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【ep1】帰国子女の女性フォトグラファー 第6話(群像の中のプロフェッショナル)

皆さん、ごきげんよう。橘ねろりです。

高層ビルが立ち並ぶ都会の雑踏の中―。
人々が急ぎ足で向かう混み合った路上の真ん中で、
ふと立ち止まってみたことはありますか?

通りすがりの大人たちは、一体どこから来て、
どこへ向かおうとしているのか―。
地方から進学してきた人、都会で仕事に励んでいる人、
外国から研修に来ている人、
または旅の途中の人や、人生休暇中の人…。

いろいろな人が行き過ぎるも、
きっと誰もが、何かに向かって進んでいる途中なのだと思います。

だから、そんな通りすがりの人々を呼び止め、あえて尋ねてみたいのです。
「あなたの夢は、叶いましたか?」と。

理想の人生を追い求めて、今どんなステージで活躍し、
そして何を目指しているのか。
「その足跡」と「これから」をインタビューするシリーズです。

【episode1】 
人生は、なんという偶然の集まり!
~東京在住の帰国子女 女性フォトグラファーの場合~

<第1話~第5話はこちら>

第6話
クロネコヤマトのおじさん

その引っ越し業者の日本人のおじさんは、両親の荷物と別にしている私の荷物を見て、
「なぜ娘さんだけアメリカに残るのか―」
などと聞いてきました。

母は単なるいつものコミュニケーションとして、これまでのいきさつや、娘がフォトグラファーになりたい夢持っていることなどをそのおじさんに話しました。すると、おじさんは、それなら自分の母校に行ってみたらどうか、と提案してきたのです。

おじさんはサンノゼにあるクロネコヤマトに勤める日本人スタッフでした。
今は作業員ですが、実は若い頃にアメリカの美術大学を卒業していて、フォトグラファーとして活躍していた過去があるというのです。
おじさんは現地の女性と結婚したそうですが、奥さまからフリーのフォトグラファーの仕事よりも、土日に休日が取れる会社員になってほしいと求められたので、フォトグラファーを辞めて引っ越し業者に転職したということでした。

おじさんは、自分の母校であるサンフランシスコの美術大学には、日本人の学生もたくさんいると教えてくれました。その情報をきっかけに、その美術大学について調べてみたところ、どうやら本当にフォトグラフィー学科があり、校風も良さそうな大学に見えました。

私はすぐに行動を起こすことにしました。
私の高校の卒業式に出席するために日本から遊びに来ていた祖母を空港まで送る際、サンフランシスコに立ち寄れたので、家族と共にその美術大学に行ってみたのです。

サンフランシスコ

学生課を訪れ、そこのスタッフに入学についていろいろ尋ねてみると、アメリカの高校を卒業した私の場合、大学入学のためにTOFLEは必要なく、入学も可能だというので、もうその場で入学手続きをしてしまいました。

さらに、両親が帰国した後、最初は大学の寮に入ることにし、寮の予約もしてしまいました。寮の場所はサンフランシスコの中心部にあり、とても贅沢な立地です。それを知っただけでも、大学生活への夢が大きく膨らみました。
ここまでトントン拍子に決まったので、本当にクロネコヤマトのおじさんには感謝です!
その後、両親も安心して日本に帰国しました。

ちなみに、私と一緒にアメリカに来た兄は、私とは正反対の内気な性格なので、アメリカに馴染めず、半年で帰国して日本の大学に入り直しました。そして日本にいる祖母と一緒に暮らしながら歯学部を卒業し、その後、歯科医となりました。

一方、私はアメリカの生活がとても気に入っていたので、アメリカでの大学生活にとても期待していました。
ここからは、一人暮らしをしながらの大学生活が始まります。初めて暮らすサンフランシスコで、フォトグラファーになるための、大きな一歩を踏み出すのです。

<第7話へ>

>第1話~第5話


★橘ねろりの記事「Bitter Orange Radio」
「自己紹介 橘ねろり」
「コンテンツグループのメンバー紹介/ライター・フォトグラファーのプロフィール」
「群像の中のプロフェッショナル ーあなたの夢は叶いましたか?―」
「セラフィーナとエクリプサ ChatGPTとの秘かな戯言 【第1夜】」
「セラフィーナとエクリプサ ChatGPTとの秘かな戯言 【第2夜】」

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