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小児の腹痛について(医療従事者+非医療従事者向け)

こちらの記事はサークル【病理医がつなぐ医療の架け橋】での成果として、一般的な内容をまとめたものです。病理以外の分野でも、分野フリーで可能な限り一般的な医療情報を発信・提供します。サークル内ではもう少し具体的な内容で意見交換しています。

腹痛は最も多い症状の1つであるが、
まず、
「急性の腹痛」「慢性の腹痛」で全く考え方が異なる。

また、一般論として、
▶ 本当に「お腹」が原因の痛みか?
▶ 嘔気・嘔吐、下痢・便秘、熱などの症状は?
▶ 発症にきっかけや増悪因子は?

などには特に注意を払う必要がある。

急性の腹痛の場合は、
受診する側も診る側も注意を払うので、
まず、対処・考え方の難しい慢性の腹痛について述べる

(1)慢性あるいは反復性の腹痛症

頻度から考える必要がある。

1.心因性反復性腹痛 (きわめて多い)
2.過敏性腸症候群  (ときどき)
3.消化性潰瘍    (少ない)
4.起立性調節障害  (多い)
5.尿路感染症    (多い)
6.便秘       (多い)
7.慢性膵炎     (まれ)


a.多くはストレスや生活習慣と関連(心因性、便秘症、過敏性腸症候群、起立性調節障害)

頻度からすれば、
心因性、要するにストレスが多いが、
過敏性腸症候群起立性調節障害もある程度ストレスと関連する。

また、単純な便秘症も多いが、
これは食生活や排便習慣など生活習慣と関連しているが、
生活習慣と関連するという点は、
心因性、過敏性腸症候群、起立性調節障害とも共通している。

過敏性腸症候群は腸蠕動がうまくいかないことが原因で、
一般には便秘と下痢を繰り返すことが多い。

起立性調節障害は「自律神経失調症」の一種で、
生活リズムの乱れやその他の自律神経症状を伴うことが多い。

これらは疾患概念としては異なるものの、
症状や原因などオーバーラップするところが多く、
実際にこれらを区別するのは一般の医師では難しい可能性がある。

したがって、小児科医に相談の上、
必要に応じて専門の医師に紹介するのが望ましいだろう。

いずれにせよ、
一般的に家庭でできる対処としては以下のようなことが挙げられる。

1.食生活、睡眠、排便習慣など生活習慣・リズムを整える
2.ストレス要因があれば、できるだけ取り除く
3.食事は刺激物などを控え、水分をきちんと摂取する

家庭では、食事の時間と腹痛が生じるタイミング、ストレスと腹痛の頻度や程度の関係、下痢や便秘の有無を気をつけて観察することがより正確な診断につながるかもしれない。乳酸菌製剤(プロバイオティクス)やヨーグルトなどの発酵食品なども有用である可能性があるが、ケース・バイ・ケースと思われる。少なくとも害はないので、試してみてもいいだろう。


b.見逃しがちな尿路感染症

反復性の腹痛は、胃腸ではなく、
尿路感染症の可能性を考慮しなければならない。

発熱を生じることが多く、
また、下痢もしばしば生じるので注意を要する。

尿路感染症を繰り返す場合には、
膀胱尿管逆流症(vesicoureter reflux:VUR)の可能性を考慮して、
専門の小児科医に紹介する必要がある。


(2)急性の腹痛症

もっとも頻度が高いのが急性胃腸炎便秘である。

急性胃腸炎の多くはウイルス性であり、
補水・補液といった対症療法をするしかない。

しかし、一方で、
重大な疾患の場合もあるので、
診療の際には十分に気をつける必要がある。

診療においては
重大な疾患をきちんと除外することを念頭に置く。

【重大ではないが頻度の高い病態】
1.急性ウイルス性胃腸炎
2.便秘症
【その他の考慮すべき病態】
1.急性細菌性胃腸炎(あるいは食中毒)
2.尿路感染症、肺炎など他臓器の感染症
3.急性腹症:急性虫垂炎、腸重積、鼠径ヘルニア嵌頓、腸捻転、憩室炎(Meckel 憩室炎を含む)、腹部外傷、急性膵炎、卵巣腫瘍捻転・出血
4.ヘノッホ・シェーンライン(Henoch-Schönlein)紫斑病
5.気管支喘息発作
6.その他の稀な病態

急性腹症については特に注意が必要であるが、別項目で述べる。
ここでは急性胃腸炎および便秘症に関して述べる。


c.急性ウイルス性胃腸炎

実際にウイルス性かどうかの診断はできない。
家庭内や周囲で同様の症状が流行していないかはヒントになる。
下痢が主症状であることが多く、
しばしば発熱も随伴することが多い。

治療は補水・補液で対処するのみ
止痢薬(下痢止め)は使わない。
状態次第で、制吐薬は使用する場合もある。
経口で補水するのが望ましいが、困難な場合は点滴する。
状態に応じて入院する。

経口の補水は、
しばしば普通に飲むのが難しいので、
小さなスプーンで少量ずつ飲ませるのが良い。


d.便秘症

大抵、症状、経過、普段の状況などから分かる。
保護者も分かっている場合が多いと思う。
必要に応じて浣腸を使うが、急性腹症を除外しておく必要がある。


e.急性細菌性胃腸炎(あるいは食中毒)

基本的に対症療法で、
むやみに抗生剤を使用しない。
抗生剤治療が必要な場合は、
経験ある小児科医のもとで行うのが望ましい

食中毒についてはこちら厚生労働省のページを参照👇



✅小児科・救急を含む非病理関連領域の目次はこちら👇

こちらのマガジンでも取り扱っています👇

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