けている。

大野智幾さん

Q.PIONO co.,Itdを起業する至った経緯を教えてください

祖父の会社のある地域はもともとは繊維で栄えた町だったのですが、後継者問題などから衰退してきています。地域でそのような課題があることが気になっていました。
一方で自分が勤めていたような大きな会社では商品が大量生産されている。
このまま企業に勤め続けるのは何か違うと思い、最初に就職した企業を3年で退職をしました。
経営者が身近にいる環境で育ったため、昔から経営者として考えを発信できる立場には憧れを持っていました。会社を辞めて祖父の会社の手伝いをしていた時には既に祖父は90を超えていましたがその姿がとてもかっこよかったんです。
これらの経験から、地域に根付いた会社を継承していく「ファミリービジネス」のあり方を残していきたいと思うようになりました。
事業を起こしてまず取り組みたかったことは企業に勤めていた時に現場で感じていた繊維の消費課題。繊維の端切れや余反を生かした生産に取り組みました。

もう一つはファミリービジネスの課題。
製造を海外に委託してコストを抑えるのが主流となっている現代で国内生産は厳しい状況にある。国内で担う仕事は低賃金な下請けの下請け、のようなものになりがちになっていて、加えて高齢化が進み、後継者問題も抱えてきている。
廃業を選択するにしても工場の設備の減価償却が終わっておらず、定年を超えて60、70になっても働かざるおえない、という状況にある工場もあります。この問題の解決には「工場自身が販売力を持つこと」が必要なのではと考えています。
「工場が自ら発信し、ダイレクトに顧客とつながって商品を販売することができることができないか」という思いから、もの作り〜販売まで行うことに挑戦しています。

Q.今回テルズマーケットに参加した理由を教えてください。

「事業継承」を大きな課題のテーマに掲げていて、そこに非常に魅力を感じました。自分が取り組む「ファミリービジネス課題」と正に合致するテーマだと思っています。

Q.参加してみての感想はいかがですか?

横(出店者同士)のつながりが持てるのがよかったです。出店者同士で話をしていて、学べる部分もありますし、「そうだ、こんな思いも持っていた!」と大事なことを思い出せることもありました。別の出店者さんにインスパイアされてモチベーションをあげてもらいました。

Q.今回のイベントの収穫から次の展開は何か考えられていますか?

対面販売は今後も継続していきたいと思います。自分のストーリーやどんな人間が作っているのかを対面でも伝えたいとも思いましたし、自分をみてもらって「あ、私たちにもできることがあるのでは」と思うきっかけにもなれたらな、と思いました。


3. イベントを終えて

編集後記 )
本記事をお読みいただき誠にありがとうございました。
今回ご縁があり取材・執筆に関わらせていただきましたが、取材で現地に訪問をして何よりも感じたのは「『共感』の発するエネルギーがすごい!」でした。
形は少しずつ違うけれど出展者はそれぞれが想う『エシカル』を商品を通じて表現し、商品を通じて共感や熱量の高い会話が生まれていく空間。
コロナ禍でしばらく人が大勢集まるイベントに参加する機会がなかったのもありますが、会場を後にした後もなかなか高揚感が覚めず、でした。
ETIC.ブースでは中山さん、大野さんとお話をさせていただき、お二人とも対面での販売は初お披露目ということで、
どこか緊張感もありながらイベントで今後の方向性のヒントを得て、少年のようにわくわくした目をされていてとても眩しかったです。
自分の中にあった違和感を社会課題として捉え、言語化し、商品という形で発信をすることに挑戦をしている姿がとても凛々しく、今後の活躍を応援していきたいと心から思いました。


キュレーションプロデュースチームにて


<NPO法人ETIC.とは>
ETIC.は、社会の未来をつくる⼈を育むNPO法⼈です。1993年の創業以来、私たちの⼿がける実践型インターン シップ や起業⽀援プログラムへの参加を通して、1600⼈以上が起業しました。これからも企業・⾏政・NPOといった多様なセクターを巻き込みながら、挑戦したい⼈を⽀える仕組みづくりを続けていきます。

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