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カナデとウタ4

ジャーン。



ギターの音が響く。

ウタは、ロックが好きだ。軽音部に入るまで、ギターとか、ベースとか、ドラムとか、別世界のものだと思っていた。

中学の時に、はじめてロックを知った。

オシャレな友達が貸してくれたCD。

それが、ウタがロックを聴き始めるきっかけだった。それまで、音楽は、Jpopしか知らなかった。安室奈美恵や、嵐、orange rangeなどが好きだった。(Jpopにもロックの要素はあるのかもしれない)

それまで、音楽を聴くのが好きだった。けど、ロックを聴いた時、感動した。Jpopは、ききやすくて、楽しい。それまで、それが音楽の全てだと思っていた。けど、そうじゃない音楽もあるのだと知った。

うまく言えないが、上手じゃない、けど、伝わってくるようなもの。

上手じゃなくて、きれいじゃなくても、伝わってくるもの。

ウタにとって、ロックは、なんだか、あったかいもの。

それから、ウタは、ロックに興味を持った。バンドに憧れていた。けど、まさか自分が「バンドマン」になると思っていなかった。なれると思っていなかった。バンドする人たちって、チャラチャラしてるし、タバコ吸ったり、過激なことしたり、っていうイメージ。

なんか怖かったし、、

けど、ウタは軽音部に入った。

今日はウタの初ライブの日だ。やっぱりバンドマンってかっこいい。

バンドしてるってだけで、かっこいいし、ボーカルっていうだけで、もっとかっこいい。

とウタは思っていた。

入部して、2ヶ月。

たくさん練習してきた、きっとできるはず。


ライブには、5バンドが出演する。ほかの部活の人も見にくることもあるが、お客さんのほとんどが、軽音楽部の部員だ。

ウタは、心臓が飛び出そうだった。

➖はじめて人前で歌う➖

しかも、憧れのバンドのボーカル。まさか、私がこんなことできるなんて。


ライブが始まった。発表の順番が回ってきた。ベースの女の子が、「がんばろーね!」と言って笑った。

バンドのメンバーが、楽器の準備をはじめる。
先輩がマイクの高さを調節してくれた。ウタは、自分のマイクを見た。マイクを持つ手が震えていた。

ドラムの人が、スティックを叩く、
始まりの合図だ
ウタは、客席を見渡した。座って見ている部員たちが見えた。見慣れた先輩や友達。でも、なんでだろう、知らない人たちみたいに見えた。

そして、ゆっくりと息をすいこんだ。


「かんぱーい!」
高校の近くの焼肉屋
発表会の打ち上げが行われるのだ。
といっても、未成年なので、ジュースで乾杯をする。

みんな、さっきまでのライブとは違ってリラックスしてるみたいだ。


ウタは、ちょっと落ち込んでいた。

「1番の歌詞飛ばしちゃってごめんね。。」
突然サビから歌い始めたので、バンドのメンバーは、「?」となったが、合わせてくれた。
ウタは、バンドのみんなに謝った。ギターの女の子なんて、あんなに一生懸命練習していたのに、ギターソロを披露できなかった。ほかのみんなも同じだろう。

「まあ、はじめてだしね!」「どんまい!」みんな笑ってくれたが、

ギターの女の子が、ムスッとしていった。

「最悪。」

ウタは心がチクリと痛んだ。

でも、打ち上げでみんなと話していると、すぐに楽しい気分になってきた。それに、イカツイ男の先輩に、「声響くじゃん!」と褒められて嬉しかった。

ここにいると、失敗なんて、ちっぽけなことに感じられる。

ウタはいつのまにか、くつろいでいた。

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