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空想親子のある朝。




今朝の8時頃、ニュースで大豆ミートなるものが取り上げられていた。

最近、よく聞くやつだ。イマイチ正体不明だけれど、なんか、うん、身体や地球に良い奴らしい。そして、栄養価も高いとか。一石三鳥ってやつ。大豆だけど。


父 「 すごいなー、これ。大豆ミート。」

私 「 ねー。さいきん人気らしいねー。」


寝起きのふたり、間。コーヒーを一口。うまい。


私 「 …これさぁ、実は大豆ミートと謳ってる、人肉とかだったらどーする?笑 」


朝から物騒なことを言う私、すぐ陰謀論にしたがる脳みそ。

父 「 なんですぐそういう事言うのー。」

台所の母 「 もー!そんな訳ないじゃん~~!( 大声 )」

私 「 えー!絶対そうだよー。なんか政府とかがさ、秘密裏にやってる的な。」

父 「 ……豚肉とか鶏肉とかが、どんどん取れなくなっていって…代わりに、人の肉を…的な…? 

私  ( …よし。乗ってきた。)

私 「 そうそう!政府的なのが裏で殺しててさ、人の肉を、大豆ミート!健康志向!地球保全!って言ってさ。…面白くない? 」

父 「 違うな。殺してじゃなくて、死刑囚とかを死刑にしましたーって言っておいて、実はこう…ね? 

私 「 あー!それだ。あるわ。それだわ。」

父 「 人肉によって、人間の食生活は循環していく…みたいなね…。」


私 「 その映画、タイトルは…? 」


父 「 ………ReCycle……。」



ふたり、しばらく爆笑。



コーヒーを一口。



私  ( 陰謀論というより、青年グロ漫画になってきたな… )

私 「 主人公は…?どんな感じ?私的にはー… 」

父 「 んー………そうだな。…女生物学者…か…SF作家かな…。その二人が出会って、大豆ミートの秘密に迫ってくのもアリ。」


私 「 わーーー!絶対それだ!SF作家と女生物学者の恋仲シーン、絶対あるでしょー。……まって………………それか、仕事のし過ぎで、奥さんに愛想つかされ離婚、でも一人娘がいるから、発表会なんやかんや、養育費なんやかんやで、まだだらだら奥さんと付き合いが続いてる、食品メーカー勤めの中年男性。じゃない…?ちょっと地味目の。」


父 「 あー、アメリカでよくあるやつね。や、それより、昔、大豆ミートの研究をしてた男で、その危険さに気がついて、山に引きこもって、自給自足してる元科学者がいいかなー。」

私 「 あー、その時一緒に研究してた後輩とかが引き継いでたりしててね。」

父 「 あー!そうそう! 」



後輩「先輩、見損ないましたよ……。」



私 「 とか言ったりしてね~~! 」

父 「 それか、実は地底人の研究が、何処からか地上に漏れだして……… 」


私  ( うーん、なんか、ありがち展開になってきたなー。)


母 「 タマゴ、食べる? 」

ふたり 「「 食べるーー 」」


私 「 ………はい!はい!それか、政府が大豆ミートの他に、人肉ベイビーを生産してて!地上にある児童養護施設は、全部、人肉ベイビーたちなんだよ! 



私  ( ………ん……?…… )




父 「 約束のネバーランドじゃん。」

私 「 それね。思った。」



父 「 じゃあ、あれは?もう、ノーマル人間の他に、鳥人間とか、豚人間とかがいて、あと、ちいちゃい大豆人間みたいのもいて…そいつらが… 」


大豆人間 
「 わー!俺らはもう、人間の食料にはならないー!わー!わー! ( 小さくて高い声 ) 」


父 「 っていうの 」

私 「 急なピクサー。」



私 「 じゃあさ、もうさ、主人公達が最終的に政府側に突撃していって… 」


主人公一行 
「 お前たちのやっていることは、間違っている!こんなことは、人類のためにはならない! 」


私 「 って言うんだけど… 」


政府 
「」や、あの、違くて……あの、ほんとに、大豆ミートなんです……ただの、大豆なんです……違くて… 」


私「 っていう、本当に、ただの勘違いだったっていう。( ここで爆笑 ) 」





ロング静けさ




私 「 え?なんで誰も笑わないの? 」



ニュース 「 さぁ、いま話題の大豆ミートですが…… 」



父 「 だめだなー。B級映画の域を出ない。」

私 「 でないねー。」




この後も30分程、映画、ReCycle─大豆ミート陰謀論説─の企画会議は続く。

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