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創作の秘密

「ハヤカワ先生、今日はこうしてインタビューの席を設けていただいてどうもありがとうございます。今回は先生の新作『生きる者のすべて』についていろいろとお聞きしたいのですが、大丈夫でしょうか?」
「いや、大丈夫にきまってるじゃん!これ俺の新作の宣伝でしょ?」
「ハハ、そうですけどね……。でははじめます。まずはですね。小説のタイトルなんですが、先生はこのタイトルにどういう意味を込められたんですか?やはり最近のコロナの流行を意識してつけられたのでしょうか?」
「いや、なんか昔のロックバンドの曲に『若者のすべて』ってのがあってそれから」
「なるほど、フジファブリックの曲ですね。確かにあの曲には先生の小説と共通する青春の終わりみたいなことが歌われていますね」
「いや、実は俺そのバンドも曲も知らねし。最初は『あの子とハメたい俺ら』って適当なタイトルつけてたんだけど、編集者からもっとマシなタイトルにしろ!って怒られてネットで検索して適当なの拾ってつけただけ」
「……。それで今回の新作なんですが、いつもの先生の作品と違って死を前面に出した重い内容の作品です。前作が爽やかな青春小説だったのに、なぜ今回は重苦しい作品になったのでしょうか。やはりコロナの影響ですか?」
「っていうかコロナ関係ねえし、俺コロナに負けずキャバクラ行きまくりだし。それと小説について言うけど、俺ホントは青春小説書くつもりだったけど、もうネタ切れになっちゃって書けなくなっちゃって。そんでヤケクソで宇宙人が地球人を殺しまくる小説書いたの!で、『地球人皆殺し~もう地球はお終いよ!』ってタイトルつけて原稿出したんだけど、そしたら編集がむっちゃキレてふざけんなとか、言ってたから、俺もガンギレして、そんな青春小説なんかいつまでもかけるわけねえだろ!いつまでも童貞じゃねえんだしふざけんなボケ!っていったら編集のやつが呆れた顔して、俺たちがアウトライン書いてやるから、それを膨らませてなんとか書き直せ!とか言ってやっとこさかきあげて、さっき行ったとおりタイトルも二転三転して今のタイトルになったわけ」
「……大変な難産だったんですね」
「ああ、そうだよ。むちゃくちゃ難産だった。みんな一生懸命でさ。編集もアウトライン一生懸命考えてくれたんだけど、困ったのは肝心の俺がアイツラのいってること全くわかんないわけよ!だから完全放棄だね。俺アイツラに小説全部お任せして遊びまくりだった。辛かったよ」
「で、アンタこの小説のどこ担当したの?」
「う~ん、タイトル考えたことぐらいかな」

「あの、先生?……アンタもういいから実際に書いた人呼んでくんない?」


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