おじさんになったお客様
いつものように通院のため路面電車に乗って病院に向かっていた。結構な勾配の坂道を上っていくから、少しだけ身体が傾くのを足の裏に力を入れることで耐える。窓に背を向ける横並びの座席に座っていた。理由はないがこんな傾きを無理して耐えているなど、周りの人間には知られてはいけないような気がした。
「おじさんになったお客様は」
意味もなくスマホでsns巡りをしている中ふと、車内放送が耳に入ってきた。一部しか聞き取れない。スピーカーが古いのか掠れた割れた機械的な女性の声が途切れ途切れに流